乳がんの治療乳がんの治療

乳がんの治療には、手術(外科治療)・放射線治療・薬物療法があります。どのような治療を選ぶかは、がんの進行度合い、がんの性質、患者さんご本人の状態や希望に応じて、医師とよく相談したうえで決めます。

標準治療とは

治療法を決めるには、学会などの診療ガイドラインに沿った「標準治療」が基本となります。標準治療とは、科学的根拠に基づく観点で現在利用できる最良の治療であることが示され、多くの患者に推奨される治療のことをいいます。

手術

乳がんの治療は、手術によってがんを取り去ることが中心です。
がんが小さい場合には、がんとその周りの組織を部分的に切り取る「乳房部分切除術」が可能です。
がんが大きかったり広がったりしている場合は、乳房全体を切り取る「乳房全切除術」をおこないます。乳房全切除術の後に、失われた乳房を元の形に近づけるための「乳房再建術」をおこなうこともあります。

放射線治療

放射線を照射することで、がん細胞を死滅させたり小さくしたりする治療法です。乳房部分切除術を受けた患者さんすべて、および乳房全切除術を受けた患者さんのうちの一部は、再発を防ぐための放射線治療をおこないます。
乳房部分切除術後の放射線治療は、一般的には乳房全体に3週間~5週間かけて毎日照射する「全乳房照射」ですが、特定の条件にあてはまる患者さんには、数日間で照射を終える「加速乳房部分照射」の選択肢もあります。

薬物療法

使われる薬には、抗がん剤・ホルモン療法薬・分子標的薬の3種類があります。多くの場合は手術後に再発の危険性を下げる(体のどこかに潜んでいるがん細胞を攻撃する)ための薬物療法ですが、がんの状態によっては手術の前に腫瘍を小さくするなどの目的で「術前薬物療法」をおこなうこともあります。

緩和ケア(支持療法)

乳がんと診断されたときから、がんとその治療に伴う心と体のつらさを和らげて生活の質を上げるためのサポートを受けることができます。

乳がん治療の流れ

ここでは、初めて乳がんが見つかった患者さんで、他の臓器への明らかな転移がない方を例にとって、大まかな治療の流れを示します。

乳がん治療の大まかな流れ

乳がん治療の大まかな流れ
乳がん治療の大まかな流れ

関連情報 乳がんの治療について:https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/treatment.html