パルスオキシメータの性能確認

このページでは、血中酸素飽和度(SpO₂)が測れるパルスオキシメーターの性能や購入する際の確認ポイントについて解説しています。

パルスオキシメータの性能を確認するには?

パルスオキシメータの性能を評価するには次の3軸があります。
1)正確度(血液の真の酸素飽和度との一致度)
2)低脈波性能(脈動が非常に弱い時でも測れるかどうか)
3)体動(指先の動き)があっても、正確に測れるかどうか

1)正確度 (Arms)

パルスオキシメータは血液の酸素飽和度を直接測定しているわけではなく、皮膚を投下した光の変化量で酸素飽和度を推計しています。
推計の確からしさを実際に試験して確認したものがArmsと呼ばれます。
通常はArms2%~3%ですが、Arms1%であれば非常に正確度が高いといえます。
Armsの数値は、6割程度の確率で真値と測定値の差として出ているかもしれないと考えられ、2倍した数字が、測定値の誤差として発生しているかもしれないと考えられる数値です。
Armsの数値が小さいほど、測定値が真値に近い数字を指しているという信頼性が高いものとなります。

測定値を医療関係者に説明する場合には、Armsの小さな信頼性の高い機種を使用するほうが、医療者もその数値を信頼して判断ができるメリットがあります。

健康管理として、普段の数値を記録していくという使い方であれば、Armsが高くなくとも、その機器での普段の値との比較となりますので、標準的なArmsの機器でも特に問題はありません。

使っている機器の個性を把握するため普段からいろいろな状態で測って、その個性を知っておきましょう
Video Player is loading.
Current Time 0:00
Duration 0:00
Loaded: 0%
Stream Type LIVE
Remaining Time 0:00
 
1x
  • Chapters
  • descriptions off, selected
  • subtitles off, selected

    パルスオキシメータ選び方のコツ2
    ~Armsで正確性をみる~
    所要時間:4分33秒

    2)低脈波性能 (PI値)

    パルスオキシメータは血液の脈動の変化量を使って測定しますので、指先血流が少なくなると、脈動による変化成分よりもノイズ成分が高くなり、正確な測定ができない、測定自体ができないという状態となります。
    脈動の強さはPI値(灌流指数)で表されます。PI値が2.0程度になると測定誤差が少しづつ大きくなってきます。PI値1.0以下は脈波の弱い低脈波状態で、ノイズ成分の影響を大きく受け、測定値の信頼性は落ちてきます。
    PI値1.0以下の低脈波でもより安定した測定が可能なように低脈波性能の高い機種であれば、低脈波状態での測定値の信頼性が高まります。
    指先への血液の供給能力は、呼吸・循環機能の発達・低下との関係が深いものとなります。
    通常20歳をピークに徐々に機能の低下が起こってきます。55歳からは機能低下も進み、後期高齢者になると普段の指先脈動もかなり弱いものとなります。
    また、慢性呼吸器疾患や急性の循環器疾患を発症した段階で機能劣化のペースが早まります。さらに状態が悪化したときには低脈波状態になる可能性も年齢が高まるにつれ高まり、慢性呼吸循環疾患があればさらに早い年齢から低脈波になりやすくなります。

    一方、発達過程の小児に関しては脈動の強さは問題ではなく、指先のサイズが問題になります。

    Video Player is loading.
    Current Time 0:00
    Duration 0:00
    Loaded: 0%
    Stream Type LIVE
    Remaining Time 0:00
     
    1x
    • Chapters
    • descriptions off, selected
    • subtitles off, selected

      パルスオキシメータ選び方のコツ1
      ~低脈波に強いもの~
      所要時間:3分06秒

      3)体動性能

      パルスオキシメータを手術室や救急で使用するときには、患者さんは治療行為のため動いていますし、新生児や乳児の場合も手足を動かし続けていますので、体動があっても正確に測れる機能が重要となります。
      アラーム付きモニター用パルスオキシメータにおいて非常に重要な性能となります。

      一方、フィンガーチップ型パルスオキシメータに関しては、測定中は機器を動かさず安定させて測定することが求められ、体動のない状態で測ることが基本ですので、特に体動性能は求められません。

      一方で、小児や認知症を患われている高齢者の方などでは、体動を抑えてもらうことは難しい場合もあります。

      体動性能よりも、指先へのフィッティングを重視したプローブを選択できる交換式、あるいは低脈波性能の高い製品(=一般的にノイズに強い製品)を選択することを推奨します。

      スポーツでご使用になる時も運動中の体動に対応できるほどの性能があるパルスオキシメータはありません。
      開始前、休憩中、終了後に安静な状態で測定してください。

      また、歩行中に使用するのであれば、腕を上げて指が揺れないようにして、安定させた状態で使用してください。

      パルスオキシメータを購入する際に確認することはある?

      医療機器であるパルスオキシメータを購入する際には、以下の点に注意することが重要です。

      1. 医療機器認証番号の確認

      各パルスオキシメータには16桁の医療機器認証番号(例:229ABCDE12345000)が割り当てられています。購入検討している機種の、広告にこの番号が記載されているか確認しましょう。 外国製品の場合、日本の医療機器認証番号ではないことがあるため注意が必要です。
      また、16桁の医療機器認証番号を検索サイトに入力すると、認証され情報開示されている製品であれば、その添付文書等の情報が表示されますので、認証番号が適切かどうかの確認ができます。

      医療機器認証番号の確認

      2. 販売資格の確認

      パルスオキシメータを販売するには「高度管理医療機器等販売業許可」が必要です。販売業者は許可証の番号を掲示することが義務付けられています(例: 第△△-1234567号)。インターネットで購入する際も、許可番号が掲示されているか確認しましょう。無資格での販売は違法です。

      3. 広告表現への注意

      「モール売上No.1」や「自治体で採用」などの広告文言は、その製品の品質を保証するものではありません。このような文言には注意が必要です。

      これらのポイントをしっかり確認することで、安全で信頼できるパルスオキシメータを購入することができますので購入前にはぜひ確認してみてください。

      購入時には、氏名や住所などの購入者情報を販売者から求められますが、これは規則で義務付けられいるためですので、ご協力ください。