プロジェクト推進にテレワーク活用はアリ?実体験から学んだ成果獲得のための工夫

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プロジェクト推進にテレワーク活用はアリ?実体験から学んだ成果獲得のための工夫

様々な部門から社員が招集されて始まるプロジェクト型の業務。お互いをよく知らない場合もあり、直接顔を合わせて会議する方が上手くことが運ぶイメージが強いのではないでしょうか。
実はコニカミノルタジャパンでは2022年、プロジェクト推進の原則をしっかり守りつつも、テレワークの利点を活かしてより効率的、効果的に推進できた実例があります。テレワークでも通用する、円滑なプロジェクト推進方法とは?プロジェクトメンバーによる当時の体験を振り返り、成功させるための工夫をご紹介します。

INDEX

押さえておきたい「プロジェクト」の定義

「プロジェクト」という言葉から様々な連想を生んでしまいがちなので、はじめにこの言葉の定義についておさらいしておきます。多くの方が、例えば風土改革や新規事業、新商品の企画業務などの壮大なテーマをイメージしがちですが、定義の上ではもっと幅広く「定めた目的を期限までに達成するための一過性の業務」のことを指します。そして複数人以上のメンバーで取り組むことも必須要件です。
多くの場合は特定部門の役割や権限だけでは完結できず、複数部門のメンバーで役割を分担し、共通の目標に向かって推進していくことが求められます。おそらく皆さんの普段の業務のなかでも「プロジェクト」と呼べるような活動があると思います。大なり小なり、意識しているかどうかは別としても、いずれも「複数人が関わる未知の成果への挑戦」ということです。やることもやり方も既知なのであればそれは「定常業務」ですから、プロジェクトにはその企業・団体にとって未知の要素が必ずやどこかに含まれているのです。

一般的なプロジェクトの推進に関わる知識については関連する書籍もたくさん出回っているため、ここでの詳細な解説はスキップし、以下ではコニカミノルタジャパンの社員が体験的に重視しているポイントについて説明します。

プロジェクト推進を円滑にする基本ポイント

プロジェクト推進を円滑にする基本ポイント

良好なコミュニケーションの場づくり

プロジェクトをスタートさせたらメンバーで手分けしてタスクに対応していきますが、ここで肝心なのがメンバー間のコミュニケーションです。それぞれ役割と自らのタスクを理解した上で参画していても、他のメンバーとのコミュニケーションが十分でないと、認識のずれによるタスク間の不整合が生じたり、突発的な対応などが共有されなかったりすることで、スケジュールの遅延や目的を満たさない成果につながりかねません。
プロジェクトは複数人が関わる未知の成果への挑戦ですから、「必要最低限の情報共有に留めて時間の効率化を図ろう」、あるいは「他部署や他メンバーの責務や成果を侵さないよう、自分の責任範囲のことだけを発言しよう」などという考え方は一見正しいようで実は大きな矛盾が含まれています。それは、何が「必要」なのか、自分達の責任範囲は全体を漏れなく重複なくカバーしているかについて、本人同士もリーダーも見極められていない場合が多いからです。ちょっとした発見や小さな疑問なども共有していくこと、あるいはそれらがプロジェクトの成果にどういう影響を及ぼすかを多くのメンバーで考える習慣が、プロジェクト推進には大切だと考えられます。

情報の記録と変更点の管理

合わせて、情報の記録と管理も円滑なプロジェクト推進に欠かせません。メンバー同士のコミュニケーションを行うために、会議や打合せを実施することと思いますが、そこで出てきた意見や提案、情報共有等は議事録等に記録しておくことが大切です。メンバーそれぞれの記憶力だけでは認識の相違や齟齬が生まれやすくなり、検討や作業の重複が発生する恐れがあります。箇条書きやメモ書きでも構わないので記録を残しておきましょう。また、目標やタスクの内容、進行スケジュール、担当メンバーと役割はいつでも確認できるように開示し、変更があった場合には即座にプロジェクトメンバーに共有しましょう。

プロジェクト推進に適した環境とは?

プロジェクト推進に適した環境とは?

このように、複数人が連帯感をもってコミュニケーションを密にとりながらリアルタイムに仕事を進める姿を想像すると、多くの人はオフィスや事務所に集まって行う方が効率的だと思うでしょう。メンバーが一つのプロジェクトルームに缶詰になり、気付きや意見は声に出してメンバーに伝え、大事なメモはホワイトボードや壁に貼り出し、いつでも見られる状態にして進める…。テレビのドラマやドキュメンタリーでよく見るような光景です。

その一方で、メンバーの「声」というのは必ずしも口頭だけではありませんし、情報の記録はもちろん手書きだけではありません。「発信」「記録」「共有」というコミュニケーションの要素を考えると、情報は電子化されていた方が機能的です。顔を直接合わせるかどうかは別にしても、コミュニケーションの媒体としてはTeamsやZoom、Slack、Chatworkなどのオンラインツールを活用するほうがスマートでしょう。ただ、従来の対面形式でのプロジェクト推進に慣れている方にとっては、オンラインツールの併用イメージが湧かない方もいらっしゃると思います。もしかしたら「面と向かって話せる距離にいるのに、口で伝えないでチャットするなんて」と思われるかもしれません。
しかし、情報というのはいかに新鮮な状態で、ロスなく伝達するかということが肝心なのです。口頭での説得や交渉を行いつつも、相談ごとの経緯や決めたことなどをチャットやメールで発信することは、プロジェクトをスピーディーかつ正確に推進するためにとても有益です。

プロジェクト推進はオフィス出社向けの業務か?

プロジェクト推進はオフィス出社向けの業務か?

2020年から始まったコロナ禍でのテレワーク推奨がいったん落ち着きを見せ、多くの企業では従業員がオフィスに戻っているという状況があります。コニカミノルタジャパンはこれを踏まえ、自社のオフィスのリニューアルなどを通じて、テレワークの存在意義について考え直す機会がありました。多くの業務に対し、それぞれの特長から、テレワークに適した業務なのか、あるいはオフィス出社に適した業務なのかの仕分けをしていました。そのなかで「プロジェクト業務」は、メンバー同士の信頼や創意工夫が必要な業務であるという特性からオフィス出社に適した業務ではないかと当初考えていたのですが、この考え方が当てはまらない例外的な事例が社内から出てきました。

そのプロジェクトとは、コニカミノルタジャパンの自社ウェブサイトのコンテンツの改善に関するものです。メンバーの気付きが発端となってプロジェクト化し、オンラインコミュニケーションツールの機能をフル活用することで、全てのメンバーが離ればなれのテレワーク環境下でありながら、対面でも難しい部門横断のプロジェクトを円滑に推進し、通常の社内プロジェクトより遥かにスピーディーに成し遂げた事例がありました。以下は、その実例の経緯に沿ってポイントをご紹介します。

自社のテレワークプロジェクト事例から読み解ける9つのポイント

ちょっとした雑談から誕生したプロジェクト

オンラインでもショールームの見学体験を可能にする、コニカミノルタジャパンの運営サイト「IDEA SHOWROOM」。ここでは、社会全体の動きやニーズを踏まえ、お客様企業の働き方に関する課題とその解決のヒントとなる情報や手法を「おすすめの見学コース」として展開しています。「電子帳簿保存法改正に向けた対応策」も、IDEA SHOWROOMのなかのおすすめの見学コースの1コンテンツとして掲載されていました。

掲載開始から4か月後、「IDEA SHOWROOM」運営メンバーが集まるオンライン会議(Teams)で、あるメンバーがこのコンテンツについて、「もう少しお客様が理解しやすい内容に改善できれば良いのに…」と軽く相談を持ちかけました。すると「実は、私も改善したいと思っていました!」などと意外にもたくさんの賛同者が出てきました。現状のコンテンツも一見うまく仕上がっていたのですが、サイトにはじめて来られたお客様の体験を想定した時、何を意味しているのかが分からず戸惑わせてしまうような表現が多数ありました。
①問題提起したメンバーがオンラインで画面を共有しながら解説することで、参加していた他のメンバーは「確かに」と納得し、問題認識を正確に共有することができました。本件はその会議の本題ではなかったのですが、会議時間に少々余裕があったことに加え、普段のオンライン会議でも②アイスブレイクのような雑談があり、何でも気軽に共有できる雰囲気ができていたことも、上手く課題提起が共有できたポイントでした。こうして、コンテンツリニューアルのプロジェクトはにわかに立ち上がりました。

共通理解を形成する明確な目的と役割分担の設定

そこからプロジェクトをスタートさせるために準備を始めます。
ひとくちに「電帳法」と言っても、予備知識や課題認識はお客様によって千差万別です。そのことを念頭に置きながら、「素性の異なるどのようなお客様でも見やすく理解しやすいコンテンツ」を到達目的に掲げ、プロジェクトはキックオフされました。オンライン会議で関係者同士が集まって意見を出し合い、プロジェクトリーダーは目標を設定、必要なタスクとメンバー、役割分担まで瞬く間に整理を進め企画書にまとめました。この企画書は発案者のアイデアをなぞったものでしたが、③視覚的に非常に分かりやすくまとめ直されており、後から参加したメンバーがいてもすぐに理解できる企画書になっていました。

電帳法おすすめ見学コースのレイアウト相談

例:視覚的に分かりやすい企画書

そして、このプロジェクトに携わるメンバーを集めたTeamsチャネル(グループ)を作成し、チャネル内のファイルストレージに企画書と作業ファイルを格納。④メンバーはいつでもTeamsでそれらを参照、更新できるようになっていました。

Teamsでファイルや企画書を参照、更新

例:メンバーがいつでもTeamsでファイルや企画書を参照、更新できる

未知の事柄に突き当たると同時に行われる有識者の臨時招待

プロジェクトメンバーは、お客様への提供価値の説明シナリオを担当する営業戦略の企画担当者、提供商品の機能や仕様に詳しいマーケティング部門の担当者、ウェブサイトでの表現とコンテンツに責任をもつ広報宣伝部門の担当者と、部門横断でアサインされました。当初想定していたタスクを遂行するうち、元々アサインされていたメンバーだけでは分からない、やり切れない課題が出てきます。そうすると、⑤自分達の推測で片付けようとせず、「誰なら分かるのか?」と、カギを握っている人物の探索が即座に始まります。オンラインの打ち合わせで「ソリューションエンジニア部門の○○さんでは?」という候補者が会議で固まると、メンバーはその場でOutlookのスケジュールを確認し、その人にメールもしくはチャットでの打診とともに、お互いのスケジュールの余白時間を探し、そこにスポットでオンライン打ち合わせ依頼を入れていくという対応で進められました。

コニカミノルタジャパンでは出張や会議だけでなく、休暇や私用での離席時間も含めてほぼ全てをOutlookのスケジュールにインプットし、⑥全ての社員がお互いのスケジュールの空き状況を確認できるように運用しています。オンライン打ち合わせの場合、出席依頼の時間調整はほぼスケジュールの空き状況だけで対応可能です。コニカミノルタジャパンでも以前はオフライン会議のみでしたが、その際にはメンバーの本籍地や前後の予定などの兼ね合いで同じオフィスに出社できる時間はかなり制限されますし、5日後でようやくスケジュールが合致する日が見つかっても肝心の会議室の予約が埋まっているのでその翌週で再調整、などということも起こりがちでした。今回はオンラインのメリットをフル活用し、突発的な打ち合わせもスムーズに実施することができました。

プロジェクトメンバーのOutlookスケジュール表

例:プロジェクトメンバーのOutlookスケジュール表 空き時間に打ち合わせを設定できる

全員が兼務体制のなかで「待ち」の時間を極端に減らす工夫

また、プロジェクトを推進するなかで、時には急ぎで確認したいことも出てきます。オフィス出社の業務に慣れた人にとっては、席にいる本人を見て、取り込み中でなければすぐに声をかけることができるので、相手が今何をしているかが見えないテレワークは急ぎの対応がしにくく、デメリットが大きいと思われるでしょう。しかし、オフィス出社スタイルであっても全員が常にプロジェクト業務に従事しているわけではないので、別の業務の出張や会議で離席していることがあります。担当者がすぐつかまらない場合には書き置きをしたり、いつ戻るか分からない帰りを待ったりしていたので、いつもサクサク進むとは限りません。

その点コニカミノルタジャパンでは、前述の通り全メンバーの就業状況のオンライン共有ができているので、これと連動するTeamsのアイコンの色でその担当者がいま連絡可能か離席・取り込み中かを把握できます。相談相手がいま目の前にいるかどうかはそこまで重要ではありませんし、ちょっとした依頼や申し送り事項はそのままチャットに打ち込んで反応を待つことができます。むしろ⑦用件自体がそのチャットで済んでしまう場合がほとんどでした。メールだといちいち受信トレイを開いて内容を確認し、返信メッセージを書いて送信ボタンを押す必要がありますが、チャットは前後の挨拶もいらず、イエス・ノーのレスポンスなどは数秒で応答することが可能です。しかもそのやり取りをグループチャットで行えば、離れた場所にいる他のメンバーも参照可能です。込み入った事前相談は個別に行い、メンバーに共有できる形になってからグループチャットに転記するというスタイルもよく用いられます。チャットでお互いの場所や時間を選ばずに一つのタスクをつなげられるというTeamsの使い方はプロジェクトの進行スピードを劇的に加速させました。

気付きや意見とともに「嬉しさ」のリアルタイム共有

会議や打合せ後にはもちろん議事録を作成しました。作成した議事録はTeamsチャネルで共有し、「議事録を作成しました。」とチャットを投稿します。投稿後は議事録の内容についての意見ももちろんですが、「こんな風にしてみてはどうでしょうか?」など、思いついたこと、アドバイスなど、メンバーが気軽にチャット投稿するほか、⑧これに対して「いいね」や「ステキ(ハートマーク)」などのボタンを押してリアクションを送り、アイデアに追加アイデアをプラスしていきます。

こうした小さなチャットコミュニケーションの積み重ねがメンバーのモチベーションアップや、新たなアイデアの提案につながり、プロジェクトの成果をより良いものへと導いていきました。このような気軽なコミュニケーションはメンバーの個性が垣間見られたり、意見を出しやすい風土が作られたりと、メンバー同士が認め合いながら成果物の質やスピードを加速することにもつながります。

チャットコミュニケーション

例:チャットコミュニケーション

初の顔合わせであらためて実感したメンバーの多様性

プロジェクトの遂行自体は完全にオンラインで進められていきましたが、このプロジェクトに参画しているメンバーが一度だけ、別タスクの会議で「つなぐオフィス」に集まる機会がありました。その時は、いつもオンラインの画面越しに見ていたメンバーの姿をはじめて見て、「オフラインでは、はじめまして。」などと妙によそよそしい挨拶をしたのが新鮮でした。この記事をお読みの方は、チャットでのコミュニケーションをしている文脈から若手中心のプロジェクトを想像したかも知れませんが、実際は20代から50代までの幅広い年齢層の男女社員で構成されており、中心メンバーは40歳前後でした。年齢を理由にオンラインが上手く使えない、会話についていけないなどということは全くありませんでした。大切なのは⑨プロジェクト全体で目指すべき単一の目的を共有し、自分の考えや疑問をためらわずに発せられる環境づくりであり、それはオンラインであっても十分に成立するということが実証できた、コニカミノルタジャパンにとっても貴重なプロジェクト経験でした。

こうしてメンバー同士のコミュニケーションを十分にとりながら、情報の記録、共有を重ね、最終的に「IDEA SHOWROOM」には電帳法に伴う様々なお客様へのご提案と、お客様が自らの課題を明確化できる「診断チャート」とを提供するプロジェクトをたった1か月という短い期間で完了しました。

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まとめ

複数人が集まって進めるプロジェクトは、メンバー同士のコミュニケーションと情報の記録・共有というポイントを押さえていれば、意外にもオンラインコミュニケーションツールで効率的に推進できることがお伝えできたのではないかと思います。また、メールや電話にはない気軽なコミュニケーションが実現できるチャット機能の存在も大きいでしょう。気軽なコミュニケーションからメンバーの個性を知り、それを許容していくことでさらに自由な発想を生み出せる風土を築くことができると考えます。
新しい働き方が浸透し、テレワークとオフィスワークのどちらを選択すべきかと悩まれている読者の方も多いと思います。どちらにもメリット・デメリットがあり、それを理解しながら、状況に応じて使いこなしていくこと、そしてこれまでにない質の高い成果に繋げていく方法を見出していくことが求められているのでしょうか。

次回からはオンラインコミュニケーションツールをはじめ様々なITツールを活用し、テレワークをはじめとした多様な働き方について、実践者のインタビューを通して紹介していきますのでお楽しみに!

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いいじかん設計 編集部

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