――今回インタビューにお答えいただくのは、コーポレート本部経営企画部 副部長 牧野 陽一さんです。よろしくお願いいたします。
牧野さん「よろしくお願いします。」
――コニカミノルタジャパンでは新型コロナウイルスの感染防止対策として2020年2月より在宅でのテレワークを推奨していましたが、牧野さんはいつ頃からテレワークメインで勤務されていましたか?
「新型コロナ流行前から基本的に週1回はテレワークをしていましたが、1月下旬の東京都推進の冬のスムーズビズの週は3日ほど実施していました。2月下旬からは会社方針の働き方に沿って在宅メインで勤務しています。緊急事態宣言解除後になっても在宅勤務メインは変わらず、弊社販売店様との打ち合わせやパートナー企業様との打ち合わせもほとんどオンラインで対応しました。10月に販売店様と対面で打ち合わせを行った際には、挨拶時に冗談で私のことを「2Dの住人と思っていた」と言われてしまいました。」
――2Dの住人といわれるほど、画面越しのコミュニケーションが「普通」になってしまったのですね(笑)これまでもテレワークの実施頻度が高かったということですが、原則テレワークとなった緊急事態宣言下での在宅勤務も特に問題なく実施できた感じでしょうか。
「外出自粛となったため、平時のテレワークより心的制限はありますが、これまでの取り組みもあり特段課題は発生していません。会議に関しては、物理的な会議室確保が不必要になったことから、スケジュール調整やプロジェクト自体の進捗は非常に効率的になったと思います。また、これまでオンライン会議に不慣れな従業員もスキルアップしたことから、その面ではプラスだったと考えます。新規のパートナー企業様との打ち合わせも初回からオンラインで実施しており、移動がなく効率的だと思います。余談ですが、自分自身は毎日の曜日の感覚はありますが、原則テレワークとなった最初の期間、家族から「曜日感覚が無くなった」と言われました。これは多くの方が同様の状況だったのではないでしょうか?」
――お父さんが家にいると休みの日の感覚になりがちですね。テレワークによって仕事のすきま時間に食器洗いをするなど、以前にも増して家事にも協力できるようになりましたよね。
「ただ、集中して資料を作成している時に家事を頼まれたりとかもして(笑)そこは家族とちゃんとコミュニケーションを取って理解を得たり、ということがはじめはありましたね。」
――お話を聞いていると、これまでの働き方改革の経験がとても役に立っているように感じますね。特に今までの経験が生かされた部分はありますか?
「確実に今までの経験が役立ったと思います。今までお話したとおり今回の新型コロナウイルス感染症対策にも、弊社内では円滑に適用できましたし、昨今の大型台風時にもテレワークで普段と変わりなく勤務することができています。これは、これまでのテレワーク・デイズやスムーズビズ、テレワーク月間などにも積極的に参加したこともあり、社会課題に取り組んでいる意識が全社的にインプットされているからだと思います。また、個人的には、家族がテレワークそのものに対してアレルギーが無いことが良かったです。」
――確かに、これまでもテレワークをしていたことで、家族も慣れていた感じはありますね。むしろ、コロナへの危機感が高まったころは家族から「会社に行かないで、家で仕事してほしい」とも言われました。
ここまでお話を聞くと、テレワークでのメリットが大きいように感じますが、ほぼ全社員がテレワークを行って困ったことはありましたか?
「まだ個人差はありますがオンライン会議のファシリテーションスキル(会議中の発言促進や議論の整理により会議進行をする能力)により、会議品質にバラつきがあるところだと思います。また、自宅の執務環境が整っていない、小さい子供がいる従業員は完全に集中しきれる環境ではないため、業務効率が維持できたかは難しいところだと思います。このあたりは、住環境の変化を従業員自身がテレワークの要素を組み込むでしょうから、1~2年で集中度が高い環境が自ずと整備されると思います。」
――テレワーク中の業務効率については社会的にも注目度が高まっています。様々な家庭環境がある中でもコニカミノルタジャパン社内のアンケートでテレワークによって業務生産性が上がったという結果が出ました。どのような点で業務生産性が上がったと思いますか?
「個人業務で見ると、資料作成や調査ごとに関しては電話などが無い限りは集中して仕事ができる環境にあるため業務効率は上がったと思います。次に先ほどからお話ししている会議効率ですね。また、テレワークでできる業務とできない業務の区分けが、これまでの取り組みから身についている事も要因としてあると思います。区分けがないままやっていると、確実にテレワークできない業務に対し、頑張って対応しようとして結果できずに業務効率下がったという事になります。」
――確かに、そう考えるとテレワークでできる業務とできない業務が何なのかを把握できていることも業務効率化につながりますね。牧野さんは原則テレワークの状況において、業務効率化の面で「やっぱり会社に行きたい!」と思うことはありましたか?
「あったと思います。企業文化や業種によって色々な考え方があると思いますが、五感をフル活用するディスカッションなどの際には、会社の設備を活用するメリットがあると思います。弊社の今後の働き方は、リアルとバーチャルの融合だと考えています。バーチャルにおいても、アンフォーマルな空気感も重要と考えており、今後も様々な試行をしていきます。
新型コロナウイルスの影響で会社全体に浸透したテレワークという働き方ですが、今後、より安心して社員が働くことができるように、またより効果を発揮できるように「ニューノーマル時代の働き方実現に向けた10の提言」というものを全社員に公表しました。詳しくは以下の記事で紹介していますのでご覧ください。
――なぜ提言を作ることになったのでしょうか?
「この提言は働き方改革プロジェクトから発信しました。緊急事態宣言環境下での働き方において、リアルとバーチャルが融合した働き方が前提になってくると、従業員の在宅勤務を支援する施策や、リモートを前提とした組織マネージメント、更に営業スタイルや保守メンテナンスの在り方も変わってきます。これは経営トップからの施策として指示が来ることもありますが、提言を発信することで各組織が自発的に働き方を変える動機づけとしても重要だったと考えています。」
――そもそも会社の経営層、人事・総務部と働き方改革プロジェクトとの関係性はどのようになっているのでしょうか?
「弊社ではリアル組織として、働き方改革を推進する組織部門は設置していません。経営のトップリーディングのもと、人事・総務・企画・広報・空間デザインの部門から選出されたメンバーがチームとなって活動をしています。もちろん、メンバーではない情報システムや営業・SE・サービス部門も事あるごとに相談に乗ってくれます。企業文化は各社それぞれでしょうが、弊社の場合は、この仮想組織推進が合っていると思います。」
――在宅勤務中にこの提言内容を決められたと思うのですが、オンライン会議で決めたのですか?内容をどうするかなど議論が難しいようにも感じますが・・・
「はい、この提言の内容を議論したのは5月頃で、メンバー全員が在宅勤務前提のため、議論から発信まで全てオンライン会議で実施しました。対面での会話だと、呼吸を感じることで、発言したい人に意見を促すことが可能ですが、オンラインだとそうはいきません。会議を進行するファシリテーターが、参加者の考えを順に発言してもらうことで円滑に進めました。上手く回らないオンライン会議は、同時に複数の人が発言し、お互いに「どうぞどうぞ」となり、改めて発言するとまた同じタイミングで発言するなど・・・オンライン会議の「あるある」ですね。最近は挙手が分かる機能を積極的に活用しています。
あとは出席者情報を画面横に常時表示することが可能なので、基本的に発言する人以外は全員ミュートにして、ミュートオフになったタイミングで発言を仕切ることがオンライン会議を円滑にするテクニックだと思います。ファシリテーター(会議進行役)のスキルの内容になりましたが、意思決定はオンライン完結でも可能ということです。」
――働き方について多くの企業が模索していますが、このような提言を社員に提示することは効果が期待でき、おすすめできる方法でしょうか?
「おすすめできることだと考えます。実際に提言内容に関係する組織の管理職に、事前に内容共有を行いました。また、経営陣からではなくこのプロジェクトチームから提言を発信することで、現場主導の働き方改革を進める際の背中を押してもらえるとの感想ももらいました。」
――10の提言のなかで「すぐに対応を求める提言」と「早めの対応を求める提言」に分類されているようですね。現在の進捗率はどの程度でしょうか?
「当然と言えば当然ですが、緊急事態宣言解除後もリスク回避の観点からテレワーク推奨は継続しています。また残念ながら社内照査を行うために、本来は捺印必要ないのに、過去の慣習から捺印をしていた組織がありました。これは社内発信する事で改善されました。FAX業務による出社必須になる改善も、過去のテレワーク推進の時に対応して改善されてきていましたが、一部の対応が遅れていた拠点も今回の取り組みの中で全て対応が完了しました。」
――FAXやハンコのために出社するというのは社会的にも課題になりました。どちらも早い段階で対策ができていましたね。
「ちなみに社内ハンコは、すでに導入していた電子ワークフローの範囲拡大を進めています。弊社で使っている商品は、X-Point Cloud と同一ベンダーが開発した Agile Works です。Agile Works は人数規模が大きい企業向けです。中規模・中小向けには X-Point Cloud や desknet’s クラウド がおすすめです。企業規模や文化に見合ったものを導入することが重要です。
X-point Cloud は、「まるで紙に書くような」直感的な入力フォームで、ITに不慣れな方でも安心して利用できるワークフローシステムです。稟議、経費精算、日報、作業依頼、総務諸届、勤怠申請など様々な申請、決裁業務を効率化し、負担削減に貢献するだけではなく業務全体で活用できます。
desknet’s クラウド もワークフローシステムですが、こちらは稟議承認・申請のほか、スケジュール管理などのグループウェア機能も搭載されたシステムです。
FAXテレワーク対応は、bizhub essentials や Dispatcher Phoenix を自社商材で活用しました。
bizhub essentials は会社の複合機で受信したFAXを自宅で確認でき、自宅にいながら会社の複合機を通じてFAXを送信できるサービスです。
Dispatcher Phoenix は受信したFAXデータをクラウドストレージやメールで転送する機能はもちろんのこと、受信したFAXデータのファイル名のリネームや、フォルダー振り分けを自動で行うことができるサービスです。
解決策をより詳しくご紹介した資料はこちらからダウンロードできます。
――「早めの対応を求める提言」ですでに対策され解決されたものはありますか?
「この中では、リモートワークでのコミュニケーション&コラボレーションを高めるITツールの開発・整備になります。オンライン会議ではTeamsを継続的に活用しますが、クラウドオフィス(WEB上の仮想オフィス空間にアバターが出社する)のトライアルを働き方改革プロジェクトでは実行するなど、様々なツールを試して、検討を進めています。
――「ニューノーマル時代の働き方実現に向けた10の提言」の対策を経て、コニカミノルタジャパンとしてどのように働けるようになることを思い描いていますか?
「未来に起こりうるであろう大小様々な事業継続危機に強く、自律と共創を実践する企業となり、従業員がそこに参加することで充実を実感する『コニカミノルタジャパンのニューノーマル時代の働き方』設計に活かすことを目的としています。」
――ニューノーマル時代の働き方を実行したコニカミノルタジャパンの社員とお客様や社会との関係性はどのようになって欲しいと思いますか?
「まだまだニューノーマル時代の働き方は、各社試行錯誤の状況だと思います。弊社自身も、その認識のなかで進めています。弊社の活動自体の中での成功体験・失敗体験が多くのお客様や社会に対し、多少なりとも参考になればと思います。」
いかがでしたでしょうか。最新のコニカミノルタジャパンの働き方をお伝えできたのではないかと思います。コニカミノルタジャパンでは自社での働き方改革の取り組みを通して、お客様に最適な働き方のご提案をしています。「IDEA SHOWROOM」ではテレワークへの課題をお持ちのお客様向けのおすすめ見学コースもご用意しています。「テレワークについてもっと知りたい!」、「テレワーク中のこんな課題はどうやって解決した?」など、お気軽にご相談くださいね。
いいじかん設計 編集部
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