――今回は人事統括部 人事部長の伊﨑 公司さんと、DXソリューション事業部 ITS事業推進統括部 ITサービス企画部 部長の榎本 宏康さんにお話を伺います。まず自己紹介と、現在の業務内容について教えてください。
伊﨑さん「営業のキャリアからスタートし、2008年からは人事としてのキャリアをスタートしました。現在は人事部の責任者として、人事制度統合や働き方改革含めダイバーシティ推進などに携わっています。」
榎本さん「入社してから10年間、首都圏エリアの営業をしていました。そこから商品企画や営業支援を経験しました。現在は、ITサービスの予算達成に向けて、商品やサービスの企画だけでなく、様々な戦略・戦術・施策を検討し実行する部門で働いています。」
――コニカミノルタジャパンでは2013年から働き方改革の実践を進めていますね。
伊﨑さん「はい。変化の激しい社会のなかで、これからの企業で必要とされるもの、良いものを先取り検証するため、オフィス移転をきっかけとして働く場所と働き方を大きく変えました。「いいじかん設計」は、自社が働き方を変えなくてはいけないという気付きにより変革をデザインし、実践したなかから生まれたものです。この自社実践で得た知見を他のお客様企業にも使っていただけるように、ナレッジを伴うコンセプトとして打ち出しています。」
――働き方改革という視点で社内のテレワークの推進を振り返るといかがでしょうか。
伊﨑さん「テレワークは「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス」の3種類があります。
最初は部署毎によるトライアル(訓練)を行いました。そして実態調査に基づく従業員のテレワーク環境確認と準備(ハード/ソフト/ネットワーク環境/近隣のサテライトオフィス利用)、それから実行とフィードバックという3ステップで実行しました。
コニカミノルタジャパンではこのテレワークトライアルを2016年の7月~8月に実施し、得られた検証結果をもとに翌年2017年から正式運用を開始しています。
ですが前回のインタビュー記事にもある通り、開始から3年間の利用者は少数でした。それでも徐々に利用者は増え、2020年を迎えるころには週1回以上利用する従業員も増えてきました。」
――テレワークも段階を踏んで導入、社内での利活用浸透へと進めてきたのですね。社会に先駆けての取り組みだったかと思いますが、なぜテレワークを導入することになったのでしょうか。
伊﨑さん「テレワーク導入の狙いは従業員満足度(ES)の向上、顧客満足度(CS)の向上、事業継続性の確保(BCP)、人財確保、業務効率の向上、企業イメージの向上など、様々ありますが、もっとも直接的な目的は、従業員が働ける場所の選択肢を増やし、「働きやすさ」を上げることでした。自身のスケジュールに合わせて、その日働く場所を誰もが自由に選べるようにしよう、という考えでした。」
――そうすることで時間や場所の制約で働きたくても働けない、という人も働ける、この会社で働きたい、働き続けたいと思ってもらえるので、人財確保ができるということですね。2030年問題特集でも触れた労働人口の減少などの課題の解決にもつながります。
伊﨑さん「ですから、テレワークを導入・実施することがゴールではなく、もっとずっと大きな狙いがあります。」
――それはどのようなものでしょうか?
伊﨑さん「当社は人財戦略の柱に「個が輝く」を掲げています。先が読めないVUCAの時代と言われるなかで、多くの会社側が長期に通用する具体的な事業の成長戦略を描きづらいと悩んでいます。それに付随して従業員のスキルアップも、会社側が人財育成の理想モデルを設定するのは難しくなっています。これからは、従業員一人ひとりが危機感を持ち、自分自身に必要なスキルを身に着けることが「あるべき姿」だと、私は考えています。」
――以前、営業職のテレワーク活用についてお話を伺った中里さんも、テレワークをはじめとした様々な働き方の選択肢から自分自身に合った働き方を考え実践することこそが本当の働き方改革であると教えてくださいましたね。
伊﨑さん「その通りで、働き方の選択を日々繰り返すことで判断スキルが磨かれ、自分がこれからどうなりたいか、自分で描けるようになると思います。会社や上司は、その従業員 が描く理想モデルの実現に向けて支援をしていく立場へと変わってきていると思います。」
――こうした経緯もあって、出社が厳しい状況でもスムーズにテレワークに移行し、効率的に働くことができたという結果につながったということですね。
伊﨑さん「確かに私たちはテレワークを上手く活用できている会社の一つだとは思いますが、多くの企業と同じ問題が、コニカミノルタジャパンでも起こりました。具体的には、代表電話への着信対応、郵便物の受け取り、ハンコ押印、コミュニケーション形式の変化、マネジメント、入社式、研修、面接などです。
これらは一つひとつ対応していきました。代表電話は電話代行、郵便物対応は輪番、ハンコが必要な申請書や稟議書は書式変更や電子印対応等へと切り替えました。そしてコミュニケーション、マネジメント、入社式、研修、面接などはオンラインに移行しました。」
――榎本さんは企画部門のマネージャーとして、当時の部内の変化はどのようなものでしたか?
榎本さん「私たちの部門ではコロナ以前から週1回程度のテレワーク・在宅ワークを推奨し実施していたので、部内業務に大きな支障もなくスムーズにテレワーク環境に移行することができました。
会議なども出社時は限られた会議室の空き状況によって日時設定に制約がありましたが、テレワークであれば会議室の空き状況に左右されずに日時設定が可能になるので、より迅速な議論ができ、早く結論を出すこともできるようになりました。」
伊﨑さん「新型コロナウイルス感染症拡大の影響による全社のテレワーク活用で浮かび上がった不安のトップは「連絡をしづらい」で、次が「部下が仕事をし過ぎていないか」、「上司から評価されているか・部下を評価できるか」などで、ほかの企業と大きく変わらない傾向です。しかし、「連絡しづらい」という問題は、オンラインになったから急に連絡が取れないのか?と疑問に感じました。今まで顔を合わせていたからできていた意思疎通が、オンラインになったら難しくなるというのはなぜなのでしょうか。
調べてみると、テレワークでコミュニケーションの不安を感じている人は、普段の業務でもコミュニケーションに課題を感じていた人ということが分かりました。これは一部の従業員のサンプリングではなく、全従業員を対象とした調査で見えてきた統計的な事実です。
リアルとオンラインのメリット、デメリットを整理してみましょう。皆さんの認識と合っていますでしょうか?」
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いいじかん設計 編集部
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