育児・介護理由の離職対策に!「働き方改革」で柔軟な働き方を認めよう
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少子高齢化を背景とする労働人口の減少で、企業の人手不足が常態化しています。人手不足の原因には採用難もありますが、対策としては優秀な社員の離職を防ぐことも大事です。働く意欲はあるのに育児や介護を理由に辞めざるを得ない社員を引き止めるには、フレックスや時短勤務など柔軟な働き方を認める「働き方改革」が有効です。
INDEX
育児・介護による離職は企業の損失!
コンビニや大手飲食チェーンが夜間営業を見直すなど、人手不足は企業の事業継続に影響を与える経営課題となっています。人手不足を補いたくても、採用コストが増える傾向にあり、「やめたら新しい人を取ればいい」という時代でもなくなってきています。介護を理由に中堅社員が離職する例が増えるなど、今いる人材をどうつなぎとめるかが企業にも問われています。
10年間で約2倍に増えた介護離職
「介護・看護」が離職理由に占める割合は2%と小さいものの、「出産育児」2%「結婚」2%と同等です。しかも、2017年には約9万人と、2010年代になっておよそ2倍に増えています。男性比率も年々上がってきているため、企業にとっても40〜50代の働き盛りの人材を失うことになります。
新卒・中途とも増加する採用コスト
リクルートの「就職白書2019」によれば、1人あたりの平均採用コストは新卒採用で72.6万円、中途採用には84.8万円かかります。採用コストや戦力化するまでにかかる時間も考えれば、既存の人材が離脱しないようにした方がよい、と考える企業が増えています。
2018年度新卒採用および中途採用1人あたりの平均採用コスト
柔軟な働き方を認める「働き方改革」
日本は今、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。少子高齢化により、40年後に労働人口が40%減少する見通しも出ています。
こうした中、女性や高齢者の就業機会を増やし、育児や介護で離職せざるを得なかった人材でも働き続けられる社会を実現すべく、政府は「働き方改革」を推進しています。
“「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。(厚労省)"
「働き方改革」で出産・育児による離職を防ぐには?
厚生労働省の調査によると、離職した女性の退職理由で一番多いのは、依然として「出産・育児のため」です。一方、育児休業の活用により出産後も就業を継続する女性が増えています。
国立社会保障・人口問題研究所の出生動向調査によれば、15歳未満の子供がいる無職の女性で「就職を希望する」と回答した人が約86%と大多数を占めました。なかでも「すぐにでも働きたい」と回答した人は20%弱にのぼっています。
子育て中の女性の多くは、経済的理由から就業を希望しているものの、育児と仕事の両立を考えるとなかなか難しい、という状況が浮かび上がってきます。
企業ができる対策としては、出産育児休業や復帰後の支援制度の整備があげられます。「育児介護休業法」でも、育児休業、子の看護休暇、所定外・時間外労働の制限、深夜業の制限、育児のための所定労働時間短縮の措置、育児休業等によるハラスメントの防止などが定められています。
「育児休業等によるハラスメントの防止」とあるように、制度があっても周りの雰囲気的に使えない状況は避けなければなりません。
例えば子育て中の女性は、子供の迎えや急な発熱などでお迎えや急な休暇が必要な場合があります。そのため、時短勤務やフレックス、テレワーク制度などの支援策が望まれますが、対象を子育てや介護など事情を持つ人に限定しないことで、特別感を出さないようにするとよいでしょう。
「介護離職」を防ぎ仕事と介護を両立するには?
高齢化が進み、団塊世代が老後を迎え、要介護人口が増加しています。介護者は40-50代が中心で、企業では働き盛りで管理職などの職にある方も少なくありません。こうした中、介護は育児と異なり突発的に問題が発生することや、人によって介護を行う期間や難易度も多様なため、仕事と介護の両立が困難になることがあります。
政府も介護と仕事の両立を支援するため「介護休業制度」を設けています。「介護休業制度」では、要介護状態の家族の介護等をするため、「介護休業」や「介護休暇」などの制度を利用できます。これらの制度は、「所定労働時間短縮等の措置」を除き、企業に制度がない場合でも、法にもとづいて制度を利用できます。
育児・介護休業法の概要
また、企業向けに「仕事と介護の両立支援ガイド~従業員の介護離職を防ぐために~」などを通じて、仕事と介護を両立しやすい職場環境づくりを支援しています。
企業においても、これらに加えてフレックス制度やテレワーク導入などで、柔軟な働き方を認める「働き方改革」を行っていきましょう。
まとめ
少子高齢化を背景とする労働人口の減少は、すでに企業の人手不足として現れています。採用難や採用コストの上昇で新しい人を補えないなか、従業員の離職を防ぐ方向性も注目され始めています。
なかでも、出産・育児や介護による離職は、本人は働き続けたいのに仕事との両立が難しくやむなくという側面があります。女性であれば育児休業や復帰後の支援制度を整備し、介護であれば「介護休業制度」の活用などが考えられます。
さらに、制度を整備するだけでなく、活用しやすい職場の雰囲気づくりも大事です。企業には、現場で不公平感が生まれないようにする工夫が求められます。
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