コニカミノルタ

コニカミノルタについて

顧客満足向上と製品安全

新たな品質価値の創出

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コニカミノルタのアプローチ

背景と課題認識

コニカミノルタの事業は、情報機器や医療機器、計測機器など、引渡し後もお客様との長期的なお付き合いが不可欠です。特にサービスビジネス領域ではサービスを提供して終わりではなく、サービス提供後もお客様に寄り添い、お客様の多様化・高度化するニーズに応え、潜在的な課題を先取りする必要があります。そのためには積極的にお客様の現場に入り込み、信頼関係を構築するとともに、お客様と共創し課題を解決する活動が重要だと認識しています。

目指す姿

コニカミノルタは、お客様の声を製品やサービスの改善に活かすとともに、お客様が目指す「ありたい姿」の実現をお手伝いできるよう、「カスタマーリレーションシップ」の強化を図っています。こうした取り組みを通じてお客様満足度を高め、ほかのお客様にも推奨いただけるような関係を築きあげることを目指しています。
また、コニカミノルタではデザイン思考を取り入れ、お客様が真に求める価値を導き出し、よりお客様の視点に立った製品・サービスを提供していきます。

重点施策

  • 満足度調査の継続的な実施と、その結果を踏まえた改善の実施

カスタマーリレーションシップの強化

お客様との長期的なお付き合いを通じて、お客様からの評価と信頼を高めていきます。

コニカミノルタが取り扱う情報機器や医療機器、計測機器などの製品は、ご購入後の継続的なサービスが不可欠です。コニカミノルタは、こうした長期的なお付き合いを通じてお客様からの評価と信頼を高め、ほかのお客様にも推奨いただけるような関係を築き上げることを目指しています。そのため、お客様の声を積極的に収集し、製品やサービスの改善に活かす仕組みを構築するとともに、グループ全体で「カスタマーリレーションシップ」の強化を図っています。

お客様に密着した専門組織設置による顧客価値提供

産業印刷・テキスタイル印刷といったお客様からのカスタマイズ要望の多い領域での搭載判断・実践スピード向上、お客様との信頼関係の強化を狙いとした専門組織を立ち上げました。専門組織では、開発・品証保証・カスタマーサービス・事業部門との連携体制でお客様との直接コミュニケーションを密に行うことにより、特殊メディア対応、ワークフロー・ソフトウェアの最適なカスタマイズ対応や装置の信頼性を向上させる機能改善を迅速に行っています。このお客様に密着した取り組み・要望にお応えした結果として、お客様のプリントボリューム増加やお客様の新規導入案件の増加につながっています。

情報機器事業において、お客様関係力を測るNPS®調査をグローバル展開

情報機器事業では、お客様関係力の強化に向けた取り組みを組織的に展開するため、2012年にカスタマーリレーション(CR)組織を設置し、目標指標に Net Promoter Score® (NPS®)を導入しました。従来からのお客様満足度調査にNPS®を加えた独自の科学的アプローチをグローバルに展開し、その結果を製品・サービス品質の改善に活かしています。
2017年度から、お問い合わせの電話や修理対応など、お客様との接点における満足度とNPS®を把握する「トランザクション調査」システムを導入、2019年度からは導入国を拡大し、2020年度には、「トランザクション調査」システムを利用したサービス改善プロセスを開始いたしました。個々のお客様のご要望や不満点をリアルタイムに把握し、迅速な改善を行っています。NPS®調査による全体的な課題と、トランザクション調査による個々のお客様の課題についてPDCAサイクルを展開することで、NPS®のさらなる向上に取り組んでいます。

Net Promoter Score®(NPS®):企業や製品、サービスを他者に推奨する割合を測定した指標。Net Promoter Score®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

NPS®調査はPDCAサイクルの展開プログラムを実施する対象国数をグローバルに拡大し、2024年4月時点で、日本、米国、欧州、アジアパシフィックの地域(26カ国)で展開しています。
NPS®調査結果は、2014年度のグローバル調査本格展開以降向上を続け、2020年度は22ptとなりました。その後、商品の納品・トナー配送に関連する満足度が大幅に下落したことが影響し、2021年度は11pt、2022年度は2ptとNPS®が低下する結果となりました。コニカミノルタはこの結果を真摯に受け止め、供給遅延の解消と顧客ケアのプログラムによる課題改善に取り組みました。
その結果、2023年度は10ptまでNPS®を改善することができました。
今後も顧客ケアのプログラムを進めるなどしてお客様からの信頼回復に努めていきます。

2021年度に発生した世界的なハードウェア不足や弊社でのトナーの生産事故によるトナー供給遅延によってお客様に大変なご迷惑をお掛けしたことが要因

ヘルスケア事業やインダストリー事業においても顧客満足度を計測しており、その結果をお客様に満足いただける製品・サービス品質の改善に活かしています。

サービスビジネス領域における品質保証体制づくり・実践

サービスビジネス領域では、“モノの保証”から“コトの保証”への転換とプロセスの変革が求められています。“コト”は“モノ”と比べ、「形がない」「品質の事前確認ができない」「結果だけでなくそこに至る過程も重要」などの違いがあり、高信頼品質の実現に向けた課題となっています。
こうした認識のもと、サービスビジネスにおけるライフサイクル全体での品質保証の仕組みづくりとして、この領域の商品特性に合った品質基準や運用ガイドラインの策定など、サービス商品化プロセスを構築し定着を進めています。また、プロセスを運用する人財を育成するため、サービスビジネスに必要なスキルに関する教育を実施しています。コニカミノルタでは、お客様との接点に近い場所でサービスビジネスの開発を実施しており、拠点も世界各地に広がっています。そのため、品質保証強化の仕組みづくりにおいても、グローバルな視点を重視しています。

品質に対する意識転換が必要
サービスビジネス領域における品質対応

デザイン思考による顧客価値の創造

お客様視点での品質向上活動を拡大

コニカミノルタでは、お客様視点での品質向上活動として、日常的にお客様と接している販売会社のスタッフが開発段階での品質評価に参加する「販社合同評価」を実施しています。これに加えて2017年度から、品質に対するお客様の“生の声”を把握するため、品質保証部門や開発部門のスタッフが販売会社とともにお客様を訪問する「C-PIUZ活動」を展開しています。この活動を通じてお客様の感情を汲み取り、製品・サービスの改善に活かしています。
さらにお客様が真に求める価値を「デザイン思考」で導き出し、開発段階ではその仮説検証を、上市後はお客様に本当に価値として認めていただけたかを検証する手法、プロセスを2018年度に構築。よりお客様の視点に立った製品・サービスの開発に取り組んでいます。

C-PIUZ(Customer-Problem In Using to Zero)活動:お客様使用時における品質問題の削減を目指すコニカミノルタ独自の活動

「デザイン思考」を活用したサービス開発を推進

コニカミノルタでは、デザインセンターが中心となって、「デザイン思考」を導入し、「メーカー視点」ではなく「お客様の視点」に立った、価値あるサービスを事業部門と連携して開発しています。デザイン思考とは、お客様への共感をもとに課題を定義し、課題からアイデアを着想して価値を磨き上げるプロセスとマインドセットです。

コニカミノルタでは、デザイン思考を取り入れ、印刷現場やヘルスケア、工場の設備保全などの幅広いビジネス分野で、お客様視点に立ったサービス開発を推進しています。例えば、工場の設備保全サービスでは、関わるさまざまなステークホルダーへのヒアリングを行うとともに、パトロール業務に同行し、お客様のワークフローを自ら体験しています。現場が抱える潜在的な課題を発見し、仮説を構築し検証を繰り返しながら未来にあるべき安全な設備保全の姿を体験ストーリーにしてお客様にわかりやすくお伝えし、ガスや熱を可視化する新たなソリューションの共創を行いサービス開発の実現につなげています。コニカミノルタは、今後もさまざまな事業領域でお客様が真に求める価値創出を追求して社会や地域環境の課題提起/解決に貢献するイノベーションを創出していきます。

デザイン思考を取り入れた活動とツール

サポート体制

グローバルで統一されたサポートを提供する仕組みを構築

グローバル規模で事業を展開するお客様の多くは、世界中のオフィスで利用する複合機などの情報機器の維持管理を本社で一括管理しています。機器メーカーにサポートを依頼する際、窓口となる本社と、実際にサポートを要するオフィスが別の地域という場合もあり、的確かつタイムリーなサポートを提供するためには、メーカー側にもグローバルな体制づくりが求められます。
そこで、コニカミノルタは、グローバルで統一されたサポートを提供するための仕組みを構築。世界中の販売会社に配置されているサポート担当者を組織化し、お客様に対する窓口を「GSC(グローバルサポートセンター)」として一本化しています。また、専用のITツールを活用することにより、GSCにいただいたサポート要請を世界中の担当者が共有し、ハード面の対応には現地のカスタマーエンジニアが出動、ソフト面では専門スタッフが遠隔サポートで解決するなど、タイムリーで最適なサポートを実現しています。さらに、問い合わせ内容や対応結果をデータベース化し、グローバルに共有することで、サービスレベルの均質化につなげています。

カスタマーリレーション推進担当者の育成制度「CRマスタープログラム」を展開

コニカミノルタでは、世界各地の販売会社のCR推進担当者のスキルアップを目的に、独自のCR活動を体系化した教育・認定プログラム「CRマスタープログラム」を展開しています。このプログラムに参加している販売会社から、CR推進者だけではなく、全従業員向け教育プログラムの開設要望が強く、2017年度に、カスタマーセントリックな考え方・行動指針を現場メンバーに示すe-LearningプログラムであるCRホワイトベルトを設置しました。わかりやすい教材を英語版と日本語版で作成して、各販売会社に共有し、すでに教育を開始した販売会社から高評価を得ています。2020年度には、CR推進者向けのコミュニティサイトをオープンし、各国のCR活動事例を共有することで、グローバルにCR活動の品質向上を目指しています。

「CR ホワイトベルト」のe-Learning教材の画像イメージ

サポート品質向上のための研修を外部パートナーも含めて実施

情報機器事業では、世界中すべての地域のお客様に対し、高いレベルで均質なサポートを提供するために、自社グループのカスタマーエンジニアはもちろん、販売代理店などの外部パートナーも対象とした各種の製品技術研修を展開しています。
その中の、「製品サービス研修」は、各製品の導入・設置やメンテナンス、修理対応に不可欠なスキルと知識を身につけるもので、インストラクター主導の実践的なスキルアップ研修と、e-Learningによる知識習得の、2つの研修形態で実施しています。
また、コニカミノルタ独自の技術資格認定プログラム「OUTWARD」を通じて、カスタマーエンジニアの継続的な技術レベル向上を図っています。このプログラムは、「アソシエイト」からスタートして、「プロフェッショナル」「エキスパート」「マスター」、「ディプロマ」という5段階の認定レベルで構成されており、コニカミノルタ製品をサポートするための基本的な知識習得から、ハイレベルな専門スキルの習得まで、段階的なスキルアップを可能にしています。
今後もこれらの研修の対象者を世界的に拡大することで、グローバルな規模でお客様満足を実現していきます。

リモートメンテナンスの導入を促進

ヘルスケア事業が提供する製品は、患者様の生命に関わる医療現場で使用されるため、故障、トラブル、お問い合わせなどについては特に素早い対応が必要です。このためコニカミノルタは、コールセンターを設置し24時間/365日の体制で、医療現場の障害を最短で取り除くための活動を継続的に行っています。特に「お客様の電話待ち時間短縮」「コールセンターの自己解決力の強化」「お客様満足度の向上」に注力し、それぞれKPI※1を設定してより良いサービスの実現に取り組んでいます。
その手段として、国内コールセンターでは、インターネットを介してお客様先の製品を遠隔操作し、トラブルを早期解決する「リモートメンテナンス」の導入を積極的に進めてきました。これにより、エンジニアが出動することなく遠隔でトラブルが解決できるため、製品・サービスのダウンタイムを削減し、医療現場における障害時間の短縮を実現しています。
2023年度にコールセンターが受け付けた電話の約70%がリモートメンテナンスを利用されているお客様からのものでした。結果として、製品・サービスのダウンタイムが年間で約50,000時間※2短縮され、2010年度と比較し約2倍の削減時間を達成、2018年以降はその水準を維持しています。また、リモートメンテナンスの活用によりエンジニアの車両での移動が減少、ガソリン使用量が抑えられ、CO2排出量の削減にもつながっています。
コニカミノルタは、2017年度に国内医療業界初のCOPC認証※3を取得しましたが、これからも厳格な認証基準を満たすコールセンターの品質を維持、発展させていきます。

※1
KPI (Key Performance Indicator):重要業績評価指標
※2
独自の指標で試算
※3
COPC認証:パフォーマンスの優秀な組織のみが認証を得られるコールセンター向け国際品質基準

リモートメンテナンスの仕組み
「リモートメンテナンスの仕組み」の図

ダウンタイム削減時間推移
「ダウンタイム削減時間の推移」のグラフ

オンライン販売の導入

コニカミノルタでは情報機器事業(日本)において、お客様の利便性を向上するためにオンライン販売を導入しています。

2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
オンライン顧客数の割合(%) 33 45 54 59
オンライン収益の割合(%) 3.4 3.6 3.8 3.9

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