公開日2024.06.05
効果的なO2Oマーケティング施策とは?
紙媒体マーケティングとの連携方法
オンライン(Web広告・SNSなど)からオフライン(実店舗)へ誘導し、商品の購買行動を促進する「O2Oマーケティング」。実店舗を持っており、オンライン上の運営も行っている場合は押さえておきたい施策ではないでしょうか。
この記事では、近年重視されているO2Oマーケティング施策のメリットやチャネルごとの方法、事例などをご紹介します。
O2Oマーケティングとはどんな施策なのか
「O2O」とは「Online to Offline」の略語で、オンラインからオフラインへ顧客を誘導する施策のことを指します。具体的には、アプリでのクーポン発行、Web広告やSNSによるセール情報の配信から実店舗への来店を促進し、商品の購入につなげます。その他、O2Oと混同されやすいマーケティング用語があるため、それぞれの違いについて見ていきましょう。
オムニチャネルとの違い
オムニチャネルとは、オンライン・オフラインを区別せずにあらゆる販売チャネルを連携する施策です。O2Oはオンラインからオフラインへ顧客を誘導することが目的である一方で、オムニチャネルはすべてのチャネルを連携させ、顧客との接点を幅広く持つことを目的としている点で異なります。
OMOとの違い
OMOとは、「Online Merges with Offline」の略語で、オンラインとオフラインを融合した施策です。O2Oはオンラインとオフラインを明確に区別しているのに対し、OMOではチャネルを融合することで顧客体験を向上させるという点が大きく異なります。
逆O2Oとは
逆O2Oは顧客に自社のECサイトで購入してもらうため、チラシやDMのQRコードや実店舗に設置したQRコードなどからオンラインへ誘導する仕組みです。O2Oがオンラインからオフラインへ誘導する施策であるのに対し、逆O2Oはオフラインからオンラインへ誘導する施策となります。
O2Oマーケティングが重要視される理由
オフラインでの購買活動を誘導するO2Oマーケティングはなぜ注目を集めているのでしょうか。
スマートフォンの普及によるオンラインの日常化
スマートフォンの普及によって、今では情報収集や情報発信などあらゆる用途でインターネットを利用することが当たり前となっています。総務省が実施した通信利用動向調査によると、世帯ごとのスマートフォン保有率は8割を超えています。さらに個人におけるインターネット利用率は84.9%、端末別スマートフォン利用率は71.2%です。
顧客の購買行動にもオンラインが大きな影響を与えているため、オフラインでの売り上げをアップさせる有効な方法としてO2Oマーケティングが重要視されるようになりました。
O2Oチャネルの一般化
スマートフォンの普及とともにSNSやアプリなどオンラインツールの活用が一般化したことも一つの理由です。現代においてSNSではユーザー同士の情報収集・発信が活発に行われており、企業と顧客の接点としても重要な役割を持っています。また、店舗アカウントから発信することで新商品を宣伝したりお得なセール情報を伝えたりと、実店舗への誘導を図れるケースが増えています。
オフラインの再評価
幅広い世代でオンラインの利用が加速し、ECサイトから商品を購入するのも一般的になりました。しかし、実店舗を利用する顧客が全体的に減少しているというわけではなく、業種や業態によっては実店舗の売り上げが増加しているケースもあります。この要因として、実際に商品を手にとって見る、試着するといった実店舗でしか味わえない顧客体験を提供できるとして、オフラインが再評価されていることが挙げられます。
O2Oマーケティングのメリット
O2Oマーケティングを行うことで具体的にどのようなメリットを得られるのかを見ていきましょう。
効率の良い集客が見込める
O2Oマーケティングはオンラインを通して幅広いユーザー層へ情報発信し、その中で商品やサービスに興味を持ってくれた方へアプローチします。そのため、効率的に実店舗への集客を実現できるというのがメリットの一つです。
効果検証がしやすい
O2Oマーケティングは効果検証がしやすいという点もメリットです。例えば実店舗限定のクーポンを配布した場合、利用されたクーポンの数だけで容易に効果を測定できます。このように効果検証を繰り返すことで、その後の改善に役立ち売り上げアップにつなげられるでしょう。
顧客ニーズに沿ったマーケティングができる
オンラインでは、Web上の閲覧履歴や購入履歴といった顧客データを蓄積できます。顧客のニーズを把握しやすく、アプローチの際に過去のデータを活用できるため、顧客一人ひとりに合った施策を展開しやすいのもO2Oマーケティングのメリットといえるでしょう。
即効性がある
O2Oマーケティングは即効性のある施策を行えるというのも特長です。クーポン発行やセール情報は一定の期間を設定しているケースがほとんどです。また、オンラインでの情報発信・宣伝はすぐに顧客へ届くため、比較的スピード感をもって効果を検証できます。素早くPDCAを回したいという場合にO2Oマーケティングがおすすめです。
チャネルごとのO2O施策
O2Oマーケティング施策は、オフラインへ誘導するためにあらゆるチャネルを活用します。ここでは、チャネルごとのO2Oマーケティング施策についてご紹介します。
ECサイト
顧客が時間や場所を選ばず、好きなときにアクセスして商品情報を確認・購入できるECサイトは、O2Oマーケティング施策に欠かせないチャネルの一つといえます。時間の制約がなくコストもかからないため、比較的取り入れやすい施策というのも特徴です。ECサイトを運営する際は実店舗と連携し、顧客データの一元管理、店舗の在庫情報などを確認できるようにしておくことで顧客体験の向上につながります。
SNS
SNSは情報収集に活用される手段の一つであり、他にはない大きな拡散力・影響力を持っています。いち早く新作情報やセール情報、クーポン情報を届け、実店舗への購買行動を促進させる効果が期待できます。また、顧客との積極的なコミュニケーションを図ることで顧客のニーズを把握し、今後の施策に反映させられるのもSNSの強みでしょう。SNSにはさまざまな種類と特徴があるため、自社の顧客層に適した媒体を選択することが、O2Oマーケティング施策でより高い効果を得る秘訣です。
アプリ
O2Oマーケティングにおいてアプリを作り、そこから実店舗へ誘導する施策はよく活用されています。アプリを使うことでクーポン配布やお得情報の配信、店舗情報の検索などが可能となり、実店舗での購買行動を促す効果が期待できます。また、ポイントカードを作るよりもアプリに会員登録してもらえれば、顧客の利便性も向上するでしょう。
位置情報
スマートフォンにはGPS機能があるため、位置情報を活用したO2Oマーケティング施策も有効です。居住地域ごとに周辺店舗に関する情報をプッシュ通知で発信したり、店舗周辺にいるユーザーに適切なアプローチを行うことで、見込み顧客の来店につなげられるでしょう。広告費をかけずに集客を見込めるため、実店舗を持つ場合におすすめしたい施策です。
店舗受け取り
ECサイトでの購入の際に顧客にとってネックとなるのが、送料がプラスされて店舗購入よりも金額が高くなることです。一般的に「○○円以上で送料無料」としているサイトが多いですが、この金額に達しないため購入を諦めてしまうケースは少なくありません。そこで店舗受け取りサービスを活用すれば、一点からでも気軽に購入ができ、さらに商品を受け取るために来店を促すことが可能となります。
QRコード(店頭・DM・チラシ)
QRコードを活用したO2Oマーケティングは手軽に取り組みやすく、多くの店舗で活用されています。店頭にQRコードを設置し、来店時にSNSアカウントの登録やアプリのインストールを促す施策です。アプリやSNSなどのチャネルと組み合わせることで顧客との接点を強化し、新商品の告知やクーポンの配信など限定サービスを提供すればリピート率向上が期待できるでしょう。
また、ECサイトの利用顧客にQRコードを付与したDMやチラシなどの紙媒体を送付し、実店舗への来店を促すこともできます。可変印刷したQRコードによって効果測定が可能で、ターゲットに沿った施策につなげられます。
参考:チラシの効果を最大化!効果測定で反響を上げる方法とは
参考:Googleアナリティクス「パラメータ」の生成・集計方法をマスターし、分析の精度を上げよう
O2Oマーケティング事例5選
ここからは、O2Oマーケティングを実施した際の成功事例を5選ご紹介します。
プレイド ハガキDMで実店舗に誘導
株式会社プレイドとAmazing Dayは、オンラインストアのアクティブユーザーにハガキDMを配信し、店舗への送客を試みるという共同施策を行いました。その結果、DM全体(有効通数の18,506通)における来店購入率は21.9%。さらに店舗での購入額はDM非対象ユーザーよりもDM対象ユーザーが1.09%上回る結果となり、紙媒体マーケティングを取り入れることで高い集客効果を得られた事例といえます。
参考:MarkeZineニュース プレイド、ハガキDMを使ったO2O実験を実施 購買関心度が高いEC顧客を実店舗へ送客
スペインのマクドナルド ユニークなWi-Fi活用
飲食店では無料のWi-Fiを提供していることが多いですが、店内だけでなく周辺の店舗までWi-Fiの電波が入ってしまうケースも少なくありません。そこでスペインのマクドナルドでは、Wi-Fi設定をオンにしたときに表示されるネットワーク名を利用者に向けたメッセージに変えました。このようにユニークな工夫を加えることで店内へ入るきっかけを作っています。
参考:PR EDGE マクドナルド、無料Wi-Fiの“ネットワーク名”を通じて見込み客の来店を促進
アプリで在庫のある店舗が調べられるユニクロ
世界各国に店舗があるユニクロでは、アプリから店舗の在庫状況を確認することができます。店舗に在庫がある場合はアプリで注文すれば最短1時間で店舗受け取りが可能。このようにユニクロではアプリを活用することで来店までの導線をスムーズに作り、店舗受け取りをEC受注件数全体の35.7%に拡大しています。
参考:ユニクロアプリ公式サイト
アプリの取得で店舗限定クーポンを得られるJINS
眼鏡やコンタクトレンズを販売しているJINSでは、アプリをインストールすることで、店舗で使用できる期間限定クーポンの配布や、購入履歴・保証書の管理などさまざまなメリットを得られます。このようにアプリと連携させることで店舗へのスムーズな誘導を図り、さらに店舗ならではの顧客体験によって購買行動の促進につながるでしょう。
参考:JINSアプリ公式サイト
韓国EMART ランチタイム限定の3D QRコードで集客
韓国のスーパーマーケットE MARTでは、ランチタイム時の来店客を増やす目的として「ランチタイム限定のQRコード」を実施しました。太陽の光で演出される影によって、お昼の1時間のみQRコードを読み取れるという仕掛けです。このユニークなアイデアと限定された時間での施策によって集客に成功し、売り上げが25%アップするという結果となりました。
参考:n2p blog 【O2O成功事例7選】オンラインからオフラインキャンペーンをまとめて解説!
まとめ
効果的なO2Oマーケティングは、ECサイトやアプリなどのオンライン施策だけでなく、DMの送付やQRコードを掲載したチラシの配布といった紙媒体マーケティングとの連携がポイントです。その際に重要なのは、顧客ごとの特性に合わせたプロモーション効果の高い内容にすることでしょう。
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コニカミノルタジャパン株式会社 白井 杏奈Profile:大学卒業後、静岡のIT企業にてプロモーション業務(広告運用、Webサイト制作、オウンドメディア運営、展示会対応、デザイン業務)に従事。その後、MAツールベンダーのデジタルマーケティングを担当。現在はコニカミノルタジャパンにて、Variable Studioの拡販を行うべくグロースハッカーとして勤務している。 Profile:大学卒業後、静岡のIT企業にてプロモーション業務(広告運用、Webサイト制作、オウンドメディア運営、展示会対応、デザイン業務)に従事。その後、MAツールベンダーのデジタルマーケティングを担当。現在はコニカミノルタジャパンにて、Variable Studioの拡販を行うべくグロースハッカーとして勤務している。 |
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