• 2019.12.24

    日本の労働時間が世界各国より長いって本当?その原因を探る

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    日本の労働時間が世界各国より長いって本当?その原因を探る
    「24時間働けますか」というCMがあったように、日本人と言えば長時間労働、企業戦士という時代がありました。2019年から施行された働き方改革関連法でも、長時間労働を是正する流れになっています。
    日本人が世界と比べて長時間労働しているか、あらためてデータで見てみましょう。

INDEX

世界各国の労働時間ランキング

世界各国の労働時間を比較するデータは、OECD(経済協力開発機構)にあります。G7各国の労働時間を比較すると、日本は中位の1,680時間で、カナダやイタリア、アメリカの方が長時間労働しているという意外なデータが出てきます。

G7各国の労働時間(2018)
出典:OECD (2019), Hours worked (indicator). doi: 10.1787/47be1c78-en (Accessed on 01 December 2019)

さらに、日本単独の労働時間推移データを見ると、1980年代の2,100時間台から、2000年代から2010年代の1,700時間台へ一貫して減少傾向にあります。大きな契機となったのは1988年の改正労働基準法の施行です。

日本の労働時間推移(1800-2018)
出典:同上

日本人の長時間労働が解消されているなら、なぜ働き方改革で長時間労働是正が謳われているのでしょうか。

パートタイム労働者を除くと日本人は相変わらず長時間労働!

世界各国の労働時間を比べた結果、日本人はイタリア人やアメリカ人より働いていない、という意外な結果が出ました。一方、働き方改革で長時間労働是正が掲げられているように、実態としては長時間が続いています。

そのからくりは、1990年代前半に15%程度だったパートタイム労働者が、2017年には31%と倍増した影響にあります。日本では少子高齢化を背景に人手不足が続き、6〜7割の企業が人手不足に直面しているという統計データがあります。企業は人手不足の対策として、主婦や高齢者などに採用の幅を広げ、結果的にパートタイム労働者が増えています。

パートタイム労働者の労働時間は正社員の半分程度なので、パートタイム労働者の比率が上がれば一人あたりの平均労働時間が減っていく構造です。
さらにグラフのオレンジの線に見られるように、パートタイム労働者の労働時間は2000年代後半から短くなる傾向にあり、全体の労働時間を押し下げる要因となっています。

年間総実労働時間(就業形態別)とパートタイム労働者比率
出典:第99回 年間の労働時間は1,721時間(2017年)と5年連続で減少しているけど…(日本生命保険相互会社)

結論として、パートタイム労働者を除く一般労働者の労働時間は、グラフの緑の線が示すとおり20年近く2,000時間以上と、日本では長時間労働がまったく改善されていない実情が浮かび上がります。

長時間労働の原因と対策

長時間労働の原因と対策

週休2日制の普及やパートタイム労働者の増加により、日本人の一人あたり労働時間は減少傾向にあります。また、パートタイム労働者の一人あたり労働時間も減少傾向です。
一方、正社員の労働時間は20年以上2,000時間以上と、長時間労働が解消されていません。この原因と対策には何が考えられるでしょうか。

原因は?

一般に景気変動と労働時間には関係があり、企業は不景気なら残業を減らし、景気が回復すれば一時的に残業を増やして対応しますが、正社員の労働時間は高止まりしています。
不景気が長引いた結果、パートタイム労働者を減らしたり新卒採用人数を抑えるなど人件費を抑制した上で、正社員の労働を強化する方向で対応した企業が多かったためです。

そのため、2000年代以降の一人あたりの労働時間が減少した時期でも、正社員だけは長時間労働が続いてきました。さらに運輸業や郵便業など、残業が常態化している業界もあるようです。
本来、労働市場的には景気の回復に伴って正社員を増やすべきですが、企業は新卒採用や教育のコストから、採用するより既存社員の労働を強化する方が容易という側面があります。

一方労働者側は、人材流動性が低い日本の状況や、早く帰りづらい職場の雰囲気も相まって、長時間労働を受け入れざるを得ない状況になっているのです。

対策は?

少子高齢化がすすむ日本では、労働人口の減少による人手不足が企業の存続に影響を与える経営課題になりつつあります。
長時間労働を是正すると、労働者のモチベーションと従業員満足度を高め、人材の定着度を高める効果が生じます。魅力ある職場環境づくりを通じて業務の効率化や社外へのアピールで優秀な人材採用にもつながります。

「オフィスが狭い」、「椅子や机が使いにくい」、「周囲の音がうるさくて集中できない」などオフィス環境に関する不満点があらわになった場合は、オフィスレイアウトの変更も効果的です。例えば、限られたオフィス空間でも隣の音を気にせず快適に仕事をできるようにした事例を次のページでご紹介しています。

「テレワークがしたい」、「紙での業務を見直したい」など効率的に業務を行いたいという意見も出てくるでしょう。いいじかん設計動画カタログでは、働き方や業務の効率化を図るべきだと思っていてもどこから手を付ければいいかわからない、何を導入したら解決できるのかわからない、というお客様におすすめの取り組み方をご紹介しています。こちらで紹介している内容はすべて実例で、多くが中小企業でも実現できる内容となっています。ぜひ参考にしてみてください。

従業員にとって働きやすい環境を整えたらぜひ自社のホームページなどで社外にアピールしてみましょう。テレワークをはじめとした柔軟な働き方に注目が集まる今、働きやすい職場環境であることは求職者にとても魅力的なポイントです。優秀な人材採用にも有効になると考えます。コニカミノルタジャパンではホームページ制作の支援も可能です。採用活動に有効なホームページを作りたい方はお気軽にご相談ください。

長時間労働の対策としては業務効率化や柔軟な働き方を認めるフレックステレワーク、国が進める働き方改革があります。働き方改革関連法は2019年から順次施行され、企業には対応義務が発生します。

これまで努力義務であった時間外労働の上限規制は2019年4月から(中小企業は2020年4月から)法制化されました。上限規制の時間自体は従来と変わりありませんが、上限規制を破ってしまった際に罰則が科せられます。具体的な内容については以下のコラムで解説しています。

コニカミノルタジャパンでは、いいじかん設計と称し、2013年から働き方改革を行ってきました。
社内のICTインフラの整備や、フレックス、テレワークの導入などを進めた結果、残業時間を15%削減※することができました。(※2016年度と2018年度の比較)

コニカミノルタジャパンではこのような自社実践を経て、お客様にも働きやすい環境をご提案しています。ICTインフラの整備やテレワークなど各種ソリューションを取り揃えておりいます。働き方についてぜひご相談ください。「IDEA SHOWROOM」では働き方に関する課題の解決につながるソリューションをご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください



まとめ

働きすぎと言われている日本人ですが、その労働時間は年々減少傾向にあります。実際、世界各国と比較したデータでもイタリアやアメリカより短い統計データが出ています。
しかし、労働時間の減少はパートタイム労働者比率の増加によるもので、正社員だけで見ると数十年に渡り2,000時間以上と、各国トップクラスの長時間労働が続いている実態があります。

少子高齢化を背景に労働人口の減少が進む日本では、過半数の企業が人手不足に陥っていると言われています。長時間労働を是正し、従業員が集まる魅力的な職場づくりで「働き方改革」をすすめましょう。

いいじかん設計 編集部

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