AIの利活用
クリックするとページ内の該当箇所へジャンプします。
背景と課題認識
コニカミノルタは、「Imaging to the People」を経営ビジョンに掲げ、「人間中心の生きがい追求」と「持続的な社会の実現」の両立を目指しており、その実現のために、製品・サービスや、研究開発、生産、販売といった事業活動において、AIの利活用を進めています。
AIを利活用した技術の紹介
一方で、AIの誤った利活用はプライバシー侵害や人権侵害などをはじめ、さまざまな問題が生じる可能性があります。
昨今では生成AIの利用が急速に広まっていますが、今後の経済成長・社会課題の解決に期待される一方で、人が持つバイアスの助長や情報の信頼性の欠如など、人間社会に対してリスクをもたらす可能性が指摘されています。
また信頼できるAIの普及に向けた法規制・ガイドラインの必要性が世界規模で重要視され、議論され始めています。
基本的な考え方
私たちは、適正かつ積極的なAI利活用によって、人間中心のより良い社会の実現を目指します。
私たちは、グローバルに事業を展開する企業として、AIの適正な利活用についてグループ共通の認識を持ち、一丸となってAIを積極的に利活用していくことで、人間中心のより良い社会の実現を目指します。
この基本的な考え方に基づき、2021年6月に基本方針を策定しました。
目指す姿
AIガバナンス体制の構築と従業員リテラシーの向上
コニカミノルタでのAI利活用が基本方針に沿って実践されるように、社内AIガバナンス体制を構築し、各部門でのリスクアセスメントを企画段階から運用段階まで、ライフサイクル全体を通して行っていきます。
全従業員に対し、AI利活用に対するリテラシー向上のための教育を毎年実施し、さらにリスクアセスメント実施者向けやリーダー層向けなど対象者に合わせた教育も実施していきます。加えて、AI利活用に対する周知を目的とし、社内外の有識者による社員向けの講演も実施していきます。
上記の取り組みは、すでに国内グループ会社から開始しており、順次、海外グループ会社に拡大していきます。
また私たちは社会動向が大きく変化するなか、欧州AI規制など最新の外部動向を把握したうえで、迅速にかつ柔軟にAI利活用の体制やプロセスを変革していきます。
お客様やパートナー企業、大学などの研究機関との連携
お客様やパートナー企業、大学などの研究機関との情報交換や関連団体への参画を通じ、多くのステークホルダーと協調しながら、人間中心で持続可能な社会の実現に貢献できるように取り組んでいきます。
また学術論文の投稿や発表などを通じて、取り組みを社会に広く発信するとともに、新たな情報の収集や意見交換に努め、さらなるレベルアップにつなげていきます。
AIガバナンス体制
コニカミノルタグループ全体で適正にAI利活用するため、AI利活用に関わる各部門で構成したResponsible AI Officeという全社横断組織を設置しています。Responsible AI Officeは、事業部門ごとに任命したAI利活用推進責任者と連携して、商品企画段階で適切なリスクアセスメントが実施されるよう、開発者への支援を行うほか、全従業員に対し、教育や周知活動を実施しています。
各部門から提出されたリスクアセスメント結果は、AI利活用に関わる部門の担当役員や社内のAI技術有識者のほか、社外のAI倫理に関する有識者を構成員とする「AI倫理審査委員会」にて審議しています。AI倫理審査委員会は隔月に開催してこれらの審議を行うほか、AI利活用に関する社会動向などについて最新情報を共有する場となっており、全社取り組みの底上げにつながっています。
また 経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を参考にAIガバナンスの自社実施状況(AIガバナンス成熟度)評価を実施しており、継続的なレベルアップを目指し、実践を進めています。
リスクアセスメント
各種ガイドラインなどを参考にして、自社独自のAI利活用のためのチェックリストを作成しています。新たな製品やサービスにAIを利活用する場合、商品企画段階で各部門がこのチェックリストを用いたリスクアセスメントを行い、その結果について「AI倫理審査委員会」にて審議を行うことで、AIの不適切な利活用による問題発生リスクの低減に努めています。またAI利活用テーマについては定期的にリスクアセスメント時に想定していなかったリスクの発生や、リスク対策の効果をモニタリングしており、重大事故が発生していないことを確認しています。AI倫理審査委員会設置から2年間で約80件の審査実績があり、生成AIの利活用についても審査しています。
またこのチェックリストは、事業部門をはじめとするさまざまなチームとともに事例を蓄積しながら定期的に見直し、改良に努めています。
さらにEUのAI法案の成立を受け、Responsible AI Office・事業部・現地子会社で連携しながら対応を協議しています。また現地子会社ではITセキュリティ/コンプライアンス/法務部門を中心に、すでに取り組みを開始しています。
社内教育
2021年度からは、国内グループ会社の全従業員を対象に、社会で起きているAI倫理に関する問題やその考え方を踏まえて、基本方針を行動に移すための社内教育を実施し、社員リテラシーの向上に取り組んでいます。これまで約1万人の従業員が受講しました。
また2022年度にはAI利活用に対する意識醸成を目的とし、社外有識者による社員向けの講演会を実施しました。
さらにChatGPTに代表される生成AIの利用ルールを2023年5月に国内、6月にはグローバルに展開しました。この取り組みにより、社員が生成 AIの可能性とリスクを正しく理解し、グローバルに、安全、倫理的、かつ責任ある方法で活用することを目指します。今後は、全従業員向けの教育を継続実施することに加え、リスクアセスメント実施者向けの教育など対象者に合わせた専門的な教育を提供し、全体的なレベルアップにつなげていきます。