長野県佐久市で、印刷・サイン・デザインをはじめ、幅広くビジネスを展開する株式会社コックス様。印刷ビジネスの主力であるオフセット印刷の需要が年々減少傾向にありました。この問題に応えるために導入されたのが、コニカミノルタのオンデマンド機AccurioPress C4080 (RISAPRESS Color4080) と、多彩な加工を実現するトリマーユニットTU-510でした。

これにより、小ロットでお客様のニーズにきめ細かく応える印刷加工が可能になるとともに、オフセット印刷との役割分担が実現。さらに外注費の削減や時短、印刷の効率化にも大きく貢献することができました。

長野県佐久市で創業72年を迎えた株式会社コックス様。印刷会社としてスタートしましたが、現在は印刷はもちろん、サイン関係、Web、デザインなど幅広くビジネスを展開されています。「COX」とは日本語で舵手。お客様に寄り添い、パートナーとしてコミュニケーションの舵取りをしていくことを使命としています。

このほど導入されたコニカミノルタのオンデマンド印刷システムについて、常務取締役の小平雅志様にお話を伺いました。

「世間ではWebなどのデジタル媒体の活用が増えていますが、当社はアナログ、紙媒体の良いところも見つめ、ちゃんと棲み分けをしたいと考えていました」と小平常務。しかし今までと同じことをやっていても印刷の需要は伸びてはいきません。

「ただ、お客様の伝えたいという気持ちというのは、昔から変わっていないと思うんですね」。お客様の発信したい情報を” 手触り”とともに伝えられる紙媒体の魅力を維持し続けることが、情報発信を担うプロの役割です。その一つの手段として、小ロットで、お客様の個々のニーズに的確に応えられるオンデマンド印刷に注目。「デジタル印刷なら、アナログ印刷ではできないことができる。当社の武器になるのでは、と考えていました」。

小平常務は、何年も前からオンデマンド印刷時代の到来を予見。何社ものメーカーのショールームを巡り、実機を見学してきました。「その中ではコニカミノルタさんが現状に即した機器を提供しているなと感じていました」。展示されている機器を通して、コニカミノルタは印刷業界をよく理解しているな、という認識がありました。

「5年先の仕事を見据えると、これからの仕事にオンデマンド印刷機は必要不可欠」。ショールームを巡るうち、強く感じた小平常務は、印刷の写植機時代から付き合いのあった株式会社モリサワを通して、コニカミノルタのAccurioPress C4080（RISAPRESS Color4080）とトリマーユニットTU-510の導入を決定。2023年の12月に導入し、すぐに運用を開始しました。

AccurioPress C4080 は、高画質と多彩な用紙への対応力を実現するとともに、自動品質最適化ユニットIQ-501で高い評価を得ているオンデマンド印刷機です。そして同時購入したトリマーユニットTU-510は、印刷の後工程である、断裁やスジ押し、ミシン目入れなど多彩な加工を実現します。

導入にあたっては、工場内を区切ってオンデマンド印刷室を新設。デジタル印刷専用のスペースを設けました。年末の導入だったため年賀状印刷の需要もあり、すぐに運用を始めました。刷り上がりの結果をお尋ねすると、「テカリが抑えられていて、細かい調整も効きます。これまでのデジタル印刷機の認識は大きく変わりました」。お客様の評判も上々で、品質にも満足しているとお褒めいただきました。

C4080とTU-510を併用することで、ワンパスでさまざまな加工が実現。「現状、一番活用しているのは、名刺ですね。ひとつひとつ断裁した形で出力されるので、そのまま納品できます」。三つ折りパンフレットのスジ入れ、クーポンなどのミシン目入れなどにも活用されています。「たとえばオフセットで刷ったものを断裁し、TU-510で加工するということもしています」。工夫を加えて、独自の活用もされています。

C4080とTU-510の連動で、下版したデータからプリント、後加工まですべてがインラインで実現。「これまではミシン目入れなど、外注に出すしかなかったものが自社で、それも一つの工程で完成します」。内製できることにより、外注費の削減が可能になりました。

その他の具体的な効果として、「実感として作業工程が約半分、作業時間は半分以下、印刷物によっては、たとえばいままで3 日かかっていたものが1 日で完成してしまいます」。オペレーションは現在、小平常務がお一人で担当。「操作も簡単です。これからは職人に頼らない時代になってくると思います」。デジタル印刷ならスキルレスで一定レベルの品質を保った印刷が可能になります。

「後加工の仕上がりに関しては、まだ課題がある部分もありますが、おそらく私自身の熟練と工夫で解決していけると思います」。それでも、オンデマンド機の導入は初めてなので、戸惑うこと、わからないことも多々あるそうです。「そんなときはコニカミノルタのサービスに電話したり、訪問してもらったりしています」。対応も迅速、丁寧でたいへん助かっているとのこと。

「導入して６カ月なので、まだオンデマンド印刷も後加工も手探りの状態です」と小平常務。ただ上手に活用することで、コックス様が目指す企業戦略に沿ったきめ細かな制作物の提供が可能になります。「小ロット印刷というメリットを生かした展開も可能になると思います」。ファミリー向け、高齢者向けなど、ターゲットを絞ったマーケティング戦略が実現できます。

今回のオンデマンド機の導入により、広報誌など大ロット印刷物はオフセット、名刺や冊子など小ロットのものはオンデマンド機と、印刷物の役割分担も可能になりました。「C4080とTU-510で、ああいうことも、こういうこともできると構想は広がります。ビジネスの可能性も広がったと考えています」。さらに、対内的にも、労働時間の減少、ヤレ紙の削減など、SDGsへの貢献面でも効果が見込めるとおっしゃいます。

「我々の企業ミッションは、お客様のビジネスのブランド戦略構築のお手伝いをすること。お客様の今を、ターゲットにいかに早く伝えるかが大切なのです」。そこにデジタル印刷を活用したマーケティングが大きな意味を持ってきます。

「オンデマンド印刷機とトリマーユニットの導入で、これまで点だったものが線で結ぶことが可能になりました」。コックス様のプロデュース力、提案力、印刷対応力など、個々の点がオンデマンド機で一つに結ばれ、大きな戦力になっていきます。

「当社のデジタル印刷ビジネスはまだ始まったばかり。お客様のニーズや時代の変化に合わせて進化させていきたいと考えます」。そして、さらなる利便性、効率化を図るために、オンデマンド機だけでなく、DXの推進にも力を入れていきたい、とのこと。

「ビジネスのパートナーとして、コニカミノルタさんの知見やノウハウ、商材でサポートしていただくことが欠かせません」。オンデマンド印刷機の活用を通して、ビジネスの新しい可能性を探るコックス様を取材しました。

1951年、印刷会社として誕生。地域コミュニケーションの舵取りとして、好奇心とチャレンジスピリッツを持ってビジネスの大海原へ挑む。社名に込められた創業当初の思いを胸に、デジタ化、IT化の荒波が印刷業界に押し寄せる中、従来の印刷業からの脱却を図るべく、培ってきた技術と経験を活かし、お客様と共感、共創、共栄しながら、コミュニケーションの創造・プロデュースを行う企業を目指して、改革を進めていく。

※掲載されている情報は取材時のものであり、閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。（取材時：2024年6月）