デジタル変革は、従来から注目が高まってきていましたが、コロナ禍により一層の注目を集めています。そこで、デジタル変革が表す意味を踏まえて、必要性が高まっている時代背景について解説します。
デジタル変革はDX(デジタルトランスフォーメーション)とも呼ばれています。
経済産業省の『「DX推進指標」とそのガイダンス』では、「DX推進指標」における「DX」の定義として、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」としています。
デジタル変革をひと言で表すならば、デジタルの技術を用いて仕事のやり方や消費のあり方を変える概念と言えるかもしれません。
消費のあり方の変化には以下のような例が挙げられるでしょう。
楽曲・書籍・ソフトウェアなどを購入しなくても定額制のサービスで利用が可能。
価格や口コミを比較して検討できる比較サイトやUberのようなシェアリングエコノミーサービス※など、デジタル技術を土台としたサービスの利用により、消費者は業者の比較や商品・サービスの購入がより手軽に行える。
※個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービスであり、貸主は遊休資産の活用による収入、借主は所有することなく利用ができるというメリットがある。
AIの進化により、AmazonやYouTubeのリコメンド(おすすめ)機能の精度が高まり、消費者一人ひとりの好みに合ったサービスが自動的に提案される。
デジタル変革が必要とされる主な理由は、以下の5つです。
前述の消費のあり方の例で示したように、デジタルツールやデータがビジネスで積極的に活用されるようになっています。これらを活用しないと同業他社に対して遅れをとる可能性があります。
生産性の向上のために効率的で成果の高い働き方が不可欠とされています。
AIやビッグデータの活用など、デジタル変革の土台となる技術が開発され、一般企業でも利用できるようになりました。
ECサイトやオンラインツールなどを消費者が日常的に活用するようになり、デジタルで消費者と提供者がつながりやすくなりました。
対面での接触が制限され、デジタル商談やインターネット通販など、対面に頼らない手法での営業・販売などの業務の必要性が高まっています。
ここで、混同しやすい用語について確認しておきましょう。
デジタル変革は、単にIT技術を活用するだけではなく、IT技術を使って働き方や顧客との関係性を変更する領域までの意味を含んでいます。また、企業側のツールや技術の活用方法など、デジタルの技術そのものだけではなく活用の仕方もデジタル変革においては重要な意味を持ちます。
IT化は、単にIT技術を導入することを意味します。例えば、ITツールの導入や最新ツールへの切り替えなど、IT化の持つ意味は至ってシンプルです。
デジタル変革が注目されている理由には、必要性があると同時に導入によるメリットが大きいことも挙げられます。
データやツールを活用することで、既存業務を効率化して生産性を高めることができます。例えば、ビッグデータを活用して物流を効率化したり、小売業での販売をデジタル化(インターネット通販の活用やオンラインでのサービス提供など)したりすることにより、工程の短縮や人件費の削減、納期の短縮、人的ミスの低減などのメリットが得られます。
業務最適化や自動化、ビッグデータの活用によって、少ない労力で高い成果が得られるようになると、社員一人当たりの生産性が高まります。その結果、利益率の向上につながるでしょう。さらに、社員の労力を基幹業務や新規事業に集中するのが可能になることや、データ活用による課題の明確化などから、イノベーション創出にもつながる可能性があることもメリットとして挙げられます。
デジタル化が進んでいるのは自社だけではなく、顧客や取引先も同様です。自社がデジタル化することで、顧客や取引先が利用しているプラットフォームに適用し、顧客にとって最も利便性の高い状態で商品やサービスを提供したり、取引先とスムーズに業務を行ったりすることが可能となります。
デジタル変革を導入するためには、いくつかのステップを踏む必要があります。失敗を防ぎ、デジタル変革をスムーズに導入するためのポイントを以下に解説します。
デジタル変革とは、デジタルを活用した働き方を決める概念であるため、デジタル変革の実践では経営陣のビジョン作成共有からスタートすべきです。
費用対効果が測りづらいこともあり、結果が見えにくい状況にあっても社員一人ひとりが迷わないように、あらかじめ経営陣が明確なビジョンを作成し、全社で共有しておく必要があるのです。
デジタル変革チームを作成して、PDCAを回しましょう。
働き方の変更や改革を含むため、様々な意見が飛び交うことが予想されます。しかし、コロナ禍の経済状況下で的確に変革を行うためには、スピード感も重要です。経営者直轄のプロジェクトにするといった、経営陣の意向をスピーディーに反映できる仕組み作りが求められます。
現在の業務フローやIT資産を分析します。デジタル変革を単なるIT化で済ませてしまわないためには、データやシステムが適切に管理できているか否か、有効に活用できているか否かをチェックし、変革の成果を最大限に引き出すためにどうすべきかという点で検討することが重要です。
現状分析を行うと、様々な非効率的部分が浮かび上がってくるでしょう。なかでも、多くの企業において改善ポイントとして挙げられる点の一つが、紙を使った業務の多さです。コニカミノルタジャパンでは、ペーパーレス化やITツールによるフローの作成などの提案を通じて、多くの企業様の業務効率化のコンサルティングを行っています。
以下の記事にて、ドキュメント管理を通じたコニカミノルタジャパンでの業務改善の手法や工夫ポイントをご紹介しています。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。
社内のビジネスの流れが整備されると、一つひとつの業務がクリアになり、社員が行うべきタスクが明確化されます。必要に応じてITツールを用いることで、さらに業務を効率化・自動化することができ、より一層の業務の最適化を実現することが可能となるでしょう。
業務の最適化が行われた状態では、採算性の低い業務や優先順位の低い業務が明確になると同時に、イノベーションや新規事業につながる業務も見えやすくなります。イノベーションや新規事業の開発に社員の労働力やデジタルツールを活用することで、ますます企業の成長につなげることができるでしょう。
デジタル変革とは、単にデジタル技術を導入するだけではなく、デジタル技術を活用して顧客との関わり方を変化させることです。ただし、デジタル変革によるイノベーションは、成果を定量的に測ることが難しく、結果が出るまでに時間がかかることがあるため、経営陣がリーダーシップを取って方向性を決定する姿勢が重要です。明確なビジョンを作成し、デジタル変革を成功に導きましょう。
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いいじかん設計 編集部
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