公開日2024.02.07
成長の強い味方!
新たな印刷機の購入に使える「おすすめ補助金活用術」
事業拡大のために新しい印刷機を導入したいが、高額の設備投資にはなかなか踏み切れない・・・
印刷業界では、こうしたお悩みを持つ経営者が多いのではないでしょうか。本コラムでは、新たな設備導入の強い味方となる、国や自治体の補助金活用術についてご紹介いたします。
補助金とは
補助金とは、国や地方自治体が、それぞれの政策に合致する取り組みを行う事業者に対し、必要な資金の一部を給付するものです。金融機関等からの融資と異なり、原則として返済する必要がありません。補助金の種類にもよりますが、数百万~数千万円単位の金額が支給されるものも多く、補助金を上手に活用できれば、金額の大きい設備投資の頼もしい味方となります。
印刷会社に補助金活用をお勧めする理由
上述の通り、補助金は、国や地方自治体が目指す政策を実現するためのものです。令和6年現在では、「デジタル技術の活用による生産性向上」が国の政策の大きなテーマのひとつとなっており、デジタル印刷機の導入により印刷工程の生産性向上や、小ロット・短納期対応といった付加価値向上を目指す印刷会社の取り組みは、補助金の目的に合致しやすいと言えます。
また、新しい印刷機は従来のものよりも環境への配慮が進んでいるため、環境対応という点でも国や自治体の政策に合致する可能性が高くなっています。
おすすめ補助金
ここからは、令和6年1月時点でのおすすめ補助金について具体的にご紹介いたします。
おすすめ度No.1!「ものづくり補助金」
通常枠の補助額 | 最大750万円~1250万円 | 補助率1/2~2/3 |
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ものづくり補助金は、中小企業庁の補助金の中でも10年以上続く、最もオーソドックスな補助金です。中小企業の生産性向上や賃上げを制度の主旨としており、コニカミノルタ社が提供する「デジタル印刷機」や「特殊加工印刷機」等との相性も良く、多くの採択実績があります。
最大補助額・補助率は従業員の人数等によって変わりますが、仮に印刷業で従業員20名以下の事業者でしたら、補助率2/3となり、900万円の印刷機に対して概算600万円の補助金を申請できることになります。
条件が揃えばおすすめ「事業承継・引継ぎ補助金」
経営革新枠の補助額 | 最大600万円~800万円 | 補助率1/2~2/3 |
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条件は申請回により異なりますが、おおよそ過去5年ぐらいまでの間に事業承継(親族内承継もOK)やM&Aを行った(あるいは、近く行う予定がある)中小企業者が申請できる補助金です。
事業承継をきっかけに、飛躍的な成長を目指す事業者の取り組みを支援するものであり、印刷機などの設備投資が補助対象経費となっています。事業承継の支援は国の政策の中でも重要視されており、条件が合えば非常に活用しやすい補助金です。
少額投資で活用可能な「小規模事業者持続化補助金」
賃金引上げ枠・創業枠の補助額 | 最大200万円 | 補助率2/3 |
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小規模事業者とは、印刷業の場合は常時使用する従業員の数が20人以下の企業を指します。(サービス業の場合は5人以下)
小規模事業者持続化補助金は、これら小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。本補助金は、設備投資だけでなく、自社の販路拡大のために作成するチラシや広告宣伝にも活用可能であることが特徴です。
通常枠は上限50万円と少額の補助金ですが、賃金引上げ枠や創業枠など、一定の条件を満たす事業者は上限が200万円まで引き上がります。また、インボイス特例の上限を満たせばさらに上限が50万円引き上がるため、最大で250万円の補助金を受けることができます。
見落としたらもったいない!?地方自治体の補助金・助成金
国の補助金以外にも、都道府県や市区町村が独自に設定している補助金や助成金の制度があります。国の制度に比べ知名度が低く、競争相手が少ない場合も多いので、採択確率が高い可能性があります。ぜひ、自社の事業所が所在する自治体のホームページ等をチェックしてみてください。
令和5年度の実施例
東京都 | 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業 難易度は高いが、助成金額の上限は1億円と非常に高額 |
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神奈川県 | 神奈川県ビジネスモデル転換事業費補助金 補助上限3000万円、補助率3/4で事業者負担をかなり少なくできる |
千葉県 | ちば中小企業生産性向上・設備投資補助金 自治体の補助金の中では予算額が大きく、かつ募集期間が短いため採択率が高い可能性があり |
補助金の活用事例
印刷会社が補助金を活用する場合のテーマ例として、以下のような内容が想定されます。
「デジタル印刷機」を初めて導入する場合
小ロット・短納期を可能とするサービスを新たに提供し、地元の事業者に貢献していく
「デジタル印刷機」を既にお持ちの場合
「デジタル印刷機」+「特殊加工機」を組み合わせ、より魅力的な印刷物を提供していく
例えば、ラミネート加工と箔押し加工を組み合わせることで、印刷物に高級感と耐久性を両立させることもできます。また、エンボス加工とダイカット加工を組み合わせることで、印刷物に独特の質感とデザインを加えることもできます。
「デジタル印刷機」+「IoT技術」の組み合わせで、印刷工程の生産性の向上を実現する
コニカミノルタ社ではIoT技術にも力を入れており、印刷ワークフローの自動化、集計、複数拠点連携などソフトウェアとの組み合わせが可能です。DXの推進により、事業を一歩上のステージに押し上げる一助となります。
補助金活用における注意点
補助金には審査がある
補助金は申請すれば誰でも受給できるものではありません。ほとんどの場合、申請時に事業計画書や決算書の提出が求められ、内容が審査されます。審査では、補助金の目的との合致度合いや実現可能性等、多岐にわたる項目が評価されます。単に「設備を購入したい」だけの計画では採択は難しく、「当社がこの新設備を導入することで、世の中の為にどのように役に立つか」をアピールする計画の作成が必要です。
事業計画の作成と聞くと、難しいと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、補助金の事業計画作成の実績があるコンサルタント等の専門家の支援を受けて取り組むことで、採択率の高い計画書を作成することができます。また、事業計画を作成することは単に補助金のためではなく、自社の強みや自社を取り巻く経営環境を整理し、今後の方向性を見極めていく上で有効な取り組みとなります。市場の変化が激しい印刷業界の事業者様にとって、非常に意義のある取り組みとなりますので、是非、挑戦されることをお勧めします。
コニカミノルタ社が提携する専門コンサルタント会社(株式会社東京経営サポーター)では、補助金の採択率を高めることはもちろん、事業者様の成長に向けた意義のある事業計画作成を万全の態勢でご支援しています。
時間がかかる
補助金申請のスケジュールは、ものづくり補助金を例にとると、おおよそ以下のとおりとなります。
Step | 内容 | 補足 |
---|---|---|
1 | 事業計画等の申請書類の準備 | 事業計画の作成等、おおむね30日 |
2 | 申請作業 | WEB申請 |
3 | 採択(交付候補者決定) | 発表まで2か月程度 |
4 | 交付決定 | 採択後に申請し2か月程度 |
5 | 事業の実施期間 (設備を購入できる期間) |
設備の購入:発注⇒納品⇒支払い 過去に購入したものは対象外 |
6 | 実績報告 | 1か月程度 |
7 | 補助金の入金 | 補助金の入金は最後 |
標準的な期間でも、申請前の準備に1か月、採択発表までに2か月、採択発表後から交付決定するまでにさらに1~2か月かかります。準備を始めてから発注できるようになるまで、少なくとも半年くらいの期間が必要となるため、設備導入が必要なタイミングから逆算して、先を見据えた準備が必要になります。
また、補助金の入金は、納品・支払を済ませ実績報告が完了し、全て終わって最後にようやく口座に振り込まれます。そのため、補助金が支給されるまでかなりの期間、経費を立て替えておく必要がありますので、事前に資金調達が必要となります。
ルールを守る責任が生じる
補助金の財源は税金であり、公平性を担保するために申請や交付において様々なルールがあります。購入できる機械設備の種類や、購入後の取扱いにも制限があり、定期的な報告も義務付けられます。応募する補助金の公募要領をよく読み、ルールを理解することが重要です。
故意による不正はもちろんNGですが、知らずにルールを破った場合でも、最悪の場合は補助金の返還などを求められる場合もあります。補助金を受給する=ルールを守る責任が生じることが前提であるとご理解ください。
参考記事:ものづくり補助金|はじめての申請準備
おわりに
印刷業界は、様々な紙媒体がデジタルへシフトする影響を受けて、市場全体としては1990年代をピークに減少傾向にあります。その様な市場環境に対し、経営者の取る行動は二極化しています。事業を守るために設備投資を控える「守りの姿勢」の経営者がいる一方で、新しい印刷機を積極導入し、サービスの付加価値向上に挑戦する「攻めの姿勢」の経営者がいます。各社の置かれた状況は異なり、どちらの戦略が正解ということはありませんが、多くの場合、成長と進化に挑戦できない会社は、環境変化が激しい中で生き残ることが難しいのが実状です。
守るところは守り、無駄な支出は抑えつつも、余力のあるうちに成長に向けた思い切った投資を行う。これこそが、厳しい時代を生き抜く理想的な経営者の姿と言えるのではないでしょうか。補助金を上手に活用して、持続的な成長への一歩を踏み出しましょう。
株式会社東京経営サポーター 代表取締役 中小企業診断士 内木盛人(ないきもりと)Profile:2013年9月に株式会社東京経営サポーターを設立。中小企業診断士7名が在籍し、経営コンサルタント会社として、中小企業の事業計画作成を10年以上にわたって支援。補助金採択実績は2000社以上を超え、全国でも有数の実績となる。 Profile:2013年9月に株式会社東京経営サポーターを設立。中小企業診断士7名が在籍し、経営コンサルタント会社として、中小企業の事業計画作成を10年以上にわたって支援。補助金採択実績は2000社以上を超え、全国でも有数の実績となる。 |
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