JAUNDICE METER黄疸計 JM-105
JAUNDICE METER黄疸計 JM-105
認証番号:225AABZX00063000
Q&A(使い方・サービス編)
- Q1. 平均化設定は何回が推奨でしょうか?
- Q2. 日本人とは肌の色が違う外国人の赤ちゃんにも黄疸計 JM-105は使えますか?
- Q3. 測定部位は胸(前胸部)と額(前額部)のどちらがよいのでしょうか?
- Q4. 黄疸計を用いた推奨の黄疸管理方法はありますか?
- Q5. 黄疸計 JM-105は、どのように消毒すればいいですか?
- Q6. 新品なのにリーディングチェッカーの値が範囲の中心からずれています。異常でしょうか?
- Q7. 何年も校正していなくても、リーディングチェッカーの3つの値が範囲内であれば、問題ないのでしょうか?
- Q8. 定期点検はどの程度の頻度で行えばいいのですか?
- Q9. 修理や点検・校正はどこに出せばいいですか?
- Q10. 修理や点検・校正時に代替機を貸し出してもらえますか?
- Q11. 購入を検討していますが、見積書はどこに依頼すればいいですか?
- 1. 平均化設定は何回が推奨でしょうか?
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測定時に発生する傾き誤差などを軽減するためには、平均化「無し」(初期設定のまま)を推奨します。
平均化「無し」の設定で3回測定を行ない、その中央値(2番目に高い数値)を測定値として採用します。
例えば、測定した3つの値が11.2mg/dL、10.7mg/dL、12.8mg/dLであれば、中央値は11.2mg/dLとなります。これにより、測定手技の問題と思われる極端に逸脱した測定値を取り除くことができます。
JM-105では3つの測定値を同時に表示する事が可能ですので、この測定方法を容易に行うことが出来ます。平均化の機能は、複数部位のTcBを平均化するなど主に研究用途での使用の為と考えています。同一部位の測定誤差を低減するためであれば特に必要ありません。
- 2. 日本人とは肌の色が違う外国人の赤ちゃんにも黄疸計 JM-105は使えますか?
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JM-105は、世界中で新生児黄疸管理に使用されています。一方、JM-105の測定値でどのような判断を行うかは各国固有のガイドラインや推奨使用方法によって異なります。
本件に関連した医学論文では、Pediatrics誌で黄疸計 JM-103での各人種の測定値を評価した論文 “Evaluation of a New Transcutaneous Bilirubinometer: M.Jeffery Maisels他” 3) があり、以下の表現で黒人でも JM-103の有効性を示唆しております。
“The correlation in black infants is not as close as in other groups, but because the tendency in blacks is for the JM-103 to overestimate serum bilirubin levels, dangerous clinical errors are unlikely to occur.”
JM-103/JM-105によるスクリーニングが黒人に対して有効かどうかは、こうした論文を元に、医師においてご判断いただきますようお願いいたします。
- 3. 測定部位は胸(前胸部)と額(前額部)のどちらがよいのでしょうか?
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黄疸計では前胸部、前額部での測定性能を確認しておりますが、以下の理由で前胸部を推奨します。
- 前胸部はターゲットが広く、安定した測定に向いている事
- 胸を見て赤ちゃんの全身状態の観察も同時にできる事
- 前額部は外光の影響を受けやすくTSBとTcBの相関が日齢が増えるほど悪くなる可能性がある事
- 4. 黄疸計を用いた推奨の黄疸管理方法はありますか?
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黄疸計は国内のほとんどの周産期医療施設で使用されていますが、その使用方法に関する全国共通のガイドラインは存在しません。
最も一般的な黄疸管理は、次のステップで行われます。
(1)各施設でTcB値による採血基準を設定
(2)黄疸計でTcBを測定
(3)採血基準をTcBが超えれば採血によるTSBを測定
(4)TSBが治療基準を超えている場合は必要な治療を開始
正期産児または後期早産児の生後72時間以内のスクリーニング基準 4)や早産児のTcBによるモニタリング方法 5)に関しては、日本新生児黄疸管理研究会による「黄疸計JM-105の推奨使用法」で紹介されています。2)
- 5. 黄疸計 JM-105は、どのように消毒すればいいですか?
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黄疸計 JM-105本体の消毒においては、消毒薬液を含ませた脱脂綿またはやわらかい布で拭いてください。
その後、ぬるま湯や水を含ませた脱脂綿またはやわらかい布で消毒液を拭き取ってください。使用可能な消毒薬液は以下となります。
成分名 上限濃度 主な製品例とその製造販売元 エタノール 81.4 vol% 消毒用エタノール シオエ製薬(株) 次亜塩素酸ナトリウム 0.06 % 病院用ハイター 花王(株) クロルヘキシジングルコン酸塩 0.10 % マスキン液 5w/v% 丸石製薬(株) アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩 0.05 % 0.1w/v% ハイジール水 日興製薬(株) イソプロパノール 70 vol% イソプロパノール消毒液 70%「カネイチ」 兼一製品工業(株) 【注意点】
- 清拭時に消毒薬液を過度に含ませると、内部に液体が侵入し故障の原因となりますので注意してください。
- 清掃後は十分に乾燥させてください。
- 乾燥時にドライヤーなどは使用しないでください。
- 上限濃度を超えた濃度の消毒薬液を使用した場合は、本体が劣化するおそれがあります。
- 消毒液の使用にあたっては、各消毒液の注意事項および用法・用量に従ってください。
- 6. 新品なのにリーディングチェッカーの値が範囲の中心からずれています。異常でしょうか?
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チェッカーに記載されている基準値の範囲内であれば、異常ではありません。
範囲外であったとしても、手技による測定誤差によるズレが発生した可能性も考えられます。
L, S, ⊿3つの値のいずれかがリーディングチェッカーの基準範囲内にない場合は、もう一度、ゆっくりと慎重に測定プローブを押し込んで再測定してください。
数回慎重に測定を繰り返しても同様の結果になる場合には、メーカーによる校正が必要となりますので、販売店にご相談ください。
- 7. 何年も校正していなくても、リーディングチェッカーの3つの値が範囲内であれば、問題ないのでしょうか?
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メーカーとしては、年に1度の定期校正を推奨しております。リーディンチェッカーを測定した値は発光量が適正かどうかを確認しているだけで、測定値自体が適正である事を確認するものではありません。
L, S, ⊿3つの値が全て範囲内であっても、メーカーによる測定値そのものの定期点検・校正を実施する事をお勧めいたします。
- 8. 定期点検はどの程度の頻度で行えばいいのですか?
- 機器を長期間安心して使用していただくために年に1回の定期点検・校正を推奨しております。
また黄疸計に搭載される光学ユニットは経時変化しますので、チェッカーモードでドッキングステーション(充電台)付属のリーディングチェッカーを測定し、L, S, ⊿それぞれの値がドッキングステーションに記載されている数値の範囲から外れた場合には、1年経過していなくても校正にお出しください。
- 9. 修理や点検・校正はどこに出せばいいですか?
- 黄疸計を購入された販売店またはコニカミノルタジャパン株式会社ヘルスケアカンパニーにご相談下さい。
- 10. 修理や点検・校正時に代替機を貸し出してもらえますか?
- 製造販売業者であるコニカミノルタ株式会社から、販売店を通して代替機をお貸し出しする有償サービスがございます。
お貸出しする機器は送付前にメーカーサービス部門にて、機器の点検・校正を行ったうえでお貸出し致しますが、ご注文から貸出機の手配には1週間程度掛かります。
まずは、黄疸計を購入された販売店またはコニカミノルタジャパン株式会社ヘルスケアカンパニーにご相談下さい。
- 11. 購入を検討していますが、見積書はどこに依頼すればいいですか?
- まずは、黄疸計を購入された販売店またはコニカミノルタジャパン株式会社ヘルスケアカンパニーにご相談下さい。
参考文献
1)厚生労働省「新生児黄疸の実態調査」1985; 445-452
2)日本新生児黄疸管理研究会「黄疸計 JM-105の推奨使用法」2021; 1-11
3)Maisels MJ, Ostrea EM, et al: Evaluation of a New Transcutaneous Bilirubinometer. Pediatrics 2004; 113(6); 1628-1635
4)Kuboi T, Kusaka T, Kawada K, et al: Hour-specific nomogram for transcutaneous bilirubin in Japanese neonates. Pediatr Int 2013; 55: 608-611
5)日本医療研究開発機構(AMED)難治性疾患実用化研究事業「早産児核黄疸の包括的診療ガイドラインの作成」班「早産児ビリルビン脳症(核黄疸)診療の手引き」2020; 1-73