気候変動への対応
気候変動への適応
気候変動への適応
気候変動を抑えるためには、その原因物質である温室効果ガス排出量を削減する 「緩和」 が、最も必要かつ重要な対策です。しかし、緩和の効果が現れるには長い時間がかかるため、早急に大幅削減に向けた取り組みを開始し、それを長期にわたり強化・継続して最大限の排出削減努力を行っても、過去に排出された温室効果ガスの大気中への蓄積があるため、ある程度の気候変動は避けられません。
すでに観測記録を更新するような異常気象が、私たちの生活に大きな影響を及ぼしていますが、将来的には、大規模な水害や、災害級の暑さなどが頻繁に発生したり深刻化することが懸念されています。このため、変化する気候のもとで発生する物理的な影響を最小限に抑える 「適応」 が不可欠です。
コニカミノルタは、気候変化に対して自然生態系や社会・経済システムを調整することで気候変動の物理的影響を軽減する 「適応」 の取り組みを、サプライチェーン全体を通じて実施しています。気候変動の影響は地理的、経済的、社会的などの条件によってさまざまな形で顕在化することから、「適応」には世界共通の明確な目標が定められておらず、国や地域ごとにその影響が発現する特性・特徴を見極め、取るべき対策を設定して取り組んでいます。
上流(サプライヤー)
人・国・場所・変動に依存しないモノづくり、調達先の複数確保
大規模な自然災害等によるサプライチェーンの分断によってお客様への商品供給が滞ることのないように、原材料の供給ルートを粗原料まで遡り把握し、安定供給リスクが高い原材料は、調達先の複数確保や代替材料検討に取り組んでいます。人・国・場所・変動に依存しないモノづくりの実現を目指し、調達先を選定しています。
カーボンニュートラルパートナー活動(サプライヤー拠点での水使用量の削減活動)
サプライヤーの生産活動において、水資源は工業用水や従業員の生活用水として必要不可欠な生態系サービスです。気候変動が進むと気候パターンに変化が生じ、大雨や干ばつが頻発・大規模化します。その結果、利用可能な水資源の量を維持し続けることが難しくなり、操業の停止が生じてサプライチェーン全体に影響を及ぼす可能性があります。
コニカミノルタでは、グリーンファクトリー活動で培った環境技術やノウハウを、サプライヤー先でも実践する「カーボンニュートラルパートナー活動」を推進し、規定のガイドラインに即して、水使用量を削減するための対策を検討、実施しています。
操業(生産・研究開発)
グリーンファクトリー活動(水リスク評価と対策、水使用量の削減)
気候変動が進むと、大規模な風水害や土砂災害の発生、長期的には海水面が上昇するなどのリスクが高まり、地理的にレジリエンスの低い拠点では、生産や研究開発活動の継続が困難になる可能性があります。コニカミノルタでは、気候変動による慢性的な物理リスクとして「水資源のリスク」に着目し、世界中のグループ主要拠点およびサプライヤーを対象に、水ストレスや洪水等に関する総合的なリスク評価Aqueductを2013年度より導入し、水リスクの高い拠点を特定し、必要な対策を講じて実践しています。
事業継続管理(BCM)の構築
大規模な自然災害により被害を受けても重要業務を中断しない、万が一、中断しても可能な限り短い期間で再開できるよう、ワールドワイドかつサプライチェーンを考慮した具体的な行動計画「事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)」を策定しています。主要事業である情報機器事業、被災時のニーズの高い医療機器をはじめ、災害発生直後に被害状況を情報収集してBCP発動の要否を判断する「初動体制」を整備しています。
下流(お客様)
インダストリー事業
ガス漏洩を見える化する広域監視システム
代表的な温室効果ガスであるメタンガス(CH4)は、シェールガスなどに含まれる可燃性ガスとして広く利用されており、二酸化炭素(CO2)のおよそ25倍の温室効果を有しています。ガスのパイプラインは、自然災害の物理的影響やインフラ老朽化により、目に見えないレベルで、大気中へ漏洩している可能性があります。コニカミノルタは、このメタンガスを可視化し、火災や爆発事故を未然に防止する「防災診断サービス」を展開しています。災害時には、バッテリーを内蔵したハンディ型ガス漏洩検査システムにより、初期スクリーニングを効率化できます。
インフラの非破壊検査ソリューション SenrigaN(センリガン)
台風や洪水など気候災害に直面し被災すると、生活基盤やインフラの「事後保全」の活動に、多大な時間と労力を消費します。日本では、国土強靭化の重点対策として「予防保全」型のインフラメンテナンスへの転換を目指し、インフラ老朽化への対策を打ち出しています。
コニカミノルタの非破壊検査ソリューション「SenrigaN」は、橋梁のPC鋼材の塩害影響など目に見えない鋼材腐食を、非破壊で容易な破断検査により実現します。計測データを手元のタブレットで即時に確認でき、メンテナンス効率の向上が期待できます。自然災害による損失被害を最小限に抑えることに貢献します。
デジタルワークプレイス事業
複合機の消耗材(トナー)の域別分散生産と供給
気候変動が影響を及ぼす特徴として、洪水や土砂災害などの気候災害が、局所的かつ極端化(大規模、短時間、頻発化)すると言われています。気候災害が激甚化すると、被災地での調達や物流が寸断され、製品供給が維持できなくなる可能性があるため、こうした災害リスクへの備えとして、主力事業であるプロフェッショナルプリント事業、オフィス事業では、消耗品として供給する部品生産及び印刷用トナーの生産および充填を行う自社生産拠点を、日本、欧州、北米に複数展開し、消費地で生産できるレジリエンスの高いサプライチェーン体制を確保するよう努めています。
ヘルスケア事業
災害医療の現場で活躍するAeroDRモバイルソリューション
自然災害が起きた被災地の現場では、電力や燃料がない状況下で、災害医療活動を行う必要があります。コニカミノルタのAeroDR Mobile Solutionは、こうした電力供給が絶たれた状況でも継続利用できるX線撮影ソリューションです。可搬性が非常に高く、野外や屋外での撮影にも有用です。その場で撮影した画像を確認し、移動しながら充電も可能です。
世界初の発売から40年、指先測定型パルスオキシメータ
気候変動により森林後退が加速すると、人と野生生物の接触機会が増え、未知の病原体が拡大して新たな感染症を発生させる可能性があります。コニカミノルタの指先測定型パルスオキシメータを使用すれば、採血せずに動脈の血中酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を測定することができます。
社会貢献活動
防災水資源 「救いの泉」 を地域へ提供
コニカミノルタ(株)では、大規模な自然災害の発生時に備え、自家発電設備による井水確保の体制を確保するとともに、防災水資源「救いの泉」として、近隣地域の災害拠点病院などへの水供給体制を整備し、地域防災に備えています。
被災地の支援活動に参加
2011年に発生した東日本大震災では、従業員約100名を被災地へ派遣し、復興支援活動に参加しました。2013年からは、被災地の防潮林の再生プロジェクトに参加し、沿岸生態系の保全と再生を目指して、被災地域の防災・減災機能の修復活動に取り組みました。