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コニカミノルタ

コニカミノルタについて

人権

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基本的な考え方

人権は、すべての人間が持って生まれた権利であり、普遍的な価値の一つです。近年、国際社会で、ビジネスが人権に与える影響の大きさについて、人々の意識が高まっています。

コニカミノルタでは事業活動を行う行動原則を「コニカミノルタグループ行動憲章」に定めており、2022年4月取締役会の承認のもと、人権の尊重を行動の原則の一つとして追加しました。

また、コニカミノルタグループの企業理念、経営ビジョンに基づいて、人権に対するコニカミノルタグループの責任と決意を「コニカミノルタグループ人権方針」に定めています。本方針は2021年9月経営審議会にて承認されています。

さらに、コニカミノルタグループ各社が取るべき具体的な行動を「コニカミノルタサプライチェーン行動規範」に定め、サプライヤー、パートナーにも同様の行動を要請しています。なお、「コニカミノルタサプライチェーン行動規範」は、2013年にCSR調達の質と透明性向上を図るために加盟したRBA(Responsible Business Alliance)の行動規範の最新版を基にしています。

取り組みにあたっては、特に下記のグローバルな原則や国際規範の最新版を支持し尊重しています。

  • 世界人権宣言
  • 国際人権規約
  • 国際労働機関(ILO) 労働の基本的原則および権利に関する宣言
  • 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」
  • OECD多国籍企業行動指針
  • 国連グローバル・コンパクト
  • ISO26000
  • RBA行動規範

体制

コニカミノルタの人権尊重の取り組みは、サステナビリティを所管する経営企画部門を中心に、人事部門、各事業調達部門、リスクマネジメント部門と連携しながら推進しています。特にサプライチェーン全体にわたる人権尊重の取組みを推進するために、リスクマネジメント担当役員が管轄するリスクマネジメント委員会のもと、全社人権推進体制を構築しています。経営企画部門、法務部門、生産企画部門を中心に全社的な活動を進めるとともに、事業領域ごとに選任した推進責任者と連携しながら推進しています。
人権尊重に関する活動状況や抽出された重大な人権リスクについては、年2回開催されるリスクマネジメント委員会において報告・審議される体制を整えています。

人権尊重に向けた管理プロセス


人権デュー・デリジェンスプロセス

コニカミノルタは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、人権方針の作成、人権デュー・デリジェンスの実施、是正・苦情処理メカニズムの構築を行い、人権尊重の実践に取り組んでいます。

人権デュー・デリジェンス

コニカミノルタは人権デュー・デリジェンスの仕組みを構築し、自社の事業活動がステークホルダーに対して及ぼす潜在的・顕在的な人権リスクの特定、人権への負の影響の防止または軽減策の検討・実施、進捗状況についての情報開示を継続して行っています。
なお、自社の事業活動には、新規および追加投資、M&Aによる事業拡大、新規プロジェクトへの参入を含み投資判断基準に人権に対する評価項目を盛り込んでいます。

1.人権への負の影響の特定、評価(インパクトアセスメント)

コニカミノルタの事業活動や取引の結果として、潜在的または顕在的に負の影響を受けるステークホルダーとその人権課題について、日本の法務省が人権に関する主要な国際ルール/フレームワーク/ガイドラインからリストアップした“企業が配慮すべき主要な人権リスク類型”の項目をもとに整理しました。

人権リスク項目の特定とステークホルダーの関連性

人権リスク項目 ステークホルダー
  想定されるリスク事例 労働者 労働者以外の
ステークホルダー
グループ
従業員
調達/委託先の従業員 お客様 地域住民
/先住民
賃金・福利厚生    
  賃金の不足、未払、生活賃金の不確保、同一労働・同一資格における賃金の不均等など
過剰・不当な労働    
  法定外の時間外労働、連続勤務、休暇の取得制限など
労働安全衛生    
  労働負荷への健康障害の防止不備、労働災害の発生など
結社の自由    
  労働組合、団体交渉への参加/不参加の強制など
差別    
  性別、年齢、国籍や雇用形態(正規・非正規)による差別など
賄賂・腐敗    
  公務員に対する贈収賄、通関手続き等における金品の提供など
消費者の安全と知る権利    
  消費者の心身や健康を害するような製品・サービスの提供や製品表示等における不当表示や消費者の知る権利の侵害など
ジェンダーに関する人権問題  
  男女間での賃金等の待遇格差、性的マイノリティー当事者が不利益を被る、広告における差別的な表現など
ハラスメント  
  パワハラ、セクハラ、マタハラ、パタハラ、介護ハラスメントなど
表現の自由  
  企業活動への意見の抑制、従業員による会社や待遇への意見の抑制など
知的財産権  
  発明に対する対価の不払い、個人の知的財産権への侵害など
強制的な労働  
  労働者の同意のない労働、人身売買への関与、身分証明書の保管など
児童労働・若年労働  
  児童の学習機会の損失、成長・健康への影響、18歳未満の若年労働者の配慮不足など
居住移転の自由  
  意志に反した居住地の移転、事業活動による地域住人の立ち退き、転勤の強制など
生態系劣化や水、気候変動に関する人権課題  
  事業活動による環境破壊、生態系の劣化や水ストレス、地球温暖化加速事業への資金提供など
外国人・移民労働者の権利
  外国人・移民労働者への差別、労働条件の特定言語での提示、採用における手数料の搾取など
救済へアクセスする権利
  申し立てプロセスの認知不十分、アクセスの制限など
テクノロジー・AIに関する人権課題
  AI利用による差別的な人権問題の発生、自社製品による差別的利用など
プライバシーの権利
  個人情報、要配慮情報の不適切な取得、保管、公開または、第三者への提供など

人権への負の影響評価

抽出した負の影響を受けるステークホルダーとその人権課題に対して、製品サプライチェーンの各プロセス(開発、調達、生産、販売、回収、リサイクル・廃棄)における人権侵害が発生した際の事業影響、発生の可能性を評価し、CEOを含む経営層に報告、協議の上、優先度が高いと思われる人権項目を特定しました。

・事業影響は、人権侵害が発生した際の社会やお客様への影響の度合い、是正に対する困難度を人権対応のガイダンスや過去の企業における人権侵害事例より評価しています。

・発生の可能性は、RBA SAQや監査結果より評価しています。

評価は、定期的に見直すとともに人事/法務/調達/品質/サステナビリティを担当する各部門が目標設定・施策の検討・推進を通じ負の影響の防止・軽減を進めてまいります。

ステークホルダーごとの優先度が高いと特定した人権リスク項目

ステークホルダー 優先度が高いと特定した人権リスク項目
グループ従業員 過剰・不当な労働、労働安全衛生、差別(女性活躍)、ジェンダーに関する人権問題、強制的な労働、児童労働・若年労働、プライバシーの権利
調達・委託先の従業員 過剰・不当な労働、労働安全衛生、差別、外国人・移民労働者の権利
地域住民/先住民 強制的な労働、児童労働・若年労働
お客様 プライバシーの権利

2.適切な措置の実施(負の影響の防止・軽減)
3.実効性の追跡評価

コニカミノルタでは優先度が高いと特定した人権リスクについて、適切な措置を実施し、実効性を追跡評価しています。

優先度が高いと特定した人権リスク項目に対する適切な措置の実施と実効性の追跡評価の事例

ステーク
ホルダー
優先度が高いと特定した
人権リスク項目
2. 適切な措置の実施
(負の影響の防止・軽減)
3. 実効性の追跡評価
グループ従業員 過剰・不当な労働
(詳細:過重労働対策)
• 勤怠システムにて所定外労働時間を把握 • 直近3年間の所定外労働時間が減少傾向
労働安全衛生
(詳細:就業時災害の防止)
• 事業変化に対応するリスクアセスメント実施
• 安全巡視や安全教育実施
• 重篤災害発生件数0件を継続
差別(女性活躍)
(詳細:女性活躍推進)
• 女性リーダー候補への個別育成計画の立案・実行と研修の実施
• 男性従業員の育児参画促進や仕事と介護の両立支援の充実
• 女性管理職比率が上昇傾向(2024年度は構造改革の影響により減少)
ジェンダーに関する人権問題
(詳細:コンプライアンスの基本的な考え方・推進体制)
• セクシャルハラスメント防止ガイドラインを設定しハラスメント防止教育実施
• 従業員が差別やハラスメントをした場合、是正措置、もしくは就業規則に従って懲戒処分実施
• セクシュアルハラスメントや差別を含む人権関連の内部通報35件のうち、公表を要する重大な通報なし
強制的な労働 • 国際基準と懲戒規程の整合確認 • 懲戒処分における減給措置を廃止
児童労働・若年労働 • 各国での採用時に年齢確認を徹底 • 児童労働の事例なし
プライバシーの権利
(詳細:情報セキュリティの推進)
• 個人情報保護および情報セキュリティに関する教育実施
• グループ全体でインシデントに備えた体制(KM-CSIRT)を整備
• KM-CSIRTへの5件のインシデント報告に適切に対応し、事業への影響なし
調達/委託先従業員 過剰・不当な労働、労働安全衛生、差別、外国人・移民労働者の権利
(詳細:CSR調達の取り組み)
• コニカミノルタサプライチェーン行動規範(=RBA行動規範)の遵守を要請
• コニカミノルタサプライチェーン行動規範への実施レベルを診断するための自己診断アンケート実施(SAQ)
• 重要サプライヤー143社中131社にSAQを実施しハイリスクサプライヤー3社を特定、現地訪問による改善支援の結果、是正完了
地元住民/先住民 強制的な労働、児童労働・若年労働
(詳細:責任ある鉱物調達への対応)
• 責任ある鉱物調達の実施 • デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業において、紛争非関与が確認された3TG製錬所・監査プロセス中の製錬所割合が64%
• 主要製品の一つであるトナー、光学レンズと機能フィルムの一部製品が紛争非関与であることを確認
お客様 プライバシーの権利
(詳細:個人情報の保護製品・サービスのセキュリティ強化)
• GDPRに対応した個人情報保護方針および個人情報保護規程を策定
• 製品セキュリティガイドラインを制定し、グループ全体で製品・サービスのセキュア開発・運用プロセスを推進
• 製品の重大セキュリティ事故発生件数0件を継続

<グループ生産拠点のRBA VAP監査の受審>

コニカミノルタでは自社生産拠点における人権リスク軽減のため第三者監査(RBA VAP監査)を継続的に受審しています。2025年4月1日時点では以下の主要な3拠点にて認証を保有しています。

事業所名 所在国 認証ランク 認証期限
Konica Minolta Business Technologies (DONGGUAN) Co., Ltd. 中国 Platinum 2026年1月10日
Konica Minolta Business Technologies (Malaysia) Sdn. Bhd. マレーシア Platinum 2025年11月30日
Konica Minolta Mechatronics Co.,Ltd. (Mikawa) 日本 Platinum 2026年10月9日

<生活賃金>

コニカミノルタは事業展開する各国・地域において最低賃金を順守するだけではなく、従業員が意欲を持って働ける適正水準の賃金確保に努めています。2021年度には従業員への生活賃金支払いの実態を調査しました。生活賃金は基礎生活費と税金から成り、その基礎生活費の見積もりには基本的にマーケット・バスケット方式を用いますが、国によっては、必需品予算(Basic Needs Budget)基準を用いて算定されます。また、同一国における地域差も考慮する必要があるため、日本労働組合総連合会、WageIndicator Foundationを参考に生活賃金を算定しています。この結果、生活賃金の支払いについて、特に課題は見いだされませんでした。

4.情報公開

コニカミノルタはウェブサイトや統合報告書を通じて、定期的かつタイムリーに取り組み内容を公開していきます。

是正、苦情処理メカニズム

人権に関する懸念を通報できる制度を活用して、人権侵害の申し立てがあった場合には、速やかに調査し、コニカミノルタが人権に対する負の影響を直接的に引き起こした、あるいはこれに関与したことが明確である場合、社内外のしかるべき手続きを通して是正策を講じていきます。

・グループ従業員:

<ヘルプライン コニカミノルタグループ内>

コニカミノルタでは国内グループだけでなく海外にも内部通報制度「ヘルプライン」窓口を設けています。この制度は匿名で連絡可能で通報者が不利益を被ることはありません。
2024年度の内部通報のうち、人権関連(パワーハラスメント/セクシュアルハラスメント/差別/不適切な扱い)に関連する内部通報件数は、国内11件、海外24件でした。
なお、公表を必要とする重要問題の発生はありませんでした。

<是正事例>

コニカミノルタメカトロニクス株式会社本社が2024年に受審したRBA VAP監査にて、火災発生時の避難経路の一部に容易にアクセスできない避難口が確認され、避難口の追加工事を行いました。また、就業規則の懲戒の項において減給処分がありましたが、当該規定は労働対価の不払いにあたると判断し、コニカミノルタ株式会社に遡り就業規則の改定を実施しました。


自動ドアの停電時に備え設置された非常出口

・調達・委託先の従業員:

<ヘルプライン サプライヤー>

日本、中国、東南アジア地域の「ヘルプライン」では、サプライヤーに対しても「ヘルプライン」を開放し、欧州でもサプライヤーに対して開放しました。北米においてはサプライヤーを含む全ステークホルダーに開放しています。
なお、2024年度のサプライヤーからの通報はありませんでした。

<是正事例>

マレーシアのサプライヤー2社とタイの生産委託先1社において、外国人労働者に対する採用手数料搾取や不十分な安全対策等の情報提供がステークホルダーからありました。サプライヤー・生産委託先へ、事実確認と事実がある場合の是正、是正後の第三者による確認を依頼し、是正(例:返金、適切な保護具の提供)および第三者による是正の確認を進めています。

・お客様:

<脆弱性情報の収集>

製品・サービスの脆弱性に関する情報を全社で⼀元管理し必要な対応を推進するとともに、社外の公的機関などと連携するための全社共通組織として「KONICA MINOLTA PSIRT」を⽴ち上げています。KONICA MINOLTA PSIRTでは社外ステークホルダーからコニカミノルタの製品・サービスに関する脆弱性の届け出を受けた場合、国際的な脆弱性ハンドリングプロセスに準拠して適切な対応を⾏います。

ステークホルダーエンゲージメント

人権尊重の取り組みを強化するためステークホルダーとの対話を実施しています。

・グループ従業員:

<労使による経営協議会>

コニカミノルタは、「国連グローバル・コンパクト」への参加を通じて、結社の自由と団体交渉の権利の保障を示しています。コニカミノルタ(株)では労働協約が締結されており、社長出席のもと、年4回の定例の労使間での経営協議会を通して、会社経営状況について、労働組合に説明する場を設けるとともに、労働組合の方針の説明も受けています。また、その他多くのグループ会社においても、各々に労働組合や従業員会が組織されており、良好な労使関係を築いています。

・調達・委託先の従業員:

<お取引先説明会>

お取引先説明会や調達コラボレーションシステムを通して、「コニカミノルタ調達方針」の説明や、調達実績および次年度の調達計画の報告を行い、目標や課題の共有化を図るとともに、品質、納期、生産性、環境の側面について、優れた実績があったお取引先を表彰することで、お取引先の皆様にさらなる改善の取り組みを進めていただくようお願いしています。

・お客様:

<お客様窓口>

コニカミノルタは、製品、サービスごとに、コールセンターやウェブサイトの相談窓口を世界各国で設置しています。各窓口に寄せられる不具合情報やお問い合わせに迅速に対応するとともに、それらの情報を一元集約して、品質状況やご要望などの把握に努めています。また、AI技術の利活用について、外部有識者を交えたAI倫理審査委員会を設置し、適正な利活用について確認しています。

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