人権
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基本的な考え方
人権は、すべての人間が持って生まれた権利であり、普遍的な価値の一つです。近年、国際社会で、ビジネスが人権に与える影響の大きさについて、人々の意識が高まっています。
コニカミノルタでは事業活動を行う行動原則をコニカミノルタグループ行動憲章に定め、人権の尊重を行動の原則の一つとして定めています。
また、コニカミノルタグループの企業理念、経営ビジョンに基づいて、人権に対するコニカミノルタグループの責任と決意をコニカミノルタグループ人権方針に定めています。
さらに、サプライチェーンマネージメントに対する社会的要請がますます高まるなか、コニカミノルタのCSR調達活動をステークホルダーの皆様により分かりやすくお伝えし、またCSR調達の質と透明性の一層の向上を図るために、コニカミノルタは2013年10月にRBA (Responsible Business Alliance) に加盟しました。RBA行動規範をコニカミノルタグループおよびサプライヤー、パートナーなどのコニカミノルタサプライチェーン全体の規範とします。
取り組みにあたっては、特に下記のグローバルな原則や国際規範を支持し尊重しています。
- 世界人権宣言
- 国際人権規約
- 国際労働機関(ILO) 労働の基本的原則および権利に関する宣言
- 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」
- OECD多国籍企業行動指針
- 国連グローバル・コンパクト
- ISO26000
- RBA行動規範
人権尊重に向けた管理プロセス
人権デュー・デリジェンスプロセス
コニカミノルタは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、人権方針の作成、人権デュー・デリジェンスの実施、是正・苦情処理メカニズムの構築を行い、取り組みを推進しています。
方針
国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、コニカミノルタグループ人権方針を制定しています。本方針に基づき、コニカミノルタグループの事業に関連するビジネスパートナーやその他の関係者に対しても、人権の尊重を求めていきます。
人権デュー・デリジェンス
コニカミノルタは人権デュー・デリジェンスの仕組みを構築し、自社の事業活動がステークホルダーに対して及ぼす潜在的・顕在的な人権リスクの特定、人権への負の影響の防止または軽減策の検討・実施、進捗状況についての情報開示を継続して行っています。
なお、自社の事業活動には、新規および追加投資、M&Aによる事業拡大、新規プロジェクトへの参入を含みます。
是正・苦情処理メカニズム
人権に関する懸念を通報できる制度を活用して、人権侵害の申し立てがあった場合には、速やかに調査し、コニカミノルタが人権に対する負の影響を直接的に引き起こした、あるいはこれに関与したことが明確である場合、社内外のしかるべき手続きを通して是正策を講じていきます。
ステークホルダーエンゲージメント
また、人権尊重の取り組みを強化するためステークホルダーとの対話を実施していきます。
人権デュー・デリジェンス
1.人権への負の影響の特定、評価(インパクトアセスメント)
コニカミノルタの事業活動や取引の結果として、潜在的または顕在的に負の影響を受けるステークホルダーとその人権課題について、日本の法務省が人権に関する主要な国際ルール/フレームワーク/ガイドラインからリストアップした“企業が配慮すべき主要な人権および企業活動に関連する人権に関するリスク”の項目をもとに整理しました。
人権課題の特定とステークホルダーの関連性
人権に関するリスク項目 | ステークホルダー | ||||
---|---|---|---|---|---|
想定されるリスク事例 | 労働者 | 労働者以外の ステークホルダー |
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グループ 従業員 |
調達/委託先*の従業員 (*:生産・開発・その他) |
お客様 | 地域住民 /先住民 |
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賃金・福利厚生 | レ | レ | |||
賃金の不足、未払、生活賃金の不確保、同一労働・同一資格における賃金の不均等など | |||||
過剰・不当な労働 | レ | レ | |||
法定外の時間外労働、連続勤務、休暇の取得制限など | |||||
労働安全衛生 | レ | レ | |||
労働負荷への健康障害の防止不備、労働災害の発生など | |||||
結社の自由 | レ | レ | |||
労働組合、団体交渉への参加/不参加の強制など | |||||
差別 | レ | レ | |||
性別、年齢、国籍や雇用形態(正規・非正規)による差別など | |||||
賄賂・腐敗 | レ | レ | |||
公務員に対する贈収賄、通関手続き等における金品の提供など | |||||
消費者の安全と知る権利 | レ | レ | |||
消費者の心身や健康を害するような製品・サービスの提供や製品表示等における不当表示や消費者の知る権利の侵害など | |||||
ジェンダーに関する人権問題 | レ | レ | レ | ||
男女間での賃金等の待遇格差、性的マイノリティー当事者が不利益を被る、広告における差別的な表現など | |||||
ハラスメント | レ | レ | レ | ||
パワハラ、セクハラ、マタハラ、パタハラ、介護ハラスメントなど | |||||
表現の自由 | レ | レ | レ | ||
企業活動への意見の抑制、従業員による会社や待遇への意見の抑制など | |||||
知的財産権 | レ | レ | レ | ||
発明に対する対価の不払い、個人の知的財産権への侵害など | |||||
強制的な労働 | レ | レ | レ | ||
労働者の同意のない労働、人身売買への関与、身分証明書の保管など | |||||
児童労働・若年労働 | レ | レ | レ | ||
児童の学習機会の損失、成長・健康への影響、18歳未満の若年労働者の配慮不足など | |||||
居住移転の自由 | レ | レ | レ | ||
意志に反した居住地の移転、事業活動による地域住人の立ち退き、転勤の強制など | |||||
生態系劣化や水、気候変動に関する人権課題 | レ | レ | レ | ||
事業活動による環境破壊、生態系の劣化や水ストレス、地球温暖化加速事業への資金提供など | |||||
外国人・移民労働者の権利 | レ | レ | レ | レ | |
外国人・移民労働者への差別、労働条件の特定言語での提示、採用における手数料の搾取など | |||||
救済へアクセスする権利 | レ | レ | レ | レ | |
申し立てプロセスの認知不十分、アクセスの制限など | |||||
テクノロジー・AIに関する人権課題 | レ | レ | レ | レ | |
AI利用による差別的な人権問題の発生、自社製品による差別的利用など | |||||
プライバシーの権利 | レ | レ | レ | レ | |
個人情報、要配慮情報の不適切な取得、保管、公開または、第三者への提供など |
次に、抽出した負の影響を受けるステークホルダーとその人権課題に対してコニカミノルタグループでのRBA監査およびステークホルダーでのRBA SAQの結果をもとに影響度を評価し、優先度が高いと思われる人権項目を特定しました。
評価は、定期的に見直すとともに人事/法務/調達/品質/サステナビリティを担当する各部門が目標設定・施策の検討・推進を通じ負の影響の防止・軽減を進めてまいります。
<ステークホルダーごとの優先度が高いと特定した人権に関するリスク項目課題>
・グループ従業員:
過剰・不当な労働、労働安全衛生、差別(女性活躍)、ジェンダーに関する人権問題、強制的な労働、児童労働・若年労働、プライバシーの権利
・調達・委託先*の従業員 (*:生産・開発・その他):
過剰・不当な労働、労働安全衛生、差別、外国人・移民労働者の権利
・お客様
プライバシーの権利
・地域住民/先住民:
強制的な労働、児童労働・若年労働
2.適切な措置の実施
・グループ従業員:
コニカミノルタでは、従業員のモチベーション/エンゲージメント、そしてリーダーシップは、従業員の心身の健康が土台となっており、「健康の質」の向上により「労働の質」や「商品・サービスの質」が向上し、企業の付加価値は高まると考えています。従業員の心身の健康推進と組織健康度の向上により、生産性やパフォーマンスを向上させることが重要な経営課題だと認識しています。コニカミノルタは、「従業員の健康がすべての基盤」との認識のもと、「健康第一」の風土を醸成し、健康経営を推進しています。その取り組みの中で過剰労働の防止、労働負荷への健康障害の防止に取り組んでいます。
また、労働現場における災害の発生は、従業員の安全性を脅かすとともに、近隣環境や事業継続性にも影響を及ぼすおそれがあります。このため、労働災害の発生を防ぎ、従業員が安心して働ける環境づくりが重要な経営課題だと認識しています。コニカミノルタは、職場の安全と従業員一人ひとりの健康の維持、増進を企業経営の基本とし、日常の予防活動に重きをおいた労働安全衛生への取り組みを行うことにより、健康かつ安全で働きやすい職場環境づくりを目指しています。
お客様、地域・国際社会、お取引先、株主・投資家などの多様なステークホルダーの皆様からの信頼を維持・向上することが事業活動の基本であり、コンプライアンスの実践はその基本の実践です。そして、コンプライアンスの実践の継続は、持続的な企業価値の向上につながるとコニカミノルタは考えます。法令を遵守することは当然のこと、企業倫理に加え、私たちが正しいと信じることを定めた社内規則類を遵守していくことも必要です。この「法令・企業倫理・社内規則類」の3つを遵守することがコニカミノルタのコンプライアンスです。
コニカミノルタグループでは、このコンプライアンスを強固に推進するために、企業および全従業員に求められる行動を「コニカミノルタグループ行動憲章」に定め、この行動憲章に基づきコニカミノルタグループの社員一人ひとりが行動できるよう、グローバルな推進体制のもとで、グループ施策を実行しています。
コンプライアンスの実践を通じ、人権を尊重し、差別やハラスメントのない事業環境を作り上げています。
さらには、ジェンダーに関する人権問題や女性活躍については、ダイバーシティの推進の中で対応を進めています。私たちは、人財の多様性こそが、これまでにない革新的な発想をもたらし、経営ビジョンに掲げる「人間中心の生きがい追求」と「持続可能な社会の実現」を高次に両立させるソリューションを生み出す源泉と考えます。
私たちは、社会的マイノリティーへの公平性・包括性の向上、従業員一人ひとりの異なる強みを最大限発揮できる組織風土の醸成に長年にわたり取り組み、2003年のコニカとミノルタの経営統合以降、これらの取り組みを加速させてきました。これからは、経営ビジョンを実現し、社会のなかで認められ持続的成長を果たしていくために、Diversity, Equity and Inclusion(以下、DEI)推進をコニカミノルタグローバルで一体となり、より強化していく必要があります。
・調達・委託先*の従業員 (*:生産・開発・その他):
企業は製品だけでなく、製品をお客様にお届けするためのサプライチェーン※1についても労働(人権)、安全衛生、環境、倫理の改善などの社会的責任を持つ必要があります。こうした認識のもと、コニカミノルタは、人権が尊重された持続可能な社会の構築に向けて、生産拠点はもとより、原材料や部品などの資材の供給や生産をお願いするお取引先の皆様とともにこれらの改善に取り組むCSR調達を推進しています。
近年でも「ウイグル強制労働防止法(米国)」や「サプライチェーン・デューデリジェンス法(ドイツ)」など人権保護に関連する法律の制定が相次いでおり、企業における人権への取り組みの一層の強化が求められるようになってきています。このような社会的要請を受け、RBA※2は行動規範やさまざまな仕組みを改訂しています。コニカミノルタはRBAメンバー企業として、RBAのフレームワークを活用し、このような社会的要請に応えていきます。
- ※1
- サプライチェーン:調達、生産、物流、販売を経て、お客様に製品やサービスが提供されるまでの一連の流れ
- ※2
- RBA(Responsible Business Alliance):サプライチェーンにおけるCSR推進団体
・地域住民/先住民:
地域住民/先住民に対する、強制的な労働、児童労働・若年労働に対する取り組みとしてコニカミノルタでは、紛争鉱物の取り組みを行っています。
コンゴ民主共和国および周辺地域におけるタングステン、タンタル、金、スズの鉱物資源の採掘は、紛争の資金源になる可能性が指摘されており、コニカミノルタでは、OECDによる紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・デリジェンス・ガイダンスに従い「鉱物サプライチェーンにおけるリスクに基づいたデュー・デリジェンスのための5ステップのフレームワーク」に準じた紛争鉱物の取り組みを行っています。
・お客様:
個人や企業を狙ったサイバー攻撃が増加するなかで、その手口はますます高度化・巧妙化している実態があります。コニカミノルタが提供する製品やサービスにおいても、セキュリティの脅威にお客様を晒すリスクを持つ可能性があります。そのため、セキュリティを確保した製品・サービスを提供し、市場における製品セキュリティ事故を未然に防ぐとともに、万が一事故が発生した場合には、お客様の被害を最小限にとどめ、迅速に復旧・解決する取り組みが求められています。
コニカミノルタは、品質担当役員を責任者とする製品セキュリティの全社推進体制を確立し、品質本部主管のもと、事業部門を通じてすべての製品・サービスにおける重大セキュリティ事故の防止に取り組んでいます。セキュア開発・運用を実現するための「製品セキュリティガイドライン」を制定し、グループ全体で製品・サービスのセキュア開発・運用プロセスを推進しています。製品セキュリティガイドラインに準拠した開発・運用は、原則としてコニカミノルタグループのすべての製品およびサービスに適用され、製品・サービスの企画・提案から廃棄・サービス終了に至るまでのライフサイクル全体、ならびに開発・運用委託先や調達先などのサプライチェーンを含む活動として実施されます。
コニカミノルタは、「Imaging to the People」を経営ビジョンに掲げ、「人間中心の生きがい追求」と「持続的な社会の実現」を目指しています。その実現のために、製品・サービスや、研究開発、生産、販売といった事業活動において、AIの利活用を進めています。
一方で、AIの誤った利活用はプライバシー侵害や人権侵害などをはじめ、さまざまな問題を生じる可能性があります。
新たな製品やサービスにAIを利活用する場合、商品企画段階で各部門がリスクアセスメントを行い、その結果について「AI倫理審査委員会」にて審議を行うことで、AIの不適切な利活用による問題発生リスクの低減に努めています。
3.実効性の追跡評価
・グループ従業員:
過重労働による健康障害の防止に向け、長時間労働の抑制施策に努めています。
コニカミノルタグループでは超過勤務時間が単月80時間以上、3か月連続60時間以上の従業員や、超過勤務時間が45時間以上の従業員のなかでの希望者を対象とし、産業医健診を行い、過重労働による健康障害防止とパフォーマンスの最大化を目指しています。これらの対策の結果、従業員の過重労働を抑制し、ワークライフバランスのとれた、健康で働きやすい職場を実現しています。2024年度は、長時間勤務者の健診がよりスムーズに行えるよう健診予約システムを改修し、長時間勤務者のさらなる削減を目指します。
メンタル面では、全従業員を対象としたストレスチェックを年2回実施し、毎回90%以上の従業員が受検しています(2023年度は91%が受検済み)。ストレスチェック結果をセルフケアに活用する一方で、職場別のストレス度を4段階に層別して結果を各組織長にフィードバックし、最もストレス度の高いLevel4職場については改善策を立案・実行しています。その結果、2023年度のLevel4職場数は前年度比で減少傾向にあり、同年度の高ストレス者比率は8.4%と過去最低の水準となっています。あわせて、ラインケア機能の強化によるメンタル不調者の早期発見・早期対応を目的としたe-Learningを、グループの全管理職を対象として定期的に実施しています。受講率は92%前後を維持しました。アンケートの結果、このe-Learningを有益と答えた管理職の割合は90%に達しています。また、メンタルヘルス教育については、「職場風土の改善」に向けたオフェンシブな取り組みをより強化しています。さらに、スコアが生産性と強い相関のある「組織健康度調査」による分析結果を活用した職場改善活動にも取り組んでいます。2022年度は平均点6.1であったのに対し2023年度では6.3に改善してきています。各設問とも総じて改善傾向にあり、特に「成長、認知、進捗」に関する設問が好結果となりました。
また、メンタル不調による休務から復職する従業員を対象とした「復職準備勤務制度」を設け、最大3カ月のリハビリ勤務期間中に産業医・職場上長・人事との面談を最低3回設けるなど、スムーズな復職に向けて、対象者への手厚いフォローを実施しています。
これらの対策を実施してきた結果、2023年度のコニカミノルタ(株)従業員のメンタル不調による休務日数は、前年度比では約14%の減少となりました。また、新規休務者は前年度から16%の大幅減少となりましたが、それにともないアブセンティーズムのKPIとしている新規と継続をあわせた休務者一人当たりの平均休務日数は若干の増加となりました。2024年度は、さらなるラインケアの強化取り組みやライン人事との緊密な連携によるケア実施によって、メンタル休務日数の削減を図っていきます。
2023年度のコニカミノルタグループで発生した災害は、重篤災害※1の発生はなし。休業災害は6件発生しました。内訳は国内6件(被災者は男性4人、女性2人)、海外0件です。休業度数率※2は国内で0.22、海外で0、で国内・海外をあわせると0.12です。休業強度率(※3)は国内0.0012で、海外で0、国内・海外をあわせると0.0007です。
厚生労働省の労働災害動向調査による2023年度の国内製造業の休業度数率平均値は1.29、同じく電気機械器具製造業の平均値は0.54なので、同種業界平均値を下回る水準を維持しています。
※1重篤災害:
① 死亡、長期療養を要する(または可能性のある)疾病、障がいの残る(または可能性のある)怪我、特定伝染病
② 一時に3人以上の労働者が業務上死傷または罹病した災害(不休含む)
※2 在籍労働者ののべ実労働時間数100万時間当たりの休業者数
※3 在籍労働者ののべ実労働時間数1000時間当たりののべ労働損失日数
従業員にとって「働きがいとチャレンジ意欲(エンゲージメント)」が感じられる職場環境を保つことを目指して、全世界の従業員を対象にした仕事・職場に対するGES(Global Employee Survey:グローバル従業員意識調査)を行っています。
組織風土の現状をエンゲージメントスコア※で測定し、各組織にて改善に向けたアクションを実施することで、グループ全体の競争力向上を実現します。
※ エンゲージメントスコア:GES(0~10段階で回答)における、該当設問「社外の人に、コニカミノルタで働く事をどの程度勧めますか」の回答平均点
2023年度はグループ従業員の約9割が当調査に参加。16.5万を超えるコメントが寄せられ、各組織での課題の掘り下げ、改善アクションの計画と実行を継続的に進めています。
2023年度のエンゲージメントスコアはグループ全体で6. 8となり、対2022年度比0. 2ポイントアップしました。2025年度の目標としている業界平均水準に対しては依然下回っていますが、2023年度は下位25%レベルまで上昇し、目標水準に着実に近づいております。
コンプライアンスの取り組みについては、あらゆる差別、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントを防止するため「行動憲章ガイダンス」や「コンプライアンスマニュアル」で差別、ハラスメントの禁止を掲げるとともに、「セクシャルハラスメント防止ガイドライン」の設定やハラスメント防止研修などを通じて従業員への啓発に努めました。管理職に対して、セクシャルハラスメント、パワーハラスメントについても教育を行っています。従業員が差別やハラスメントをした場合、是正措置、もしくは就業規則に従って懲戒処分とします。
児童労働については、各国での採用時に年齢確認を徹底するなどの施策により、そうした事例はありません。また、強制労働についても同様に事例はありません。
ダイバーシティーに対する取り組みは、2017年度から日本国内グループ会社の従業員に向けて、役員やロールモデルへのインタビュー記事、社内のDEI推進好事例等を、社内ポータルサイトを活用して定期的に発信、また、全社プログラムを実施するなど、DEIの理解促進に取り組んできました。2021年からは、海外も含めコニカミノルタグループで一体となった活動を推進するため、欧州、米国と日本のDEI推進担当が集まり、グローバルプログラムを企画、国際女性デーに連動したプログラムのほか、プライド月間(※)にあわせたプログラム等を開催しています。また、グローバルプログラムのテーマに沿った日本国内向けプログラムも同時期に開催し、より多くの従業員がDEI推進に参画できるよう取り組んでいます。
※6月はLGBTQ+の権利について啓発を促す「プライド月間」として世界的に認知され、各地でさまざまなイベントが行われています。
ジェンダー平等と女性のエンパワーメントは、グローバルで重視されているテーマの一つであり、SDGsを達成するための鍵です。とりわけ日本では、性別を問わず高度な教育を受けているにも関わらず、女性のリーダーシップやあらゆる分野への参画が限られているのが実情です。コニカミノルタの属する産業社会全体でも、女性が活躍できる環境の整備が急務であると認識しています。
・調達・委託先*の従業員(*:生産・開発・その他):
CSR診断では、労働(人権)、安全衛生、倫理に関する社会面と環境負荷低減に関する環境面を評価しています。コニカミノルタでは、自己診断アンケートの採点結果をA~Cの3段階にランク分けし、グループ生産拠点は総合ランクA、お取引先は総合ランクB以上を目標としています。総合ランクCとなり、改善を支援しても目標ランクを達成できなかったお取引先をハイリスク取引先と位置づけ、STEP3のCSR監査を実施します。
2023年度は、コニカミノルタグループ内の生産拠点9拠点、および重要なお取引先として特定した103社(一次取引先84社、二次取引先19社)のうちの30社でCSR診断を実施し、生産拠点はすべて総合ランクA、お取引先はすべて総合ランクB以上となり、ハイリスクなお取引先は0でした。この診断結果は目標を満たしていますが、労働、環境、倫理分野において得点率が低い傾向が見られました。具体的には労働と倫理の分野ではマネジメントシステムの構築、環境の分野では資源使用量や廃棄物、GHGの削減プログラムに関する項目等が低下要因でした。評価が低下しているお取引先には自主的な改善をお願いしています。
なお、コニカミノルタの主力であるデジタルワークプレイス事業およびプロフェッショナルプリント事業の最終生産拠点は委託先も含め日本、中国、ASEANにあり、メーカーとしての高品質なモノづくりの実践とCSRに配慮した生産活動を実施するため、それらの拠点における監査を重視しています。複合機/印刷用機器本体生産会社におけるRBA第三者監査(VAP監査)、コニカミノルタCSR監査の実施率は、対象11拠点に対し8拠点に達し73%です。2023年度では自社拠点と委託先の拠点合わせて5拠点でCSR監査を実施しており、労働時間の管理、労働・倫理分野に関する教育の実施や内部監査体制の構築、緊急事態への備えの項目などの課題が見いだされ、合計38の不適合が抽出され不適合率(不適合数/拠点数)は760%でした。これらの課題に対しては、5拠点すべてで必要な改善計画の作成と改善を実施し、Priority項目の不適合是正完了率は100%、それ以外の不適合是正完了率は68%となりました。今後もPDCAを回し、改善を進めていきます。
また、コニカミノルタではグループおよび調達・委託先の従業員が働きがいを持つことができる賃金水準の維持に努めるため、それぞれの地域の最低賃金の遵守をするだけではなく、2021年度に生活賃金についての検討を行いました。生活賃金は基礎生活費と税金から成り、その基礎生活費の見積もりには基本的にマーケット・バスケット方式を用いますが、国によっては、必需品予算(Basic Needs Budget)基準を用いて算定されます。また、同一国における地域差も考慮する必要があるため、日本労働組合総連合会、WageIndicator Foundationを参考に生活賃金を算定しています。
この結果、グループおよび調達先・委託先において、特に課題は見いだされませんでした。
・地域住民/先住民:
基幹事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業で2023年度に実施した、CMRTを用いた紛争鉱物調査とEMRTを用いたコバルト・マイカの調査の回答回収率は、それぞれ95%と93%でした。
紛争鉱物およびコバルト・マイカ調査回答をデュー・デリジェンスした結果、精錬所461社、RMAP取得精錬所276社、Active精錬所13社を特定しました。
サプライチェーン上における3TGの原産国と考えられる139の国または地域を特定しました。(2024年4月30日時点)
これらの調査の結果、主要製品の一つであるトナー、光学レンズと機能フィルムの一部製品が紛争非関与であることが確認できました。なお、調査したすべてのサプライチェーンにおいて、紛争への関与を示す証拠は確認されませんでした。
・お客様:
重大な情報セキュリティ事故の徹底排除を目標に「情報セキュリティの重大事故発生件数」をKPIに掲げ、活動しています。2023年度は、昨年度に引き続き目標を達成しました。今後も引き続き、セキュアな製品・サービスを開発・運⽤するためのさまざまな取り組みを推進していきます。
適正にAIを利活用するため、AI利活用に関わる各部門で構成したResponsible AI Officeという全社横断組織を設置しています。Responsible AI Officeは、事業部門ごとに任命したAI利活用推進責任者と連携して、商品企画段階で適切なリスクアセスメントが実施されるよう開発者への支援を行うほか、全従業員に対する教育や周知活動を実施しています。
2021年度からは、国内グループ会社の全従業員を対象に、社会で起きているAI倫理に関する問題やその考え方を踏まえて、基本方針を行動に移すための社内教育を実施し、従業員リテラシーの向上に取り組んでいます。これまで約1万人の従業員が受講しました。
また2022年度にはAI利活用に対する意識醸成を目的とし、社外有識者による社員向けの講演会を実施しました。
さらにChatGPTに代表される生成AIの利用ルールを2023年5月に国内、6月にはグローバルに展開しました。この取り組みにより、社員が生成 AIの可能性とリスクを正しく理解し、グローバルに、安全、倫理的、かつ責任ある方法で活用することを目指します。
今後は、全従業員向けの教育を毎年継続実施することに加え、リスクアセスメント実施者向けの教育など対象者にあわせた専門的な教育を提供し、全体的なレベルアップにつなげていきます。
4.情報公開
コニカミノルタはウェブサイトを通じて、定期的かつタイムリーに取り組み内容を公開していきます。
是正、苦情処理メカニズム
・グループ従業員:
コニカミノルタでは国内グループだけでなく海外にも内部通報制度「ヘルプライン」窓口を設けています。この制度は匿名で連絡可能で通報者が不利益を被ることはありません。
2023年度の内部通報のうち、人権関連(パワーハラスメント/セクシュアルハラスメント/差別/不適切な扱い)に関連する内部通報件数は、国内7件、海外14件でした。
・調達・委託先*の従業員(*:生産・開発・その他)、地域住民/先住民:
日本、中国、東南アジア地域の「ヘルプライン」では、サプライヤーに対しても「ヘルプライン」を開放し、欧州でもサプライヤーに対して開放を開始しました。北米においてはサプライヤーを含む全ステークホルダーに開放しています。
・お客様:
製品・サービスの脆弱性に関する情報を全社で⼀元管理し必要な対応を推進するとともに、社外の公的機関などと連携するための全社共通組織として「KONICA MINOLTA PSIRT」を⽴ち上げています。KONICA MINOLTA PSIRTでは社外ステークホルダーからコニカミノルタの製品・サービスに関する脆弱性の届け出を受けた場合、国際的な脆弱性ハンドリングプロセスに準拠して適切な対応を⾏います。
ステークホルダーエンゲージメント
・グループ従業員:
コニカミノルタは、「国連グローバル・コンパクト」への参加を通じて、結社の自由と団体交渉の権利の保障を示しています。コニカミノルタ(株)では労働協約が締結されており、社長出席のもと、年4回の定例の労使間での経営協議会を通して、会社経営状況について、労働組合に説明する場を設けるとともに、労働組合の方針の説明も受けています。また、その他多くのグループ会社においても、各々に労働組合や従業員会が組織されており、良好な労使関係を築いています。
・調達・委託先*の従業員(*:生産・開発・その他):
お取引先説明会や調達コラボレーションシステムを通して、「コニカミノルタ調達方針」の説明や、調達実績および次年度の調達計画の報告を行い、目標や課題の共有化を図るとともに、品質、納期、生産性、環境の側面について、優れた実績があったお取引先を表彰することで、お取引先の皆様にさらなる改善の取り組みを進めていただくようお願いしています。
・お客様:
コニカミノルタは、製品、サービスごとに、コールセンターやウェブサイトの相談窓口を世界各国で設置しています。各窓口に寄せられる不具合情報やお問い合わせに迅速に対応するとともに、それらの情報を一元集約して、品質状況やご要望などの把握に努めています。また、AI技術の利活用について、外部有識者を交えたAI倫理審査委員会を設置し、適正な利活用について確認しています。