人材採用のカギはホームページの継続運用にあり!
-課題と解決策を支援サービス担当者と語る-
- #人材採用と定着
- #働きやすい環境づくり
- #マーケティングの強化
INDEX
2030年問題が表面化しつつある今、人手不足のために採用活動を行うも応募者が来ない、見つからないという企業がある一方で、経営ビジョンや取り組みを良く理解した熱量の高い応募者が集まる企業もあります。
これら2タイプの企業の違いはWebの活用が上手にできているかどうかが大きいということが、コニカミノルタジャパンの中小企業向けIT商品担当者の調査で明らかになって来ました。そのなかでも、採用活動の成功の決め手となる「企業ホームページ」をどのように活用していけば良いのでしょうか?今回は担当社員2名へのインタビューを通して、その解決策を探っていきます。
「応募が来ない」は多くの企業の慢性的な悩み
――今回はDXソリューション事業部 ITS事業推進統括部 ITサービス企画部 ITGサービス企画グループの荒賀 章博さんと本間 有愛さんにお話を伺います。まずは自己紹介と、現在の業務内容について教えてください。
荒賀さん「私は中小企業向けのITインフラ整備、セキュリティー対策の導入と運用を代行するサービスのIT-Guardiansの商品開発グループのリーダーをしています。」
本間さん「私は元々、ソリューション営業部門に所属していました。そこではお客様の課題を探索、特定し、解決策をご提案する立場でした。今年の5月から荒賀さんと一緒にIT-Guardiansの商品担当をしています。」
――さて、今回は多くの企業で深刻化している人材採用について、今、国内企業ではどのような問題が起きているのでしょうか。
本間さん「はい。今回の記事タイトルが目に留まった方であればおそらく実感があると思いますが、現在多くの国内企業では『思うように採用が進まず、採用計画が達成できない』という問題認識があります。」
荒賀さん「採用担当の方なら、上司や経営者の方から『いつになったら面接者が来るんだ?』と尋ねられても、応募すら来ていない状況で何も答えらえず、気まずい思いをされた経験があると思います。『とりあえず、今週またハローワーク回ってきます』とお茶を濁すような状況で、決定的な打開策が無くマンネリ化していると思われます。」
本間さん「上司や経営者の方が担当していた当時はすぐに採用できたのに、今はなかなか採用できない。求人の出し方については法改正により表現の規制は増えたものの、各社同じなのでそこも要因では無さそうです。では、要因はどこにあるのでしょうか。」
――やはり、2030年問題といわれる日本国内の人口の変化が人材採用を困難にしている要因でしょうか。
荒賀さん「それも一つあります。例えば2023年に20歳になる2003年生まれの人は約120万人で、バブル期に新社会人となった第2次ベビーブーム、年間200万人前後から比べればすでに半減に近い状況です。ただ、それだけではありません。国土交通省のまとめによると、かつての高度成長期には東京・名古屋・大阪の三大都市に人口が集中していましたが、バブル経済崩壊後も東京圏だけは増加の一途を辿っており、いまや日本人の4人に1人は東京圏に在住しています。」
――そうなると、東京以外の地域ではますます労働人口の減少に拍車が掛かっている状況になりますね。
荒賀さん「そうですね。また、東京圏で拡大している産業は第3次産業(サービス業)です。なかでも情報通信業や金融・保険業が多く見られます。そのためサービス業を希望する求職者の多くは東京圏に集まっているのが現状です。」
激化する人材獲得合戦 応募者目線で捉えた問題点とは
――いまやサービス業の多い東京圏に働き手が集中していて、ほかの地域や業種で過疎化が進んでいるのですね。人材紹介会社の活用で打開できないのでしょうか?
本間さん「確かに人材紹介会社はプロフェッショナルな人材を即戦力として獲得するのに向いています。しかし依頼する前に、自社が人材を募集中であることを明示したり、自社の知名度を上げることが大切です。」
荒賀さん「先ほどの国土交通省のまとめのなかには、“大学本部が存在する県内の企業等への就職者の割合(地元就職割合)は、近年やや上昇”とも書かれています。つまり、地元の大学に通う学生に自社の存在とその魅力が伝われば、有力な就職先候補として認識されると考えます。」
――そのような学生さんは企業にとっても魅力的であり、採用担当者の希望ですね。どうすれば自社の知名度は上がるのでしょうか。
荒賀さん「ここで視点を変えて、就職先や転職先を探している人がどのような行動をするのか考えてみましょう。多くの人は最初に企業ホームページを見るのではないでしょうか。」
――確かに、まずスマートフォンやパソコンで調べることが一般的になっていますね。
荒賀さん「人は何か新しい行動をしようとする時、あるいは耳慣れない商品や会社の名前を聞いた時、まずWebを見てみるという行動習慣が根付いています。今回のコラム記事をご覧の方々や、今後就職を考えているような若い世代ならなおさらその実感があると思います。そこでもし、ホームページが無い企業だったらどうなるでしょうか。」
本間さん「自社ホームページをもつ企業の多くは社名で検索した場合、検索結果の上位に表示されます。しかしホームページを持たない企業だと、例えば『○○社 採用情報』などのワードで検索された場合に、不確かな情報サイトや、他企業の引き立て役になっている記事などに誘導されてしまうことも多いです。」
――就職先を検討している人にとっては、マイナスの企業イメージとなりかねないですね。
本間さん「そうなんです。また、せっかく自社ホームページを持っていても長らく更新されず放置されたままだったらどうでしょうか。例えば、下記のような場合が見受けられます。」
- サポート切れの規格(プラグイン)を使い続けており、正確に表示されていない
- SSL(HTTPSによる暗号化)未対応のサイトは警告メッセージとともに表示がブロックされる
荒賀さん「これらは2010年代に起こった大きな変化への未対応の事例ですね。あるいは、プロバイダー側の対応で新規格に移行できたサイトでも、掲載コンテンツは古いままということも考えられます。例えばトップページや社長挨拶のなかに『平成の現代を生き抜く…』や『1ドル80円台の円高不況を乗り切るために…』などの数年前に書かれたと推測できるフレーズが残っていたとしたらどうでしょうか。」
――やはり不安になると思います(笑)。実際は違うとしても、リアルな企業活動も時代の流れから取り残されているようなレトロなイメージで伝わってしまうでしょうね。
本間さん「多くの人は、まずWeb上のコンテンツをもとに膨大な選択肢のなかから効率よく候補を絞り込んでいきます。そこで古い情報や不確かな情報しか得られない企業は、それ以降の就職活動の候補から外れてしまうのです。」
荒賀さん「Web検索をせずにハローワークや地元情報誌、新聞といった求人情報だけで就職活動をする人は少数派でしょう。その人たちが得られる情報は似通っているので、違いが伝わりにくくなっています。各社が求人情報を発信しているなか、他社と差別化して応募しようと思われるような仕掛けをすることが大切になっています。」
――確かに、求人の際に提示する情報って、似通ってきますよね。自社が求める人材に応募してもらうための工夫が必要ですね。
荒賀さん「商品・サービスの面では独自の強みを持ち、また長年の事業で培った顧客基盤によって競合と区別できている企業は多くあります。そのような企業でも、人材採用の面では他社との違いをうまくアピールできていないために競い合っている状況が多く見受けられます。
本業で競合を排除して高収益事業を作るのはすごく難しいことですが、同じ競争の原理が採用でも言えるでしょう。採用活動に既存のノウハウや強みが活かせないとしたら、その戦いで重要になるのはスピード感です。」
本間さん「新聞や雑誌の求人方法だと、原稿を作った後、校閲されて誌面に掲載され、実際に応募が来るまでにはかなりのリードタイムが必要になります。その後しばらく経っても当初想定していたほど応募が来なかったときに、待遇や採用条件、あるいはその表現が悪かったのかも知れないと考えて修正原稿を練るのでしょうが、それが誌面に適用されるまでにはさらに数週間もかかります。」
――これでは募集内容で競争する前に、アプローチできる人数とリードタイムの差で後れを取ってしまいますね。
「ホームページは見るだけ、作れない。」企業のWeb活用に立ちはだかる障害
――多くの企業や経営者にとってWebが特殊なものでなくなっているのなら、すでに殆どの企業でホームページ運用が進んでいるはずですが、そうなっていない原因は何でしょうか?
荒賀さん「シンプルに言うと、ホームページを『見る』のと『作る』のとでは難易度が全く異なるということでしょう。日常生活では身近で便利な存在なのに、それを使った効果的な発信ができていない、あるいは発信したい情報はあってもコンテンツを作れていない企業が多くあると思われます。」
――しかし最近では動画や画像、ショートメッセージなどのSNSが流行し、経営者や広報担当が自社の個性や魅力を発信する機会が増えています。これでこと足りるのではないでしょうか。
荒賀さん「一般消費者向けの“掴み”としては、SNSは有効だと思います。しかし、それだけで直接的な購買行動につながることは少ないでしょう。
下記はGMO TECH社のまとめからの抜粋ですが、消費者が店舗について調べる時のアクセス先は公式ホームページで76%と圧倒的に多くなっています。対して公式ブログやソーシャルメディアといったSNSにアクセスする割合は合計6%しかありません。」
出典:GMO TECH「インターネット上において消費者は最新情報をどこから仕入れるか」
荒賀さん「SNS上の情報の多くは閲覧者にとっては断片的なものなので、そこで魅力を感じ、『どんな会社?』と興味を持った人達は、その企業のホームページを見ることが多いのです。企業のホームページには、会社や店舗の所在地、沿革、取扱商品の種類とその説明などの情報が整理されて掲載されていますので、ここで理解が深まり、次の行動へとつながります。」
――SNSの割合が低いのは意外ですね。Webのなかでもホームページがそれほど重要なら、多くの企業で導入が進んでいると思うのですが、実際はどうなのでしょう?
本間さん「下図はアイ・モバイル株式会社による『2022年中小企業調査』を元にした円グラフですが、これによると中小企業の52%がホームページ未導入です。また、残りの企業でも導入はしたものの活用できていないと回答した企業が18%で、実際に活用できている企業は30%でした。つまり、全国の70%の中小企業が自社ホームページを活用できていない状況にあるということです。」
――「導入はしたものの活用できていない」が導入済み企業のなか中で4割弱もあると考えたら、かなりの割合ですね。その要因は何でしょうか。
本間さん「効果的なホームページが作れるかどうかが属人的なスキルに頼られていて、担当者が抜けた後に制作当時のクオリティーや頻度を保った更新が続けられないことではないでしょうか。その背景には、ホームページの立ち上げが一過性のプロジェクトで終わってしまい、その後の定常業務にできていない状況が考えられます。
あるいは、制作者や経営者の思いが強すぎて、制作したコンテンツを客観的に評価できないということも考えられます。レビュアーがいないと独りよがりになってしまい、構成や表現についての検証や試行錯誤ができません。『これで十分だろう』と思ったときにアップデートは打ち止めになり、向上意欲も改善アイデアもすぐに枯渇してしまいます。」
――これは落とし穴ですね。未導入の約半数の企業でも、今後導入する際に一過性のプロジェクトで、レビュアー体制無しの少人数が担当者だったら、同じ状況になるでしょう。
荒賀さん「組織的な定常業務にすれば良いのでしょうが、それができない要因は、経営者視点で投資対効果が見えないことではないでしょうか。別の調査では、未導入企業の一番の理由は『必要性を感じない』であったという結果もあります。
立ち上げたホームページ内にEC(イーコマース)機能を持ち、そこで自社商品を通信販売しているという企業は少数のため、直接的な売上効果が見えにくく、ホームページの維持を投資ではなくコストとして考えてしまいがちだと思われます。 そうなると、『どれだけのお金をかけてどこまでのクオリティーを保てば良いのか』という達成基準が設けられないので、定常業務からは置き去りになってしまいます。」
本間さん「しかし、ホームページは直接的な売上獲得以上に、自社のプレゼンスやブランド力の向上に効果を発揮するという実績があります。
以下は、ホームページを開設してからもっとも効果があったものランキングです。求人は第5位ですが、3位の認知度アップ、4位のイメージアップも採用活動に欠かせないものですから、まさに人材獲得競争ではホームページの活用効果が顕著に現れるでしょう。」
まずは「人材獲得」に特化した目標設定からホームページ活用の第一歩を
荒賀さん「コニカミノルタジャパンでは「ホームページ制作パッケージ」を商品としてラインアップしています。
以前のお客様の導入理由は、サポート期限切れの古いページコンテンツの更新やセキュリティー対策などが多かったですが、近年はそれらに加えて『効果的な人材獲得』を目的とした導入事例も増えています。」
本間さん「ホームページ制作パッケージの最大の特徴は、国内でもっともメジャーな求人検索エンジン『Indeed』との自動連携です。これにより、キーワードその他による自然検索流入よりも効果的に閲覧者を増やすことができます。Indeedからは、採用条件やキーワード検索で自社の募集要項がURLとともに表示され、そこから自社ホームページに遷移する仕掛けが作られます。」
――これは心強いですね。「就職活動をする人達のもっともメジャーなアクセス先に追加費用一切なしで入稿できる」というだけでも導入の決め手になりそうですね。
本間さん「実績としても、2023年6月現在で求人応募累計1万人を突破しました。ご導入いただいたお客様のなかには、公開1ヵ月で29名の応募があり、当初の予定通り2名を採用できたという喜びの声もいただいています。
ホームページは情報の提供先が地元に限られず全国に公開されるので、企業や仕事内容の魅力がSEO対策と共にしっかり表現できているのであれば、見てもらいたい人には地域を問わず伝わりますから、その効果は絶大だと思います。」
小さく始め、走りながらの試行錯誤!ホームページ制作パッケージのメリット
本間さん「ホームページ制作パッケージでは、プラン50、プラン20、プラン0の3種類をラインアップしていますが、プラン0だけはコンテンツを自前で作成・運用できる企業様向けのプランです。メインのプラン50とプラン20は、初期のコンテンツ制作とその後の維持管理を定額でコニカミノルタジャパンがお引き受けするプランになっています(それぞれ50ページ、20ページまで)。」
――ホームページの維持管理をおまかせできるというのが売りなのですね。ただ、そのホームページに最初に掲載するコンテンツを出すのが大変、という企業も多そうです。
荒賀さん「ホームページがない企業では、会社案内パンフレットや会社説明資料など、既存のものを組み合わせて制作担当とベースのアイデアを作ることをおすすめしています。掲載したい情報や原稿案をWordやメールなどで伝えれば、制作担当者は数あるテンプレートのなかから企業イメージに合わせてサクサク作っていくことができます。」
本間さん「SEO対策(Search Engine Optimization:ターゲット顧客の検索ワードでヒットしやすいように文章表現を最適化)も、お客様と一緒に原稿や既存のホームページを見ながらアドバイスができるので、効果的な表現にしていくことができます。また悩んだ際にも使い方動画やサポートデスク、活用ノウハウサイトをご用意しているのでサポートも万全です。」
荒賀さん「継続的な更新の頻度も大切で、Indeedでは新着情報ほどピックアップされやすい傾向にあります。」
――つまり、SEO対策に加えて鮮度も大切ということですね。
荒賀さん「Indeedとしても、先週更新された求人情報と半年前の求人情報があったら先週のものを優先しますよね。半年前の情報だと内容が変わっている可能性があるためです。」
本間さん「企業によって自社PRの方法や効果的な表現の仕方が異なるので、唯一の正解はありません。求人情報もページコンテンツも模索することが必要です。Webコンテンツは掲載したら終わりではなく、掲載後のアクセス数や応募数など、反応を見ながら、あれこれ変えることができます。
新しいキャンペーンを打つ時も、始めやすく、止めやすく、すぐに対応できることが大切です。その点、効果を統計的に分析して、的確に反映させることができるホームページ制作パッケージの活用は、多くの中小企業の助けになるでしょう。」
まとめ
ここまでのお二人の話をまとめると、以下となります。
- 多くの就職・転職活動者がアクセスするWebの活用、なかでもホームページは極めて有効
- ホームページの未導入や更新の停滞は、マイナスのイメージを与えてしまう
- 現状は多くの企業が活用できておらず、いま積極活用できれば競争優位に立てる
- 収益面の投資対効果の前に、「人材獲得」に目的を絞ったホームページ導入が有効
- 「ホームページ制作パッケージ」の4つの利点:
①求人サイトIndeed連携により多数の閲覧者を獲得できる
②社内にある情報を元に、手軽にページ制作を依頼できる
③制作担当者がSEO対策や更新頻度を視野に入れて提案し継続的に運用できる
④定額プランで始めやすく維持しやすく、更新も迅速に対応できる
――最後にお二人から、読者の皆さまにメッセージをお願いします。
本間さん「中小企業においても今後ホームページが採用活動のマストアイテムになっていくと考えています。まさに「2030年問題」でも言われているように、人材採用は全国規模でさらに深刻な課題になっていくでしょう。人手不足の解消どころか、後継者の獲得や育成ができないうちに、ベテラン職員の退職で自社のスキルやノウハウが消失してしまう状況は何としても避けたいですよね。」
荒賀さん「ホームページは掲載できたらゴールではなく、目的達成に向けて継続的な洗練が必要なアイテムです。もし自社の着手が1年後、2年後だとしたら、その間にも先手を打った(人材争奪戦の)競合企業は試行錯誤を重ねて知名度とナレッジを獲得し、どんどん先に行ってしまいます。遅れをとる前に、Webの活用をぜひご検討ください。」
――荒賀さん、本間さん、本日はありがとうございました。
いいじかん設計 編集部