モダナイゼーションとは何かについて説明するとともに、目的や注目される背景についても解説します。
モダナイゼーション(Modernization)とは、近代化・現代化という意味を指す「モダナイズ(Modernize)」を語源とした言葉です。
古い技術や仕組みによって過去に構築されたレガシーシステムを活用しつつ、現在の技術に適応した近代的なシステムに構築し直すことをモダナイゼーションと呼びます。
モダナイゼーションが注目されているのは、DXに取り組む企業が増えたことと大いに関係しています。
数十年前に自社の業務に合わせて構築された基幹システムを、現在でも使用し続けている企業は少なくありません。これらのシステムが老朽化したとき、当時の技術を理解している人材がおらず、システムがブラックボックス化し、運用やメンテナンスに対応できなくなってしまうのです。
レガシーシステムがDXを進めるにあたってのボトルネックになる可能性が高いことから、このようなリスクを回避するためにも、現在の技術に対応したモダナイゼーションが注目されています。
システムの移行や入れ替えといった意味では「マイグレーション」という言葉もあります。
マイグレーションとは、システム全体をまったく新しいものに置き換えることを指します。これに対し、モダナイゼーションは、既存のレガシーシステムを活用しながら現代の仕様に対応させるという点で異なります。
企業が社内システムのモダナイゼーションを進めることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
新しい技術で構築されたシステムは、古い技術によって構築されたものよりも作業プロセスが簡素化されており、システム運用における生産性が向上することが期待されます。
柔軟なシステム運用が可能となり、ビジネス環境の変化にも迅速に対応できるでしょう。
技術革新によってシステムの運用だけでなく、保守・メンテナンスに関しても効率性が向上します。その結果、レガシーシステムを運用し続けるよりも保守・運用コストの削減につながる可能性があります。
レガシーシステムの機能を拡張しようとした場合、そもそも新しい機能を追加できない可能性が高いと考えられます。仮に搭載可能だと判断されても、そのまま機能の追加はできず、システムの仕様変更を伴うため多くの時間と労力がかかってしまうでしょう。
モダナイゼーションに取り組むことで、システムへの新しい機能の追加や拡張がしやすくなり、実務の現場からのニーズに対応できます。
実務に必要な情報やデータがあったとき、システムが古いままだと、どこに保存されているのかが分かりにくく、データの活用が進まないこともあります。モダナイゼーションによってシステムの構成や仕様を見直すことで、様々なデータへのアクセス性が向上し、必要な情報を発見しやすくなります。
レガシーシステムのなかには、セキュリティー面の脆弱性を抱えているものも少なくありません。
モダナイゼーションに取り組む過程において、セキュリティー上の弱点を一つずつ埋めていくことでセキュリティーが強化されます。
レガシーシステムには、システムの操作マニュアルが整備されておらず、導入当時からの担当者しか操作できない状態のものもあります。つまり、属人的に運用されてきたシステムが多いということです。
システムの刷新とともに、システム設計や運用マニュアルを整備し、業務を標準化することで属人化を解消できます。
ひと口にモダナイゼーションといってもさまざまな手法があります。5つの主な手法と、それぞれの特徴を紹介します。
業務の目的を整理し、それに応じたハードウェアおよびソフトウェアを再構築する方法です。
一からシステムを開発することも可能ですが、導入コストや導入までの期間を最小限に抑えるために、標準化されたパッケージシステムを活用する方法もあります。
既存システムのコードを書き換える手法です。
レガシーシステム自体はそのまま活用しますが、古いプログラミング言語から現在広く活用されている言語に書き換えることでメンテナンス性が向上します。ただし、リライトを行うためには、双方の言語に対応できる専門技術や高度なスキルが必要不可欠です。
ソフトウェアはそのままで、ハードウェアのみを新しいものに移行する手法です。
システムの中身(ソフトウェア)は変わらないため操作性に戸惑うことがないものの、レガシーシステムの使いにくい部分まで引き継ぐことになります。
既存システムのコードの一部を書き換える手法です。
リライトは言語そのものを置き換えますが、リファクターは言語はそのままで、ソースコードの調整を行うという違いがあります。リファクターのみを行うケースはあまりなく、リライトやリプレイスなどの前段階として行われることが多いです。
運用マニュアルなどのドキュメントを整理する手法です。
リファクターと同様に、モダナイゼーションの前準備として用いられることが多いです。
モダナイゼーションを実行する手順について、一連のプロセスと、成功させるためのポイントを紹介します。
モダナイゼーション実行の手順は以下の通りです。
自社が保有しているシステムやハードウェアおよびそれらの利用状況を把握します。
業務内容とシステムの利用目的をもとに、モダナイゼーションの要件を決めます。
システムの移行によってどのような業務の仕様を目指すのか、イメージを具体化させておくと要件もスムーズに決定できるでしょう。
現行システムのなかから、変更可能な部分と変更が難しい部分を抽出し整理します。
業務やシステムの運用において課題を抱えていない部分については、無理に変更する必要はありません。
システムの移行にあたってどの程度のコスト・人員が必要かを算出します。また、同時に移行までのスケジュールも立てておきます。
モダナイゼーションを成功させるためには、プロジェクトの初期段階から現場の従業員に参画してもらうことが大切です。
また、業務を行うなかで既存システムの新たな問題や課題が見えてくることもあるため、継続的なモダナイゼーションを実行することも重要といえるでしょう。
企業が長年にわたって運用してきたレガシーシステムを一から見直すとなると、業務に支障をきたすことも考えられます。また、レガシーシステムであっても必ずしもシステム全体が問題とは限らず、今後も引き継いでいくべき優れた部分もあるでしょう。
既存システムの良い部分は残しつつ、課題となっている部分を置き換えることで、DXの実現に近付いていくはずです。今回紹介したモダナイゼーションのプロセスと、成功させるためのポイントを参考にしながら、少しずつ取り組んでみるとよいでしょう。
コニカミノルタでは、お客様の企業における理想の「はたらく」をデザインし、実現するためのノウハウやソリューションをご提供しています。
以下のバナーからお客様の日々の働き方などに関する簡単なアンケートを通じて、課題がありそうなポイントを特定し、おすすめの動画カタログをご案内します。ぜひご活用ください。
いいじかん設計 編集部
日本では少子高齢化に伴い人手不足が深刻化しています。これからの将来を考えたとき、様々な不安を覚える方も...
日本の社会課題として見逃すことのできない少子高齢化に伴う労働人口や生産年齢人口の減少...
働き方改革関連法など、政府が「働き方改革」をすすめる背景には、少子高齢化が進み労働人口が減少する日本の将来...