ペーパーレス会議では紙の資料を電子データに置き換えPCやタブレット、プロジェクター投影などで共有します。さらに「紙に縛られた働き方」から開放されることで、遠隔地から参加するリモート会議も可能になります。
ペーパーレス会議には5つのメリットがあるとされています。
紙の資料を削減すると、数字に現れる効果がコスト削減です。プリンターの印刷代、紙代、さらに保管期限がある資料の場合は保管場所も必要です。
例えばペーパーレス会議を導入した中野区教育委員会の事例では、年間35,000枚の紙を削減しました。
ペーパーレス会議の効果をアンケートすると現場からよく上がってくるのが「業務負担が軽減された」です。下準備に使っていた時間を別の作業に当てれば、生産性を向上できます。
前述の中野区教育委員会の例では会議の度に35部の資料が必要で、その資料は100枚に及ぶこともあり、ペーパーレス化の効果を実感されています。
印刷した資料は直前の修正ができないことがほとんどです。電子データであれば、直前まで資料のクオリティーアップに努めたり、重大なミスを修正したりできます。
PCベースの会議に慣れてくれば、その場で議事録を作成したり、会議の結果を資料に反映する使い方も可能です。
紙文書の場合、一旦印刷されると誰がいつ何を見たかを把握できません。また、資料の置き忘れなどの紛失リスクもあります。
電子データ化しファイルサーバーで管理すれば、アクセス権やアクセス期間の設定、アクセスログの管理を通じてセキュリティーリスクを低減できます。
リモート会議を行うには、遠隔地の参加者にも資料が行き渡っていなければなりません。ネットワーク経由で簡単に利用できるクラウドストレージなどを活用して電子データを参加者に共有すれば、場所にとらわれず会議に参加できるようになり、移動時間やコストが削減され生産性が向上します。
また、参加できなかった関係者へも議事録も含めて情報共有しやすくなり、会議での意思決定を周知しやすくなります。
紙ならその場で資料に書き込めますが、電子データでは難しいことがあります。ペーパーレス会議に切り替えた当初は、不便に感じるかもしれません。
一方、WordやPDFにもコメントや校正機能があり、指摘箇所を共有できるメリットがあります。したがって、ツールの選定や利用方法の周知を通じて解消できる部分もあります。
全文検索や大量データからの検索などは電子データの得意な分野ですが、例えば巨大な帳票や大量のページをディスプレイで表示するのは困難です。この点は、紙文書の優れた点と言えるでしょう。
パソコン操作に不慣れな参加者が混じっていると、必要な資料がなかなか開けないなど会議の進行に影響があります。リテラシーの高いメンバーが代表して操作しプロジェクターで投影するなど、工夫が必要です。
ペーパーレス会議のメリット、で列挙されているどれを目的とするのか明確化します。目的によって社内関係者への説得方法も異なってきます。また、会社全体の長期的な業務効率化も考えて、紙文書が残っている業務を見直すこともおすすめします。
ペーパーレス会議を導入するには紙文書の削減が前提となりますが、既存の文書管理規程、社内ワークフロー、セキュリティー規定への影響、あるいはファイルサーバーの新設に対する初期投資など、経営陣の承認の元進めることになるでしょう。
いきなり全てをペーパーレス化するのは大変です。一時的な不便が生じて参加メンバーから不満が出るなど、導入が頓挫する原因になります。
紙の方が視認性が高い資料は印刷するなど柔軟な運用、あるいはITリテラシーが高い部署で試験導入して効果を確認するなど、段階的な導入がおすすめです。
ペーパーレス会議を行うためのITツールは、すでに様々出ています。
クラウドストレージの「Box」やWeb会議システムの「WebEx」、ワイヤレスでPC画面のモニター投影が可能なwiviaなど目的に応じていくつかのツールを組み合わせましょう。
ペーパーレス会議を成功させるには、日頃の業務を見直して、会社全体で紙を発生させない仕組みをつくることが効果的です。
本社オフィス移転を機に紙文書削減に取り組んだコニカミノルタジャパンでは、全社で富士山1.2倍相当の紙文書を86%削減、本社オフィスのキャビネット数では500個→98個と80%の削減・維持に成功していますので、ご参考になさってください。
紙文書を電子データに置き換えてPC等で共有するペーパーレス会議を導入すると、業務効率化やコスト削減のメリットがあります。逆に、メモの取りにくさや視認性の悪さなどがデメリットとして挙げられます。
またペーパーレス会議が実現すると、遠隔地から参加するリモート会議も可能になり、場所にとらわれない働き方が可能になります。
導入にあたっては紙文書の今後の取り扱いをどうするかが課題となります。紙文書の現状を調査し、ペーパーレス化した場合の影響範囲を調べ、適切な業務見直しを行いましょう。
なお、適切な文書管理ルール制定やツールの導入には一定のノウハウが必要です。
コニカミノルタジャパンでは自社で紙文書削減を実行し現在も運用しているノウハウがありますので、紙文書削減あるいはペーパーレス会議の導入をご検討の方はお気軽にご相談ください。
いいじかん設計 編集部
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