デジタルリテラシーとは、デジタル技術全般に関する知識を持ち、それらを活用できるスキルのことを指します。デジタル技術にはハードウェアやソフトウェア、インターネットサービス、最先端技術などが含まれ、幅広い知見が求められます。
デジタルリテラシーと似た意味を持つ言葉にITリテラシーがあります。ITリテラシーは、パソコンやスマートフォン、ネットワークなど、IT(Information Technology、情報技術)に関する知識・技術を活用できるスキルのことです。
すなわち、ITリテラシーはデジタルリテラシーの一部と考えることができます。
ビジネスの現場でデジタルリテラシーは不可欠なスキルとなっていますが、それはなぜでしょうか。
理由の一つは、業種や職種に関係なく、パソコンやスマートフォンなどのデジタル端末が普及し、業務に欠かせない存在になっているためです。例えば、営業の現場では顧客管理システムや営業支援システムを、経理部門では会計システムを活用するのが一般的となっています。これらのシステムを扱うためには、「新しいツールを操作するスキル」や、「セキュリティーとプライバシーの課題に対応するスキル」など、最低限のデジタルリテラシーが求められます。
もう一つの理由として、デジタル技術を活用して、働き方が変化していることも挙げられるでしょう。テレワークやリモートワークが一般的な働き方となったいま、ビデオ会議システムやクラウドサービスなどは業務に欠かせないツールとなっています。
従業員のデジタルリテラシーを向上させることで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
手作業による業務は多くの人手と時間を要します。また、どれだけ注意していても、ヒューマンエラーを完全になくすことができません。
デジタル技術を応用して業務の自動化や効率化を実現すれば、これまでよりも迅速かつ正確な業務遂行が可能となり、生産性の向上が期待できるでしょう。
デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業が増えている一方で、具体的に何に取り組めば良いのか分からず、DXが進んでいない企業も少なくありません。
従業員一人ひとりがデジタルリテラシーを身につけることで、DXを推進するための具体的な手段やアイデアが社内に蓄積されていきます。
情報漏えいや不正アクセスのリスクを低減するために、情報セキュリティーの研修を実施している企業も増えています。
デジタルリテラシーを向上させることで、セキュリティーリスクに対する理解が深まり、フィッシングサイトやマルウェアなどによる被害を最小限に防げる可能性もあります。従業員のセキュリティー意識が高まることで、安全なインターネット利用につながるでしょう。
一方で、従業員のデジタルリテラシーが欠如している場合には、どのようなリスク、デメリットが考えられるのでしょうか。
インターネットやSNSでは様々な情報が拡散されていますが、なかには真偽不明の情報や悪質なデマ情報も少なくありません。デジタルリテラシーが欠如していると、インターネット上にあふれるデマ情報を見極められず安易に拡散してしまう危険があります。また、正確な情報を収集する手段が分からず、真偽不明の情報に振り回されることもあるでしょう。
従業員がデマ情報の拡散に加担することはコンプライアンスの観点からも好ましくなく、企業の信頼性を低下させる一因にもなりかねません。
デジタルリテラシーが低いままだと、チャットツールやMA、SNSなどを通じて顧客と有効なコミュニケーションやコンタクトがとれないこともあります。インターネットを活用したデジタルマーケティングやビジネスの進め方が求められる昨今、デジタルリテラシーの低さは業務効率の伸び悩みや、市場での競争力が低下することも考えられるでしょう。
情報セキュリティーに対する認識が甘いと、フィッシングサイトやマルウェアをはじめとするインターネットに対する脅威の見極めが難しくなります。安全にインターネットを利用するための知識や判断能力がないままでは、情報漏えいや不正アクセスの被害につながる恐れもあるでしょう。
企業が従業員のデジタルリテラシーを向上させるためにはどういった方法があるのでしょうか。具体的な方法をいくつか紹介します。
なぜデジタルリテラシーを向上させる必要があるのか、その必要性と目的を明確化し、従業員に向けて分かりやすく説明することが大切です。目的を明確化することで、デジタルリテラシーを向上させるために企業が実行するべき施策が見えてきます。また、従業員がデジタルリテラシーの習得に向けて主体的に取り組む動機にもなるでしょう。
人事評価項目の一つに、デジタルリテラシーに関連するスキルを組み込むことも検討しましょう。
例えば、IT関連の専門資格の取得や、セミナー・研修の受講を評価項目の対象に含めます。従業員がデジタルリテラシーを習得する動機付けになり、具体的にどういったスキルを身につければ良いのかも明確になります。
従業員がデジタルリテラシーを向上させたいと思っても、具体的な方法が分からず戸惑うことも多いものです。書籍を購入して独学で取り組む方法もありますが、決して学習効率は良いとはいえず、業務との両立が難しくなりがちです。
外部から講師を招いて研修を実施したり、e-ラーニングを実施したりすることで、効率的な学習をサポートする体制を整えることが重要です。
デジタルリテラシーを向上させるためには、日々の業務でデジタル技術を積極的に活用し、慣れ親しんでもらうことがなによりも重要です。パソコンやスマートフォンといったデジタル端末の貸与を行うことや、クラウドサービスやAIなどを積極的に導入し、社内環境を整備しましょう。
デジタルやIT分野に苦手意識を持っていた従業員も、ITツールを日常的に活用することで、少しずつデジタルリテラシーが向上していくでしょう。
従業員のデジタルリテラシーを向上させることは、業務効率化や生産性向上だけでなく、情報セキュリティー意識の向上や情報漏えいリスクの低減にもつながります。
企業は従業員個人の努力に頼るのではなく、人事評価項目の見直しや研修制度の拡充、社内環境の整備などを通して、従業員のデジタルリテラシーを向上させる体制を構築することが重要です。
従業員のデジタルリテラシーを向上させることはDX推進の第一歩にもなるため、企業として積極的に取り組んでいきましょう。
コニカミノルタでは、お客様の企業における理想の「はたらく」をデザインし、実現するためのノウハウやソリューションをご提供しています。
以下のバナーからお客様の日々の働き方などに関する簡単なアンケートを通じて、課題がありそうなポイントを特定し、おすすめの動画カタログをご案内します。ぜひご活用ください。
いいじかん設計 編集部
多様な人財の活躍を目指して様々な取り組みを進めているコニカミノルタジャパン。前回の「テレワーク×マネジメ...
働き方改革関連法など、政府が「働き方改革」をすすめる背景には、少子高齢化が進み労働人口が減少する日本の...
2019年末から新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界は大きな混乱をきたしています。いまだ収束が不透...