新型コロナウイルス感染拡大の対策として、第三回目の緊急事態宣言が発令され、自治体では以前よりもテレワークが強化されてきています。
その傾向はコニカミノルタジャパンが開催している、自治体で働く方々を対象としたセミナーで実施したアンケートからも見て取ることができ、61%の自治体様がテレワークの推進に取り組んでいることが分かりました。
このようにテレワークの推進に前向きな自治体は増えているものの、テレワークの実施・推進ができていない自治体もまだまだ多くあるというのが現状です。
2020年3月に総務省が行った「地方公共団体におけるテレワークの導入推進」の調査によると、都道府県や政令指定都市では導入が進んでいる一方、97%の市区町村は未導入であるとの報告もされています。
なぜ、テレワークの導入が進まないのでしょうか。
主な要因として次の4点が挙げられます。
職場に来て業務をする勤務体系が普遍的なため、職場・上司がテレワークに理解・関心がないことが考えられます。また、上司からしても部下の顔が見えないと仕事をしているか分からず不安になるといった懸念があります。その結果、職場でテレワークが推進されにくくなっています。
社内規程や人事、労務の制度の多くは会社の中で働くことを前提に定められた内容です。テレワークの導入と並行して、これら労務管理規程を見直し、必要であれば改訂を行う必要があります。
多くの自治体では、決裁などの書類やハンコに依存した業務が多いのが現状です。テレワークを導入しても、書類を扱う業務を行うためだけにオフィスに来る必要があります。
ここまでは民間企業でも見られるよくある課題です。しかし、4点目には自治体ならではの要因が挙げられます。
自治体ネットワークの構造セキュリティー対策のため、マイナンバーなどの「住民情報系」「LGWAN接続系」「インターネット接続系」を “三層分離” することで、セキュリティーを担保しています。ネットワーク構造が複雑であることが、民間企業以上にテレワークの実現をさらに難しくさせていると考えられます。
このように自治体でのテレワーク実施は難しいと考えられているところ、いくつかの自治体では試行錯誤しながらもテレワーク推進に取り組んでいます。
佐賀県では、コロナに先駆けてテレワークを実施しており、テレワークの導入から12年以上が経過しています。導入当初の利用率は1.2%程度でしたが、トライ&エラーを繰り返し、現在は年間延べ3,000人以上が利用しています。95%の職員が「テレワークは必要」であると感じており、職員たちの満足度は高そうです。
佐賀県での導入事例は以下のページでもご紹介中です!
大阪市では、2018年からテレワークに取り組んできましたが、2020年4月の最初の緊急事態宣言を機に全職員に対象を拡大しました。
堺市はコロナ感染対策として2,700人の職員の3割のテレワークを目指し、自宅PCから庁内ネットワークにアクセスできる環境を整え始めました。
大阪府内の他の自治体でもテレワーク実施に向けて試行錯誤しながら推進されています。
神戸市では、出勤7割削減の目標を掲げ、制度・環境・意識を整えることで、テレワークを実現しました。在宅でも可能な業務の仕分け、持ち帰り可能なPC調達を行うことで、テレワークを推進しています。
松本市では、ワークライフバランスの実践を図りつつ、新型コロナウイルスなどの影響下でも業務の継続性を保障するための環境を整えることを目標とし、2,000人を対象にテレワークを実施しました。課題の検討を行い、テレワーク導入ガイドラインの策定を目指しています。
そのほかの自治体での課題解決事例については以下よりご覧いただけます。
先に紹介した自治体では、どのようにしてテレワークを実施できるようにしたのでしょうか?
ここからはテレワーク実現のための4つのポイントについて解説します。
庁外でも利用できるPCの調達や、庁外から庁内ネットワークにアクセスできる環境を整備します。
テレワーク制度を導入しても使われなければ意味がありません。いかに職員に制度を浸透させるかが重要になってきます。先の事例紹介にもあったように、佐賀県では、まずは一部の職員に限定して実施し、その後徐々に庁内に浸透させていますね。
ZoomやTeamsなど、テレワーク時でも職員同士のコミュニケーションを支えるツールを導入し、活用する必要があります。
印刷や押印を伴う紙を使った業務のままだと、せっかくテレワークを導入しても出社せざるを得ない状況になってしまいます。書類を使った業務を電子化することで、庁内にいなくても業務を行えるようになります。テレワークの導入は業務プロセスを見直し、必要な書類の整理や書類を使った業務プロセス考え直す良いチャンスにもなりますよ。
自治体でのテレワーク推進におすすめの手順は次の通りです。
3.については「文書決裁・文書管理システム」を導入すると、起案から決裁、保存までの一連の決裁業務をシステム上で行うことができ、紙を生み出さないワークフローを構築できます。そうすることで、テレワーク中でも起案でき、承認者が庁内にいなくても決裁してもらえるなど、より柔軟にテレワークを行うことができます。
コニカミノルタジャパンでは自社実践や多くの民間企業、自治体様や公的機関様へのテレワーク導入を支援してきました。
自治体向けの働き方改革の実現を支援するセミナーも随時開催しています。近日開催のセミナーは以下のボタンよりご覧いただけます。
いいじかん設計 編集部
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