AI 活用の「音声筆談」で、聴覚障害者等との円滑なコミュニケーションを支援

横浜市 様

横浜市 様

職員数

44,613人(2021年4月1日現在)

業種

公共・組合

導入目的

住民の利便性向上、窓口対応品質向上

実現手段

ITによる安心・安全・快適性の実現

多言語通訳サービス「KOTOBAL」が、スムーズで効率的な窓口業務を推進

聴覚障害者を対象に、タブレット端末を活用した遠隔手話通訳を実施している横浜市役所様。各区庁舎に1台ずつタブレットを配置していましたが、タブレットの利用頻度が低く、活用が進まないという課題を抱えていました。そこで新たに音声認識技術を仕様に加えて入札を実行。選ばれたのが、コニカミノルタのAI多言語通訳サービス「KOTOBAL」でした。横浜市役所様とコニカミノルタは、「KOTOBAL」に、遠隔手話と、話す言葉をテキスト化する「音声筆談」をカスタマイズ。タブレットの活用度が大きく伸びるとともに、来庁者とのコミュニケーション円滑化、窓口業務の効率化に貢献しています。

横浜市役所様
横浜市役所様

課題解決のポイント

導入の背景

障害者へのコミュニケーション支援を推進するために

みなとみらい線、馬車道駅に直結する地上32階建てのビル。2020年に新庁舎として誕生した横浜市役所様です。市役所内にある横浜市健康福祉局は、横浜市民の安全・安心を守るため、さまざまな施策を展開している部門。その中の障害自立支援課は、障害のある方へ「日常生活用具の給付」や「移動の支援」、「就労支援」、「余暇活動の支援」などを行っています。
「私は、手話通訳者や要約筆記者など、障害ゆえにコミュニケーションの支援を必要としている方をサポートする人材の養成や派遣など、情報保障のためのサービスの提供等を担当しています」。お話いただいたのは、同課社会参加推進係長の工藤 岳様です。
平成28年に「障害者差別解消法」が施行され、より一層のコミュニケーションの支援が求められるようになりました。その一環として、横浜市ではタブレット端末を活用した手話通訳の提供が始められました。「これは聴覚障害者の方などが窓口を訪れた際に、タブレットを通して手話通訳者が遠隔でコミュニケーションを支援する仕組みです」と工藤様。

工藤 岳 様
健康福祉局 障害福祉保健部
障害自立支援課(社会参加推進係長)
工藤 岳 様

課題はタブレットの周知がなかなか進まないこと

タブレット端末は、手話コミュニケーションを求める来庁者を対象に、横浜市の区役所に配置されています。「各区に1台ずつ配布されているのですが、その活用頻度は残念ながら今ひとつ。行政の職員は、3年から5年くらいで異動してしまうことが多いので、来庁する市民だけでなく職員側にもタブレットの周知が進んでいませんでした」。聴覚障害者が手話によるコミュニケーションを希望しているのに、職員がタブレットの存在を知らずにその対応がすぐにできなかったということも。
さらに聴覚障害者のうち、手話がわかる人は約15%程度と言われており、また高齢者など加齢により難聴が進行するケースもあり、手話通訳のサービスだけでは、情報保障の対応として十分ではない、という現状がありました。

「音声認識」をプラスした新しいサービスへ

その状況を大きく変えたのが、AIを活用した音声認識技術の進歩です。「音声認識技術を使ったさまざまなサービスが登場して、それを障害者の情報支援のために役立ててはどうですか、という話はいろいろなところからいただいていました」。コニカミノルタのAI多言語通訳サービス「KOTOBAL」もそのひとつです。
「KOTOBAL」は、映像を通してオペレーターの通訳と音声による機械翻訳の2つをパッケージしたサービス。「タブレットに新たな機能として音声認識をプラスすれば、より多くの人にコミュニケーション支援ができると考えました」。横浜市役所様は、手話通訳という機能に加えて、新たに音声認識も仕様の中に組み込み、入札をかけることを決定。その結果、コニカミノルタの「KOTOBAL」が採用されました。

導入の効果

令和3年5月、「KOTOBAL」の運用開始

「KOTOBAL」はもともと30以上の言語の翻訳を、通訳オペレーターによるビデオ通訳とAIによる音声認識通訳で実現する多言語通訳サービスです。コニカミノルタでは、これを遠隔手話と、話した言葉をそのままテキスト化する「音声筆談」にカスタマイズしたシステムを構築。「これまでの手話通訳者による通訳だけでなく、手話が使えない聴覚障害者や耳が聞こえにくくなった高齢者も、窓口の職員が話す内容を即座に確認できるので、タブレットの活用の幅が大きく広がりました」と工藤様。「KOTOBAL」は令和3年の4月に導入され、5月から運用が始まりました。現在横浜市内18の区役所で使われているほか、横浜市役所本庁舎内にも配置され、計20台が運用されています。

窓口でのタブレットの活用回数が大きく増加

コニカミノルタのタブレットを導入後は、活用頻度が格段に増加しました。「これまで使用していた手話通訳機能のみのタブレットに比べて、現時点で約6倍の利用数になっています」。聴覚障害者だけでなく、耳が聞こえにくくなった高齢者、そして外国人の方の対応にも利用されていて、「KOTOBAL」の機能である手話通訳、「音声筆談」、外国語の機械翻訳、それぞれがバランス良く活用されています。
実際の効果についてお話を伺うと、「職員の中にも聴覚障害者がおり、『KOTOBAL』を使うことで来庁者とのやり取りが円滑化したと聞いています」とのこと。また高齢者への対応についても「音声筆談」の利用で、スムーズな情報保障が実現。「しっかりと数値化しているわけではないですが、全体的にコミュニケーションが円滑になっていると実感しています」。まだ「KOTOBAL」の活用は始まったばかり、「まだまだもっと、より多くの場面で活用して欲しいと思います」。

タブレットの活用頻度を増やす「音声筆談」
タブレットの活用頻度を増やす
「音声筆談」

自治体ニーズに応えるコニカミノルタのサポート

コニカミノルタのサポートについてお伺いしました。「何かトラブルが生じたときは、すぐにサポートセンターに連絡して、レスポンスの良い対応をしていただいています。コニカミノルタさんは、役所ならではの課題をしっかり把握されているので、たいへん助かっています」とおっしゃっていただきました。
もともと「KOTOBAL」は、自治体・行政向けに開発された多言語通訳サービス。AIによる外国語の音声翻訳は自治体専用の辞書を搭載しています。加えて、横浜市役所様からの意見や相談を受けて、トレンドの語句や最新ワードを随時登録。「“マイナンバー” や “新型コロナ感染症” など、近年よく使う用語にはいち早く対応していただいています」。

「KOTOBAL」の導入で窓口業務も円滑・効率化
「KOTOBAL」の導入で窓口業務も円滑・効率化

今後の展望

区庁舎ごとに異なる通信環境に対応するために

「KOTOBAL」の導入で、障害者とのコミュニケーション改善に取り組む横浜市役所様ですが、現在の問題は区庁舎ごとに通信環境が大きく異なること。「手話を動画で見るので、手の動きをはっきり確認するためには動画がより鮮明に見られる必要があります。庁舎によっては、建物の中だと通信環境が厳しいところもあります」。より一層安定したサービスの提供を模索していく、とのことです。

もっと幅広く、さらに良いサービスへの進化を

「現状のところ機能面では不満はありません。一方で、今のサービスがずっとこのままでいいとは思っていません」。「コニカミノルタさんと連携して、もっと障害者に寄り添ったものへ、そしてより幅広いサービスに進化させていきたいですね」。「KOTOBAL」とともに広がるコミュニケーションの展望を力強く語っていただきました。

お客様プロフィール

横浜市

横浜市

名 称

横浜市

住 所

神奈川県横浜市中区本町6丁目50番地の10

職員数

44,613人(2021年4月1日現在)

導入した製品について

SecurePrint! Suite

自治体で使えるAI多言語通訳サービス
KOTOBAL

「KOTOBAL」は、行政や自治体で使用する行政用語が翻訳できる、30言語以上対応の多言語通訳サービスです。タブレットを利用して機械通訳とビデオ通訳を利用できるので、あらゆる場面で最適なコミュニケーションを実現します。
【機械通訳】
タブレットに話しかけるだけで翻訳テキストが表示され、リズミカルな通訳が可能です。受付での会話など、簡単なコミュニケーションを取る際にスピーディーで便利な機能です。
【ビデオ通訳】
コールセンターへコールし、専門用語に長けた通訳オペレーターと接続して、音声もしくはビデオを使って通訳を行います。丁寧で正確な通訳が必要な時に便利な機能です。

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