分かってきたテレワークの効果!把握していますか?効果測定の方法
- #働きやすい環境づくり
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、在宅型テレワークがクローズアップされています。このような非常時の働き方としてのテレワークの有効性が、あらためて認められたということでしょう。しかし、テレワークは感染症対策のために考えられたものではありません。このような状況でなくても、様々な効果が認められる働き方です。
非常時と平時では、テレワークの導入目的や運用の仕方が異なります。もちろん求められる成果の優先順位も違ってきます。このコラムでは平時のテレワークについて、その効果性を述べてみたいと思います。感染症対策としての非常時のテレワークに関しては、今色々な情報が発信されていますので、そちらをご参考にしてください。
INDEX
広がる在宅勤務!各社のテレワーク実施状況
先ずテレワークという言葉ですが、元々はテレ(離れて)とワーク(働く)を組み合わせた造語で、離れた場所で働くことを意味していました。最近では「ICTを活用してオフィス以外の色々な場所で働くこと」という解釈が一般的でしょう。
テレワークには在宅勤務だけではなく、コワーキングスペースやサテライトオフィスの利用、カフェや客先でのモバイルワークなど色々なタイプがあります。それぞれの方法ごとに狙いや効果が違いますので、このコラムでは、主に今注目されている在宅型テレワークにフォーカスして述べてみたいと思います。
新型コロナウイルス感染症への対策として、大都市圏を中心に在宅型テレワークを導入する企業が急増しています。いち早く取り組んだ事例として、GMOインターネットグループなどが有名ですが、その後徐々に導入企業が増えてきました。
4月7日の緊急事態宣言後は政府が「原則在宅勤務で」と呼びかけたこともあり、現在は多くの企業が在宅型テレワークを行っているようです。パーソル総合研究所の調査(3月23日発表)によると、3月9日~15日に調査した回答では、正社員の在宅型テレワークの実施率は13.2%であり、推計で約360万人の正社員が在宅勤務をしているとされています。
4月10日~12日に行った2回目の調査(4月17日発表)では、在宅型テレワークの実施率が27.9%となり、この1カ月で倍増していることが示されています。
一方、急遽在宅型テレワークをしなくてはいけないという事態に戸惑いを隠せない、あるいは追従できない状況が伺える調査結果もあります。
東京商工会議所が会員企業対象に3月13日~31日にかけて行った「新型コロナウイルス感染症への対応に関するアンケート」の調査結果では、テレワークを実施している企業は26.0%、実施検討中は19.5%であり、半数以上の企業が「実施予定なし」となっています。
テレワークが難しい理由としては、「社内体制が整っていない」「パソコンやスマホ等の機器やネットワーク環境が十分ではない」「セキュリティー上の不安がある」などの問題が上げられています。
日頃から準備を整えていて即座にテレワークに移行できる企業と苦労している企業との差が大きく開いてきていることが伺えます。
テレワークの効果(メリット)とは?
先のGMOでは、従業員の88%がテレワークを行ってみて「とても良かった」「良かった」と答えています。これは、在宅型テレワークが感染予防策だけではなく、従業員にとってメリットを感じる働き方であることを示しています。
今回の新型コロナウイルス感染症への対応をきっかけにテレワークを導入し、その効果性に気づき収束後も継続する企業も増えるものと期待されます。では在宅型テレワークの効果とはどのようなものでしょう。厚生労働省の「テレワークの導入・運用ガイドブック」によると、以下のような導入効果が示されています。
企業にとっての効果
企業からみた在宅型テレワークの効果は以下のとおりです。
- 人材の確保・育成
- 業務プロセスの革新
- 事業運営コストの削減
- 非常時の事業継続対策における体制整備
- 企業内外の連携強化による事業競争力の向上
- 人材の離職抑制・就労継続支援
- 人材の離職抑制・就労継続支援
- 企業ブランド・企業イメージの向上
事業運営面と雇用面の視点からメリットが挙げられていますが、いずれも人材をいかに活用するかという視点での効果性が中心となるようです。
従業員にとってのメリット
一方、従業員からみた在宅型テレワークのメリットは以下のとおりです。
- 家族と過ごす時間や趣味の時間が増えた
- 集中力が増して、仕事の効率が良くなった
- 自律的に仕事を進めることができる能力が強化された
- 仕事の満足度が上がり、仕事に対する意欲が増した
もちろん人により感じ方の違いはあるでしょうが、実際に在宅型テレワークを行ったからこそ実感するメリットも多いようです。
テレワークの経営効果、どのように把握していますか?
テレワークが狙いどおり効果を発揮しているかどうかを確認するためには、どうすれば良いのでしょう。そのためには定期的な効果測定が必要となります。効果を測定する評価指標には量的評価と質的評価があります。
量的評価(例)
質的評価(例)
実際の効果測定では、これらの評価指標から自社にとって重要でかつ測定可能なものを選定し評価します。その際にもっともよく使われる手法は、従業員に対するアンケート調査です。なんだアンケートかとがっかりする人もいるかもしれませんが、しっかりと設計されたアンケート調査は質的評価指標の全体傾向をつかむにはとても有効な手法です。
アンケート調査は相対評価が得意ですから、一定期間ごとに定点観測して推移をみる、部署ごとの違いをみる、という使い方が有効です。従業員満足度調査と組み合わせ、テレワークの状況と満足度の相関をみるのも良い方法です。
コニカミノルタジャパンのテレワーク効果
コニカミノルタジャパンは、2020年に日本テレワーク協会のテレワーク推進賞「優秀賞」を受賞するなど、積極的にテレワーク導入を推進してきた企業です。
2013年から始めた働き方改革の一環でテレワークの導入を開始すると、徐々に適用職種や規模を拡大、2017年から全社員対象にテレワーク制度を運用しています。2018年度には、全社員のうち7割が月1回以上テレワークを実施、同じく全社員のうち1/3が週に1回以上テレワークを活用しています。
2018年度の従業員アンケートによれば、テレワークを実施していない従業員(一番内側の茶色線)に比べ、業務生産性向上、ワークライフバランス、育児・介護時の就業継続などの各設問で向上が見られました。
テレワーク導入効果 ~従業員アンケートから~
またテレワークの定着は、従業員が通勤できない災害時にも効果を発揮しています。各地に大きな被害をもたらした「令和元年台風第15号」では、VPNで社内にリモートアクセスする回数が、普段の平日と比べ125%増加したことが分かっています。事後のアンケートでは、「午後まで続いた鉄道の混乱に巻き込まれることなく業務を遂行できた」「電車の被害もひどく、テレワーク対応ができて本当に良かった」などテレワークを評価する声があがっています。
まとめ
今は直面している新型コロナウイルス感染症への対策として、在宅型テレワークを一時導入している企業が多いと思います。しかし、これを機会に経営効果をしっかり見据えたテレワークの本格導入を検討する、またとないチャンスではないでしょうか。
すでに多くの人から、「在宅型テレワークは無理だと思っていたが、実際にやってみると何とかなるものだ」とか、「思っていた以上に成果を感じる」という意見を聞いています。感染症の収束とともに元に戻るのではなく、「一つ先に進む機会」とできると、とても良いと思います。
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