コニカミノルタ

アニュアルレポート2013

事業レビュー

  • 情報機器事業
  • 産業用材料・機器事業
  • ヘルスケア事業

事業レビュー 情報機器事業 成長分野で売上拡大も、コストダウンの未達などにより減益

オフィス分野

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OPS推進体制の整備が奏功し、グローバル大口顧客(GMA)の開拓が好調

A3カラー複合機(MFP)は新製品効果が寄与し、当期の販売台数は前期を上回りました。A3モノクロ複合機は市場の成熟化が進み、欧州など主要市場で販売台数が減少しましたが、A3複合機全体の販売台数は前期を上回りました。また、当分野の成長施策であるOPS(Optimized Print Services:お客様のプリント環境(出力・文書管理の環境)を最適化することで、コスト削減と効率性の向上を図るサービス)では、グローバル案件への提案力・サービス提供力の強化を狙った体制の整備が奏功し、売上高は前期比44%増の293億円まで伸長しました。また、グローバルレベルでの大口顧客向け販売(GMA:Global Major Account)については、中東欧地域最大級のフィナンシャルグループErste Group Bank AG(本社:オーストリア)や欧州大手エネルギー会社など16社の新規顧客を獲得し、前期比35%増の149億円の売上を計上しました。

積極的なM&Aの実施など、業容転換に向けた基盤強化が進展

OPSとともに進めている「業務プロセス改善サービス」を実行する上で核となる「ITサービス力・ソリューション提案力の強化」を図るため、ITサービスプロバイダーであるSerians S.A.S.(本社:フランス)を2012年6月に、Raber+Märcker GmbH(本社:ドイツ)を同12月に買収し、中堅中小企業のお客様の業務プロセス改善に対する提案力を高めました。米国においても、同様のM&Aを5件実施するなど、将来の業容転換に向けた取り組みが大きく進展しました。これらのM&Aの効果もあり、当期のITサービス・ソリューション売上高は、前期比78%増の424億円まで伸長しました。

プロダクションプリント分野

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カラー機、モノクロ機ともに堅調に推移

カラー機は厳しい市場環境の中で米国および日本での販売を伸ばし、モノクロ機は上半期から販売を開始した「bizhub(ビズハブ)PRO 951」「bizhub PRESS 1250」「bizhub PRESS 1052」の新製品効果も奏功し、販売台数はカラー機、モノクロ機とも前期を上回り、二桁近い成長を確保しました。また、小森コーポレーションとの販売アライアンスの成果については、大手商業印刷顧客への営業力強化という当初の狙い通り、北米の大手顧客へのリーチが広がり、上位機の設置台数の拡大に寄与しました。

大手企業向けソリューション提案力の強化を企図したM&Aをグローバルで実施

企業内印刷市場における営業力、サービス力、ソリューション提案力強化を図るため、日本ではオンデマンド出力サービスのリーディングカンパニーであるフェデックス キンコーズ・ジャパン株式会社を2012年5月に、韓国でもFedEx Kinko's Korea Ltd.を2013年1月に買収しました。
欧州では、お客様の印刷物の制作に関わる豊富なマテリアルに加え、コストの最適化やマーケティング企画を得意とし、欧州地域18カ国で事業展開の実績を有する大手プリントマネジメントサービス会社Charterhouse PM Limited(本社:イギリス)を2012年12月に買収しました。
これらのM&Aにより、大手企業への提案力が高まり、すでに日本では大手企業からの大型案件を受注するとともに、CRD(企業内印刷)案件のパイプラインが着実に増加しています。

新規事業領域

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テキスタイルPOD用インクジェットプリンター事業が本格拡大のフェーズへ

将来の成長が有望視される産業用インクジェット分野については、当社が市場をリードするテキスタイルPOD(Print on Demand)用インクジェットプリンター領域において、2013年度から最上位機を本格拡販する体制が整いました。インクジェットテキスタイルプリンターは、その特性から、多品種・小ロット生産を可能にするとともに、環境負荷を大幅に低減できることから脚光を浴びており、事業の新たな柱とすべく、事業拡大を目指していきます。
また、商業印刷市場への展開を目指し小森コーポレーションとインクジェットデジタル機を共同開発中です。

インクジェット技術で更なる事業拡大を目指して

プロダクションプリント分野では、これまで当社が得意とする電子写真技術でライトプロダクションから商業印刷分野へと事業領域を拡大してきました。今後、デジタル化によって更なる事業拡大が見込まれる商業印刷分野に向けて、当社のインクジェット技術と小森コーポレーションの紙搬送技術を活かした次世代高速インクジェットデジタル機の共同開発を進めています。

これらの結果、当期の情報機器事業の売上高は5,816億円(前期比6.2%増)、営業利益は316億円(同19.8%減)となりました。売上高は、カラー複合機の新製品およびプロダクションプリント機の販売数量の拡大やM&A効果などが寄与し、前期比で増収となりました。営業利益は、新製品でのコストダウン計画の遅れや欧州での市況悪化の影響を受けて減益となりました。


売上高・営業利益・営業利益率推移オフィス用A3MFP販売状況(数量ベース)
プロダクションプリント販売状況(数量ベース)ノンハード売上(現地通貨ベース)