公開日 2023.05.31
フォーム印刷業界の課題と取り組み
デジタル印刷機の活用で貢献できることは何か
コロナ禍による急激な市場の変化やビジネスフォーム(帳票や伝票など)の電子化、印刷用紙の値上げにより、フォーム印刷業界も厳しい状況が続いています。印刷会社も働き方改革や在庫レス対応など、経営改善や人材確保に向けたさまざまな取り組みを進めています。
本コラムは、フォーム印刷業界の課題や取り組みに対してデジタル印刷機の活用でコニカミノルタが貢献できることは何かについてご紹介します。
フォーム印刷業界の現状と課題
フォーム印刷とは
フォーム印刷とは、伝票や帳簿・契約書などの事務用帳票の印刷を指します。
複数枚重ねて使用する複写伝票や試験で使われるマークシートなども含まれ、ノーカーボン紙のように非常に薄い紙を印刷して製本する技術や印字位置の正確性など、高い印刷精度と専門性が求められます。
現状
コロナ禍におけるデジタルワークプレイスの推進や契約書などの電子化が進み、フォーム印刷の需要は年々減少しています。
日本フォーム印刷工業連合会が2022年11月に行った「フォーム印刷業界の現状と課題に関する調査報告書(以下、調査報告書)」によると、経常利益が増加したと答えた企業は53社中18社、減少したと答えた企業は26社(約5割)という結果でした。2021年と比較して少しずつ回復傾向にはあるものの依然として厳しい経営状況が続いています。
約半数が経常利益は減少したと回答
課題
調査報告書によると、フォーム印刷業界の課題として最も多く回答されたのが購入資材コストの増大(53社中37社、約7割)でした。円安や原燃料の高騰にともないフォーム用紙も値上げをせざる負えない状況であり、印刷会社の経営にさらに負担をかけています。
印刷会社が取り組む生産性向上や働き方改革
資材コストの増大や人手不足といった課題に対し、生産性向上や長時間労働の是正・有給休暇の取得推進など、印刷会社も経営改善や人材確保にむけた様々な対応を進めています。
約6割が産業用カラープリンタをすでに導入
調査報告書によると、フォーム印刷における産業用カラープリンタの導入率は約6割にのぼります。導入の目的として最も多かったのは、可変データへの対応(約8割)です。前年から大幅に増加しており、可変データを活用した印刷物の需要が増えていることがわかります。在庫レスを目的とした導入も3割を超えており、小ロット対応や保管コストの削減も進められています。
デジタル印刷機の活用で貢献できること
コニカミノルタはAccurioPressシリーズとIQ-501の活用で、印刷業務のスキルレス運用や効率化によって働き方改革を支援し、ダイレクトメール等の印刷ではVDPナンバリング検査機能により正確な1to1印刷を実現します。
またオンデマンド印刷では小ロット生産・在庫レスに貢献。さらにノーカーボン紙の印刷では専用キットの活用で安定した通紙を可能にし、印字位置基準の変更やリアルタイム位置補正など高い印刷精度を実現します。
ここからは、フォーム印刷のなかでもノーカーボン紙の印刷について詳しくご説明します。
ノーカーボン紙の印刷では上用紙・中用紙・下用紙でそれぞれ用紙の伸縮度合いが異なるため、印刷位置が合わないといった問題が起こり得ます。
IQ-501には紙面全体を読み取るスキャナーが内蔵されており、通紙された用紙に対して印刷位置がずれていないか、用紙伸縮による倍率が変わっていないかを判断し、自動で印刷位置の制御や倍率補正を行います。こうした印刷位置基準の変更やリアルタイム位置補正によりノーカーボン紙印刷における生産性を向上します。
専用キットで用紙搬送時のストレスを軽減
さらにオンデマンド印刷機でノーカーボン紙印刷をご検討の方は、専用キットを取り付けることで印刷搬送時のストレスを軽減することができます。
ノーカーボン紙印刷は使用したい用紙やサイズ、印字内容などによって印刷の条件が変わってくるため、コニカミノルタのショールームにて受注業務を想定した事前テストを推奨しております。事前テストのお申し込みはこちら。
補足:ノーカーボン紙について
ノーカーボン紙とは
ノーカーボン紙とは、主に伝票・帳票・申込書・契約書などによく使われる複写ができる用紙のことです。
複写用紙には「カーボン紙」「ノーカーボン紙」の2種類がありますが、ノーカーボン紙はカーボンインキが塗布されておらず筆圧によって発色します。インキ汚れの心配がなく現在の複写用紙の主流となっています。
ノーカーボン紙の種類と厚さ
ノーカーボン紙の種類には上用紙・中用紙・下用紙の3種類があり、目的や用途によって複写枚数を使いわけます。用紙の色には、白・クリーム・アサギ・ピンクがあり、1枚目は白・2枚目はピンクなど重ねる紙色を使い分けることで伝票内容を判別しやすくできます。
例)複写枚数の組み合わせ方
2枚の複写伝票を作成したい場合 | 「上用紙」「下用紙」の順に重ねる |
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3枚の複写伝票を作成したい場合 | 「上用紙」「中用紙」「下用紙」の順に重ねる |
5枚の複写伝票を作成したい場合 | 「上用紙」「中用紙」「中用紙」「中用紙」「下用紙」の順に重ねる |
ノーカーボン紙の厚さにはN40・N50・N60・N80・N130などがあり、数字が大きいほど用紙が厚くなります。用紙の厚さと組み合わせる枚数によって複写に必要な筆圧の強さも変わってきます。
一般的によく使われる厚さはN40でコピー用紙よりもやや薄めです。コニカミノルタのAccurioPressシリーズ(C4080/C14000)は需要が高いこのN40に対応しています。
ノーカーボン紙と感圧紙の違い
カーボンインキの塗布されていない複写用紙を指す言葉として「感圧紙」という言葉も広く使われています。ノーカーボン紙と感圧紙は同じ意味で使われることも多いですが、感圧紙とは富士フイルム株式会社の商標登録です。
コニカミノルタのAccurioPressシリーズ(C4080/C14000)では、大王製紙のニューマイクロペーパー(NCP)を推奨しているため、感圧紙ではなくノーカーボン紙と表記しています。
AccurioPressシリーズ活用ガイド(ノーカーボン紙編)
コラムではご紹介しきれなかった印刷機の本体設定や出力手順、オプション機能や推奨用紙もご紹介しております。ノーカーボン紙印刷の活用のヒントとしてぜひお役立てください。
ノーカーボン紙の印刷サンプルやデモのご相談も随時承っております。
コニカミノルタ以外の印刷機をご利用中の方も、お悩みやご相談がございましたらまずはお気軽にお問い合わせください。
コニカミノルタジャパン株式会社 森 慎也大学卒業後、2001年入社以来コニカミノルタのデジタル印刷機の技術サポート、印刷の様々な業務を効率化するワークフローシステムの運用支援を担当。デジタル印刷ならではの小ロット・多品種・高品質の印刷、IQ-501自動検品を活用した生産性と品質維持を両立させ、印刷会社の収益性向上と顧客に対する提供価値の拡大に貢献していく所存です。 大学卒業後、2001年入社以来コニカミノルタのデジタル印刷機の技術サポート、印刷の様々な業務を効率化するワークフローシステムの運用支援を担当。デジタル印刷ならではの小ロット・多品種・高品質の印刷、IQ-501自動検品を活用した生産性と品質維持を両立させ、印刷会社の収益性向上と顧客に対する提供価値の拡大に貢献していく所存です。 |
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