気候関連財務情報開示(TCFD)
基本的な考え方
TCFDの提言に基づく4つのテーマに関する開示
コニカミノルタの環境経営は、「環境課題を解決していくことで、事業を成長させ、さらには新しい事業を創出していくこと」をコンセプトとし、気候変動をはじめとした地球環境課題の解決に貢献するとともに、会社の成長を図ることで、社会から必要とされる会社になることを目指しています。地球規模での気候変動問題を解決するには、自社だけの取り組みでは限りがあります。そのため、コニカミノルタは、お取引先、お客様を中心とするステークホルダーとの連携によって地球上のCO2削減に積極的に関わっていく「カーボンマイナス」の実現を目指しています。「カーボンマイナス」とは“自社責任範囲と定められるCO2排出量(スコープ1、2、3排出量)(注)に比べて、責任範囲外でのCO2削減貢献量(スコープ1、2、3以外での削減)を多くすること”と当社では定義しています。
また、近年の社会の要請を鑑み、自社責任範囲のCO2排出量において「ネットゼロ」を目指すことといたしました。ステークホルダーが社会的責任を果たす活動の支援をするだけでなく、自社の社会的責任を果たすことで、脱炭素化の効果を加速するとともに、ステークホルダーとの結びつきを広げ、ともに事業成長していくことを目指します。
注
スコープ1:燃料の使用などを通じて企業が「直接排出」する排出量
スコープ2:他社から供給された電気、熱、蒸気を使用した事による「間接排出」の排出量
スコープ3:スコープ1,2以外の、原料調達・物流・製品使用などバリューチェーンで発生する自社の事業活動に関連した排出量
低炭素社会に向けた移行計画
コニカミノルタでは、パリ協定の実現に向けて、科学的根拠に基づくCO2削減の2030年中期目標(SBT:Science Based Targets)を設定しています。目標達成に向けた移行計画として、省エネ生産技術開発、再生可能エネルギー由来電力の導入、ペーパーレス事業へのビジネス転換、CO2フリー燃料の導入検討などのCO2削減施策を、短期・中期・長期で設定し、自社責任範囲のCO2排出量を削減する計画を策定しています。
また、コニカミノルタでは「気候変動への対応」を、長期の経営ビジョンにおいて取り組むべき5つのマテリアリティの1つとして特定しています。事業活動を通じて社会課題の解決に貢献することで、中長期の企業価値向上につなげていきます。
具体的には、企画・開発段階で製品やサービスに脱炭素化に向けた価値を盛り込む「グリーンプロダクツ活動」、生産時の脱炭素化を目指す「グリーンファクトリー活動」、サプライヤーとともに脱炭素化を目指す「カーボンニュートラルパートナー活動」、販売・サービスにおいてお客様の脱炭素化を支援する「グリーンマーケティング活動」や「環境デジタルプラットフォーム」などを進めます。再生可能エネルギーは欧州、北米、日本、ASEANにおいて導入計画の前倒しを計画しています。
2025年に向けた事業ポートフォリオ転換により、インダストリー事業を中心とした事業拡大の影響でスコープ1,2排出量が増加する可能性があります。そのため、上記活動に加え、インターナルカーボンプライシングを活用したCO2排出抑制の施策も検討しています。
同時に、産業印刷事業領域などを拡大することで、お客様先でのCO2排出量を大幅に削減し、お客様の脱炭素化および循環型社会の形成の実現を後押ししていきます。印刷産業やアパレル産業のサプライチェーンを変革するオンデマンド生産デジタルソリューション、製品カーボンフットプリントを低減した機能材料、使用済みプラスチックの分別性・リサイクル率向上に貢献する材料技術・センシング技術などにより、大量生産・大量廃棄の事業モデルを変革し、お客様企業の生産性を向上することで、稼働時間の無駄をなくしエネルギー使用および化石資源使用の削減に寄与します。これら事業を通じた活動は、中期環境計画の中で「CO2削減貢献量」「地球資源※1の削減貢献量」を重要管理指標に設定し、経営戦略の中核を担う活動として推進しています。
コニカミノルタは、G20金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD※2:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の最終報告書「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言」に2018年に賛同しました。TCFDのフレームワークに沿って気候変動問題への取組みを開示します。
※1 地球資源 :原油や鉱物資源などの新たな採掘をともなう資源で、一般に枯渇性資源と同義。
※2 TCFDは2023年10月12日に状況報告書を発表すると同時に、その任務を終えて解散しました。