――今回はDXソリューション事業部 ICW事業推進統括部 ICW商材開発部 副部長の中村圭さんと、ICW商材開発部 事業推進グループの髙松 萌香さんにお話を伺います。まず自己紹介と、現在の業務内容について教えてください。
中村さん「オンラインマニュアルサービス「COCOMITE(ココミテ)」の発起人で、2020年の販売開始以降事業責任者を担当しています。手順や知識を「記録する」 「伝える」 「定着させる」、それらに関わる全てのビジネス組織と人々にテクノロジーの力で高い効率・効果と、ワクワクを提供することを事業開発チーム一丸となって目指しています。」
髙松さん「私はCOCOMITEのマーケティングを担当しています。WEBサイトの運営や、COCOMITEを用いた業務の属人化に関する課題解決方法を解説するセミナーの企画・運営・講師などを行っています。」
写真左から、中村 圭さん、髙松 萌香さん――早速ですが、多くの企業でマニュアルといえば普遍的で特に目新しい存在ではありません。これが今、なぜ注目されているのでしょうか?
中村さん「2030年問題特集 第2話でも解説されていますが、社会的な少子高齢化の影響が企業にも及んでいます。ベテラン社員の退職が迫ってきたところで、企業の財産ともいえる属人化した知識を、次の担当者に引き継ぐ場面が増えてきていると思います。もともとナレッジの共有や研修は対面で行うことも多く、特にOJT(On-the-Job Training:実務の中で人材育成をする取り組み)を実施しながらスキルを伝えていくケースが一般的です。ですが、手順書が整備されていない状態でOJTを中心に社員教育を行う場合、教育者の伝え方や実務によって教える内容に差が出てしまうこともあります。習得の質とスピードを保つため、“知識を共有できるツール”としてのマニュアルの重要性が、この問題によって再認識されてきたと考えています。」
髙松さん「また、コロナ禍でオペレーションが変更になったことや、働き方がテレワークに切り替わったこと、あるいは本人や家族のコロナ罹患で急遽休んだ担当者の業務の代行が困難という経験もあり、マニュアルの注目度が上がるきっかけとなりました。このような場面に備えて、業務手順を正しく共有し、誰でも同じ品質で業務を遂行できるよう、ナレッジやノウハウを可能な限りドキュメントに落とし込みライブラリー化することが、経営課題の一つとして認識されています。」
――とはいえ、業務マニュアルはすでに多くの企業で普及していると思いますが、何が問題なのでしょうか。
中村さん「はい。マニュアルは多くの企業で作成されています。それらはExcelやWord、PowerPointなど電子データで原本を作成し、それを紙で印刷して配布、もしくはデータのままメールや共有フォルダを使って公開するケースが多いと思います。しかし、閲覧・作成方法にかかわらず、常に最新版を正しい範囲に展開できている企業はそれほど多くないと推察します。例えば、内容を改訂するたびにファイル名の末尾に「FIX版」「ver.22」、「○○作業反映版」、などと記載して別名保存して使っているケースなどが多くあるようです。
――いわゆる“運用あるある“の課題ですね。これだと、複数の従業員やマニュアル発行者と使用者の間に、異なるバージョンのマニュアルが出回ることになりますね。
中村さん「そうです。このような状態では、マニュアルを参照したい人が格納場所を検索しても、検索結果が膨大でなかなか目的のものに辿り着けない、あるいは最新版のマニュアルがどれか判断できず古いバージョンのマニュアルをもとに作業してしまう、などの問題が起こり得ます。もし対象のマニュアルが部門を横断して利用されるものだったら、「最新のマニュアルはどれなのか?」などの問い合わせが担当窓口に殺到し、対応工数が増えることも考えられます。また、古い情報をもとに作業を実施すると事故や顧客からのクレームにつながりかねません。」
――バージョン管理の煩雑さから、マニュアルが利用されにくい状況に陥って、業務効率や業務品質にも影響してしまうということですね。
髙松さん「はい。マニュアルを整備することで、「業務標準化の推進」「教育工数の削減」「クレーム・事故発生件数の削減」「問い合わせ対応工数の削減」などを実現することができます。マニュアルは作って終わりではなく、きちんとした管理のもとで活用されてこそ効果が出るドキュメントです。そのためには、以下のような原則を守る必要があります。
この原則を守って運用サイクルを回すことで、ナレッジを会社の情報資産として管理するだけではなく、業務効率化も実現することができると考えています。」
――作って終わりではなく活用して効果を出すマニュアルにするためにはどのようにすれば良いでしょうか。
中村さん「高松さんが挙げた原則にも関連しますが、マニュアルの作成時点においては次の2つが非常に重要だと考えており、それぞれの具体的な手法についてご紹介します。」
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