フレックスタイム制とは?導入メリットとデメリット、運用時の注意点も解説
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労働者のライフスタイルや価値観が変化している現在、企業においては多様な働き方の実現が求められています。働き方改革はそのための象徴的な取り組みとも言えますが、具体的な施策の一つに「フレックスタイム制」が挙げられます。
しかし、フレックスタイム制とは具体的にどのような制度なのか分かっていないケースも少なくありません。そこで今回は、フレックスタイム制の概要とメリット・デメリットに加え、運用時に注意しておきたいポイントも含めて解説します。
INDEX
フレックスタイム制とは
はじめに、フレックスタイム制とはどのような制度なのか、基本知識として押さえておきたいポイントを紹介します。
フレックスタイム制とは、「あらかじめ定められた総労働時間の範囲内で、社員自身が始業・終業時刻を決定できる制度」のことです。フレックスタイム制の運用にあたっては、コアタイム(必ず出勤しなければならない時間帯)とフレキシブルタイム(出社・退勤時間を自由に調整できる時間帯)を設定し、フレキシブルタイムの範囲内で社員自身が裁量を持って時間を調整する方法が一般的です。
また、コアタイムを設けることなく、週単位や月単位で所定労働時間を設定し、社員自身に労働時間管理を任せる運用方法もあります。
フレックスタイム制のメリット
フレックスタイム制を導入することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。今回は、企業側と社員側それぞれの立場から、考えられるメリットについて解説します。
企業側のメリット
■生産性の向上
社員自身が出退勤の時間を自由に調整できることで、例えば「閑散期は定時前に帰宅する」「繁忙期は早めに出社する」といった柔軟なスケジュールを組むことができます。業務の繁閑にかかわらず一律で所定労働時間を設けるよりも、フレックスタイム制によってメリハリのついた業務スケジュールを計画することにより、労働生産性の向上が期待できます。
■人材の定着化・採用の促進
フレックスタイム制を導入することで、働き方改革が促進され働きやすい環境が構築できます。例えば、子育て中の社員の場合、幼稚園や保育園へ子どもを迎えに行くためには、18時の定時退社では間に合わないこともあるでしょう。
フレックスタイム制を採用している企業であれば、社員のライフスタイルに合わせて始業時刻や終業時刻を調整できます。幼稚園や保育園へ子どもを迎えに行かなければならないときには、通常の始業時刻よりも早く出社し、その分退社時刻を早めることで対応できるでしょう。
また、感染症対策や災害時に公共交通機関の混雑を回避する観点からも、フレックスタイム制を採用していれば時差出勤にも対応できるメリットがあります。
このように、フレックスタイム制を導入することで、社員一人ひとりの事情やライフスタイルに働き方を合わせることができます。その結果、新たな人材が採用しやすくなるとともに、定着化にもつながっていくことが期待できるでしょう。
社員側のメリット
■ワークライフバランスの改善
始業・終業時刻が臨機応変に調整できることで、ワークライフバランスが改善され、社員がプライベートな時間を確保しやすくなります。例えば、新たな資格に挑戦するためにビジネススクールへ通ったりセミナーに参加したりするなど、スキルアップのために時間を有効に活用できるでしょう。
また、電車の混雑が少ない時間に通勤することで、通勤にかかる体力的・精神的な負担も軽減されます。
■テレワークとの相性が良い
テレワークとフレックスタイム制をかけ合わせることによって、時間と場所にとらわれない働き方が実現されます。また、育児や家事と仕事の両立を目指す社員にとって、働きやすい環境が整備されることが期待できます。
フレックスタイム制やテレワークといった働き方はニューノーマルな時代に対応した職場環境づくりに欠かせない要点です。詳細については以下のページもご参照ください。
フレックスタイム制のデメリット
一方で、フレックスタイム制は必ずしもメリットばかりとは限りません。企業側・社員側にとって考えられるデメリットをそれぞれ解説しましょう。
企業側のデメリット
■勤怠管理が複雑化
フレックスタイム制では始業時刻・終業時刻といった定時がなくなるため、遅刻や早退といった勤怠管理があいまいになりがちです。そのため、勤怠管理に関するルールを抜本的に見直す必要がありますが、従来に比べて勤怠管理が複雑化することも。勤怠管理ツールを運用している場合、現在のツールでは対応しきれないことも考えられます。
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■社外的な対応が迅速にできなくなる可能性
顧客や取引先からの電話やメール対応を行う場合、先方は就業時間内であると認識しているにもかかわらず、自社の社員はすでに退社しているケースが考えられます。
このような問題を解決するためには、部署やチーム内でフォローし合える体制を構築しておくことが重要です。
社員側のデメリット
■コミュニケーションの難しさ
始業時刻や終業時刻が社員ごとに異なると、時間帯によっては出社している社員とそうでない社員が混在することになります。その結果、コミュニケーションが取りづらいと感じる社員も出てくるでしょう。また、他部署の担当者が退社したことを認識できておらず、社内連携が上手くいかず業務に支障をきたす可能性もあるでしょう。
■自己管理
フレックスタイム制のもとでは、社員自身が適切に時間管理をしなければなりません。また、これまでと始業時刻や終業時刻が変化することで生活のリズムが狂い、体に不調をきたす社員も出てくるでしょう。時間管理や体調管理といった自己管理が苦手な社員にとっては、業務のパフォーマンスに影響し、成果が上げにくくなる可能性もあります。
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フレックスタイム制を導入する際に注意すべきポイント
フレックスタイム制をスムーズに導入するためには、どのようなポイントに注意すべきなのでしょうか。特に重要な2つの点を解説しましょう。
適用範囲に応じた運用方法の検討
業務内容や社員の役割に応じて、フレックスタイム制を適用する範囲を決めましょう。
例えば、コールセンター業務のような場合、複数の社員が同時に出社時間をずらしてしまうと顧客対応が回らなくなる可能性もあります。そこで、フレックスタイム制によって業務への影響が懸念される場合には、コアタイムを設けるといった工夫が求められます。
労働時間管理
フレックスタイム制への移行によって、社員によっては労働時間に対する意識が低下し、長時間労働に至るケースも考えられます。
フレックスタイム制であったとしても、企業として従来通り残業時間管理は厳密に行う必要があるため、各社員任せにするのではなく、リーダーや管理職、人事部などが責任を持って管理する体制を構築することが重要です。
フレックスタイム制を導入し働き方改革を加速させよう
フレックスタイム制は働き方改革の一環としても有効な施策と言えます。社員自身が労働時間を管理できることで、多様な働き方が実現され、生産性の向上や人材の定着化などが見込まれるでしょう。
しかしその一方で、勤怠管理の複雑化やコミュニケーションが取りづらくなるといった問題が生じる可能性があることも事実です。
フレックスタイム制の導入にあたっては、業務に支障が出ないよう運用方法を検討し、勤怠時間の管理も社員に任せるのではなく、企業としてしっかりと把握しておくことが重要と言えます。
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いいじかん設計 編集部