株式会社明光社 様
ハイクロマトナーが同人誌印刷の「色再現」の常識を一新
株式会社明光社 様
同人誌市場のニーズにマッチし、「色再現」が付加価値に
製本業を母体として、印刷事業にも積極的に取り組んでいる株式会社明光社様。印刷ビジネス参入にあたりターゲットにしたのが、小ロット・短納期のオンデマンド印刷のメリットが活かせる同人誌マーケットでした。印刷通販サイト「STARBOOKS」を立ち上げるとともに、コニカミノルタの広色域オンデマンド機を導入し、これまで再現ができなかった、画面の色に近いRGBの色域を付加価値として展開。これが同人誌顧客のニーズにマッチし、印刷事業は右肩上がりの伸長を続け、現在では売上の約半分を占めるまでに成長しています。今後は同人誌イベント閑散期の課題を解決するために、コニカミノルタの提案によるフォトブックビジネスへの参入も計画されています。
導入の背景
製本業を母体として、印刷業に参入
代表取締役社長
矢野 剛 様
東京都文京区白山、小石川植物園沿いに本社がある明光社様。もともとは製本業としてスタートしましたが、現在では印刷事業にも積極的に取り組んでいます。「印刷不況が叫ばれている昨今、製本ビジネスだけでは限界があると考え、2000年2月に印刷ビジネスに参入しました」とおっしゃるのは、代表取締役社長の矢野 剛様。印刷ビジネスを始めるにあたり導入したのが、オンデマンド印刷機でした。「ちょうど市場では、デジタル印刷機が出始めたばかりで、品質面でもコスト面でもオフセットに比べ課題はありましたが、デジタル印刷機の特徴を生かし小ロット印刷に対応しようと考えました」と語るのは、執行役員 O.D.P.事業本部 個人事業部 部長の山内文吾様です。そこで、小ロット印刷として着目したのが、出版社から受注される絶版本の再販でした。
同人誌マーケットへ早期に着目
独自印刷通販サイトの立ち上げ
さらにその後、デジタル印刷ならではのメリットを活かせるものはないかと探して見出したのが、同人誌のマーケットでした。同人誌は、個人または同じ趣味を持つ人同士が創作した冊子のこと。定期的に即売会などのイベントが行われています。通常印刷されるのは小部数なので、オンデマンド機が得意とする多品種、小ロット、短納期にぴったりと当てはまります。この市場に将来性を見出した明光社様は、2004年に印刷通販サイト「STARBOOKS」を立ち上げました。「当時は、オンデマンド機をメインにした通販はまだ珍しく、スタートとしてはグッドタイミングだったと思います」(山内様)。現在では年間15,000点以上のオーダーがあり、明光社様の売上の約半分を占めるまでに成長。製本システムも小ロットのオンデマンド機に合わせた設備を導入し、同人誌マーケットにしっかり対応しています。
3世代リピート導入
「AccurioPress C83hc」国内1号機
明光社様はその後、同人誌のニーズに合わせて、コニカミノルタの広色域オンデマンド機を導入されました。このマシンはハイクロマトナーの採用で、クリアで明るい色表現やピンク・紫などのビビッドなカラーをはじめ、通常のCMYK印刷では出せないRGBのカラーをリアルに再現することが可能です。「同人誌作家さんは、自分の作品の色合いにこだわる方が多いのです。これまで叶わなかった『RGB印刷』ができるので、モニターの色合いをそのまま出したい方や、CMYKで出せないソフトを使っている方などにアピールできると考えました」(山内様)。その後、2台目となる「bizhub PRESS C71hc」の導入を経て、2018年に最新の「AccurioPress C83hc」を国内1号機として導入。「AccurioPress C83hc」は、これまでのハイクロマトナーの色再現力はそのままに、色調と印字位置の安定により、生産性が向上した最新鋭機です。
執行役員 O.D.P.事業本部
個人事業部 部長
山内 文吾 様
導入の効果
RGB色再現が同人誌ユーザーのニーズにマッチ
リピート顧客・オーダー増加
印刷通販サイトの立ち上げ以来、印刷事業はずっと右肩上がりで推移しています。「同人誌の作家さんは、平均50部、売れている人で1,000部。小ロットのものはすべてオンデマンドで対応しています」(山内様)。コニカミノルタのオンデマンド機を導入後、サイトでは表紙印刷に「RGB印刷」が選択できるようにしました。すると、それを見て注文される方も増え、「STARBOOKS」で印刷すると、RGBの色合いがきれいに出るとお客様の評価も高いとのこと。
「お客様に実施しているアンケートでも、当社への発注の決め手を尋ねる問いに、『RGB印刷』ができるからと、かなりの数の方が答えていらっしゃいます」(山内様)。現在、「RGB印刷」を選ばれる方が年間1,700件ほどあり、毎月20%ずつ伸びています。「同人誌は続編を出す人が多いので、一度『RGB印刷』を体験すると他には注文できないようですね」(山内様)。
リピート受注も順調に伸長しています。
小ロット印刷に対応した後加工・製本システム
データ入力、編集作業を行うデザインルーム
「AccurioPress C83hc」のオペレーション風景
「IQ-501」導入で調整時間を大幅削減
本文の「RGB印刷」にも対応
今回導入いただいた「AccurioPress C83hc」は、ハイクロマトナーのメリットに加えて、オプションで「IQ-501」という機構が搭載されました。これは色の管理や表裏見当の自動化を実現したもの。「これまではサイト上で『RGB印刷』が選べるのは表紙だけだったのですが、色調と印字位置の安定性が向上したため、本文の『RGB印刷』が可能になりました」(山内様)。「STARBOOKS」で本文の『RGB印刷』が選択できるように変更すると、続々と注文がありました。「サービスをスタートしてまだ3カ月ですが、すでに毎月100件の注文があります」(矢野様)。また「IQ-501」導入で、オペレーターが表裏見当を合わせる時間や手間が軽減され、業務の効率化にも大きく貢献しています。
同人誌印刷・グッズ制作の通販サイト「STARBOOKS」
マーケティング視点からの提案力で、
新たなプリント創造へ
順調に伸びているオンデマンド印刷ビジネスですが、課題がないわけではありません。同人誌マーケットは大きなイベントの時期が年間でほぼ決まっているため、繁忙期と閑散期がはっきり分かれています。「閑散期にマシンを休めずにどう活用するかに頭を悩ませていました。それを何気なくコニカミノルタの担当者さんに話すと、すぐに提案書を持ってきてくれました」(山内様)。同人誌マーケットでは、コスプレーヤーが自らの衣装を写真に残す市場が一定数あります。この層をターゲットにして、フォトブックを受注する新しいビジネスを提案されました。「現在リソースを整え、立ち上げのチャンスを伺っているところです。我々はマーケティングの知識が少ないので、そこに寄り添いグループ全体で提案・サポートをしてくれる。たいへんありがたいですね」(山内様)。製品を売るだけでなく、現在のビジネスの課題について一緒に対応策を考え、解決策を提案するコニカミノルタの姿勢に高い評価をいただいています。
今後の展開
フォトブックビジネス立ち上げに本腰を
今後の展開についてお尋ねすると、「フォトブックビジネスを近々本格的に立ち上げたいと思っています」(山内様)とのこと。今はコスプレ市場をターゲットにしていますが、フォトブックは家族の記録や行事、記念日など幅広いマーケットが見込めます。「いろいろと克服すべき課題はあると思いますが、市場が広いのでチャンスも大きいと考えています」(山内様)。
また海外への展開も視野に入れています。最近では海外で開かれる同人誌イベントも多くなり、海外からのオーダーが増えてきています。「海外にネットワークを持つコニカミノルタさんに、ビジネスパートナーのマッチングなどフォローいただけたら嬉しいですね」(矢野様)。「AccurioPress C83hc」の活用とともに、コニカミノルタの課題解決型提案で、ビジネスの幅をさらに広げつつある明光社様にお話を伺いました。
お客様プロフィール
株式会社明光社
住所 | 白山本社:東京都文京区白山3-6-21 川口工場:埼玉県川口市江戸袋2-5-5 新郷工業団地内 東領家工場(オンデマンドファクトリー):埼玉県川口市東領家4-16-22 10号 |
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設立年 | 1963年 5月 |
従業員数 | 48名(2019年3月現在) |
事業内容 | 白山本社:小ロット書籍・復刻版のオンデマンド印刷、製本 川口工場:製本業・ペーパーバック・ハードカバー、その他書籍製本一般 東領家工場:小ロット書籍製本 |
ホームページ | |
概要 | 少部数のオンデマンド印刷から製本作業まで完全内製化を実現した「白山本社」、少部数の製本をメインに行う「東領家工場(オンデマンドファクトリー)」、PUR製本や大部数の折りや製本を行う「川口工場」の3つの拠点を持つ印刷・製本会社。白山本社では、同人誌印刷・グッズ製作の通販サイト「STARBOOKS」を運営する。受け継がれた技術をさらに深めつつ、新しい技術修得に果敢に挑戦し続ける。時代が真に求めるものを探求し、これからもずっと優れた本を造り続けることを使命とする。 |
取材 | 2019年3月 |
記載されている情報は取材時のものであり、閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。
- 当事例内の所属部署名、役職は取材当時にて記載したものです。