効率を高めるなら紙の利用もOK!?プロに聞くペーパーレス化成功の秘訣とは
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テレワークの実施や導入検討や電子帳簿保存法の改正に伴い、書類やハンコを使った業務の見直しに注目が集まっています。ペーパーレス化を実現することで、コスト面や業務効率化の観点で様々なメリットを感じている人は多い一方で、2020年8月~2021年7月の一年間において、実際にペーパーレスが進んでいると答えた企業は約4割に留まるという調査結果も出ており、取り組みのハードルが高いと感じている企業も多いようです。
そこで今回は、ペーパーレス化のその先も見据えつつ、成功に向けた第一歩を着実に踏み出す方法についてご紹介します。
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ペーパーレス化が注目されている背景
今回はデジタルワークプレイス事業部ソリューションエンジニアリング統括部ドキュメント&ナレッジソリューション部の勝山 亮さんにお話しをお伺いします。そしてDX推進に関するWebサイトコンテンツの製作担当で、このいいじかん設計のコラムインタビューに3回目のご出演のITS事業推進統括部 ITサービス企画部 副部長 鈴木 智雄さんにもご同席いただきながら、ペーパーレス化について理解を深めていきましょう。
――それでは、勝山さん、鈴木さん、よろしくお願いいたします。
勝山さん、鈴木さん「「よろしくお願いいたします!」」
――まず、勝山さんの自己紹介をお願いいたします。
勝山さん「はい。私はシステム開発を行うプログラマーとして、2016年にコニカミノルタジャパンに新卒で入社しました。その2年後から現在まで、お客様企業のペーパーレス化を支援するドキュメント&ナレッジソリューション部で業務を行っています。所属当初は案件の副担当でしたが、その後は主担当としてお客様の支援を推進しています。」
――鈴木さんのプロフィールについてはぜひ、過去の記事をご覧ください!ということで、さっそく本題に入りましょう。ペーパーレス化についてはテレワークの推進や電子帳簿保存法(電帳法)への対応もあり、かなり注目が集まっている施策となっています。
鈴木さん「そうです。ハンコ出社という言葉もつい最近話題になりましたね。多くの皆さんが業務にパソコンを使い始めてもう20年以上経つのに、ですよ。これはつまり、電子化でデジタルに移行したいけれど、どうすれば良いのか見当がつかず踏み出せていない企業・団体がまだ全国に多数存在することの象徴だと思います。そうした課題に対応するべく、今回は勝山さんの所属部門や営業部門とコラボし、IDEA SHOWROOMで「失敗しないペーパーレス ~DXのはじめの一歩~」という特設ページを設けました。わずか7分の中にお伝えしたいことを凝縮した動画もあり、かつてないほど見応えのあるコンテンツになっていると思います。」
――お客様の関心も高いということですが、勝山さんは実際にお客様と会話されていかがでしょうか。
勝山さん「はい、お客様とお話するなかでも必要性やメリットを感じて取り組みたいと声をかけてくださる方が増えているように思います。なかでもオフィスの移転やリニューアルを検討される過程でペーパーレス化を要望されるお客様が数多く存在しています。一見オフィスレイアウトの変更とペーパーレス化は関連性の無いものと思われますが、例えば打ち合わせスペースを増やしたい、執務スペースを広く確保したい、という要望があり、そのために現在のストックルームやキャビネットを置いているスペースを縮小してそれらに充てられないか、という話に辿り着きます。そこで、ストックルームやキャビネットに何が保管されているのかを確認すると、誰がどんな目的で保管しているのか分からないような大量の書類が発掘され、捨てていいかの判断もつかず行き詰まることが多くあります。そういった流れから、紙文書の削減がオフィス移転や改装のタスクになるケースが一つ。もう一つのケースは、最近よく耳にするようになった働き方改革やテレワーク対応のためですね。例えば紙にハンコを押して決裁承認を得るワークフローを電子化したいなど、業務効率化を目指してペーパーレス化に取り組まれるケースが増えています。」
ペーパーレス化を成功させるために気を付けておきたいこと
――そうすると、ペーパーレス自体が目的というよりも、働き方を変えようとしているなかで自然とペーパーレスの課題に行き着くケースが多いようですね。支援を希望される企業は中小企業が多いのでしょうか。
勝山さん「中小企業の対応事例もありますが、どちらかというと一部上場企業で国内に複数拠点を持つような大企業のお客様が多く、官公庁・地方自治体の対応事例もあります。実は、老舗で規模の大きな企業ほど、いくつもの部門間をまたいで処理される複雑な業務手続きの全貌を把握できておらず、目前の書類のハンコをやめて電子化したいと思っても、誰に聞けばいいのか、どんな問題や対策を考えればいいのか分からない、というお客様が多いです。私達も、成功事例のお客様をご紹介すると、「あの一流企業も?」と驚かれることが多いです。」
コニカミノルタジャパンがペーパーレスの取り組みを支援した企業と事例
- 福岡地所株式会社様:適切な文書管理ルールの確立で紙文書の削減と検索性向上を実現したい
- ベバストジャパン株式会社様:帳票の電子化と電子帳簿保存法に対応したい
- 三菱王子紙販売株式会社:紙運用の受領書を電子化して問い合わせ対応を迅速化させたい
- 株式会社エクセディ商事様:紙文書と押印申請の電子化で効率化したい
- 株式会社クボタ様:グループ会社を集約させるため、スペースを有効活用できるオフィスにしたい
- 環境省様:高度なセキュリティーを担保したペーパーレス会議の運用と資料配信を効率化したい
- 佐賀県様:モバイルワークにも対応可能な使いやすい職員ポータルを作りたい
――多くのお客様にコニカミノルタジャパンが選ばれるのはなぜでしょうか。
鈴木さん「そうですね。例えば “ペーパーレス” や “業務電子化” などという言葉をWeb検索すると、非常に多数のソリューションが出てくると思います。もちろんコニカミノルタグループでもDispatcher Phoenixなど複合機周辺のワークフローソリューションを開発・販売していますが、それらが突出して検索上位に出るわけではありません。現在のコニカミノルタジャパンの得意領域は、お客様がそれらを使いこなして業務を変革し、ペーパーレスの業務を回せるようになることについての、体系的なナレッジを駆使した支援能力です。」
――確かに先ほどのお話のような、社内に溜まった用途不明の書類を片付けなければならない状況だと、社内の整理整頓に課題があり、日々の業務の合間を縫って対応するのはすごく大変そうですよね。
鈴木さん「例え話になりますが、各社が出している業務電子化ソリューションを航空機だとします。航空機には最大乗客数や飛行距離、最高速度やら燃費やら、色々な仕様がありますよね。それらの仕様はほぼ全て、安定的に上空を飛んでいる時の想定値だったとします。一方、(そんなケースは実在の航空業界ではあり得ませんが)、皆さまお客様企業は未経験の操縦士で、まだ地上にいるとします。何が悩みだと思いますか?」
――魅力的な飛行機を見つけられたとしても、飛ばすことができなかったら意味が無いということでしょうか。
鈴木さん「まさにそこなのです。私たちコニカミノルタジャパンは、現在の紙で運用している業務スタイル(=地上にいる状態)から、電子化ソリューションを活用した業務スタイル(=航空機を使って空を飛んでいる状態)への移行についての豊富な知識とスキルを持った、言わば “離陸支援サービス” なのです。競合がひしめく世界で、お客様目線ではどんな航空機を採用しようか選びたい放題の状態と思いますが、一方でそれぞれのお客様に合った滑走路を用意し、離陸手順をコーチングできるサービスは、そうは世の中に存在しないのです。これは私も今回のインタビューで勝山さんとお話しているなかで得られた発見であり、皆様にもぜひそこをお伝えしなくては!と思った次第です。」
ペーパーレス化で陥りやすい失敗とは?自社の経験に学ぶ重要なポイント
――コニカミノルタジャパンでも2013年の本社移転をきっかけに自社のオフィスをリニューアル、そしてペーパーレス化を積極的に推進してきました。自社実践での学び、失敗がノウハウとなってお客様へのご支援に至っていると思いますが、具体的にどのような失敗と学びがあったのかお聞かせください。
勝山さん「失敗談と言えば、ペーパーレスという言葉の響きの通り、当初は紙を無くすことばかりに注力してしまったことですね。現在保管されている大量の文書を廃棄したり、スキャンで電子化したりという作業自体は手間こそかかるものの、やり遂げれば一旦オフィスから紙は無くなります。これでオフィスがすっきり片付いたと喜んでいても、しばらくするとまた紙保管が増えていくという現象、いわゆるリバウンドが起こります。」
――リバウンドというと、なんだかダイエットのような響きですね。なぜ起きるのでしょうか?
勝山さん「このリバウンドは、自社のなかで紙を使わない、紙を保管しないで回す業務フローやルールがしっかり策定できていないか、あるいは周知徹底できていないことに起因します。それまでオフィスに溜まっていた紙は、その業務スタイルを回しているなかで溜まってきたものなので、よく考えれば当然の結果ですね。それがしっかりと変わらない限りは、片付けてもまたすぐに散らかる部屋と同じです。」
鈴木さん「今回の特設サイトの動画でも言及しているように、今ある紙を減らすだけではなく、新たな紙を生まない・増やさないための仕掛けが必要なんですよね。」
勝山さん「データでも運用が可能な書類についてはできるだけ紙の書類を生まないよう、現場に合わせたワークフローシステムを導入していきました。また紙書類を使う際のルールを設定し、しっかり社員に理解してもらい、新しい運用を会社の文化として根付くように推進をしました。以後は年に一度オフィス内の保管文書量を点検していますが、リバウンドせずに推移しています。」
――ソリューションの導入とともに実行可能なルールを設定し、定期的なチェックをすることで、ようやくオフィスから完全に紙を無くせるようになるんですね。
勝山さん「そうですね。ただ、ペーパーレスとは言っても、紙を無くすこと、紙を使わないことに無理にこだわり過ぎないことも大切です。社内でペーパーレスを推進しようとすると、どこかの部門から必ずと言っていいほど反対意見が出ます。「今の業務は紙の方がやりやすいから、電子化して効率が悪くなるのではないか」という意見で、生産や営業など、取引先と関わる現場をもつ方々からよくお聞きします。例えば工事の図面や、時系列で確認したい売上実績表、文章を添削したいときなど、ディスプレイだと全容がつかみきれない、使いづらいなど、確かにその通りだと思います。ですが、私たちが提案しているペーパーレス化は、紙の使用を禁止するというものではありません。紙のままの方がやりやすい業務もありますので、そうしたものは紙書類で引き続き運用し、電子化できるものは対応する。紙を使う時のルールを決めて、利用後は速やかに電子化・破棄するなど、紙書類を溜め込まないように運用する「ペーパーストックレス」というスタイルを提唱しています。」
――無理なダイエットでリバウンドどころか不健康になっては本末転倒ですから、ペーパーレスでも同じことが言えそうですね。
勝山さん「真の目的はオフィスから紙を無くすことではなく、紙の削減を通じた業務効率化ですので、紙を使っても良いんです。ペーパーストックレスは当社がペーパーレス化を自社実践しているなかで編み出した運用方法で、多くのお客様にもご納得いただいています。」
身近なところから始められる!スモールスタートの取り組み事例ご紹介
――これまで対応したお客様の中で一番印象に残っている事例はありますか。
勝山さん「昨年秋から取り組みを開始して、現在もご支援させているお客様ですね。あまり詳しいことはお伝えできないのですが、このお客様は全国に支店を持つ企業で、まずは関東と中部の支店から取り組みを始められました。その2拠点においてペーパーレスの削減目標と計画を立て、それが実際に目標通りに達成できたことをご評価いただけたことで、この春からは関西や九州など他の支店を巻き込んだ全社的なペーパーレス化プロジェクトに拡大しています。」
――全社で一斉にやらなければいけないのかと思いましたが、一部の拠点や部門から始めるスモールスタート形式でもできるのですね。
勝山さん「社長方針など、はじめから全社改革をターゲットとした事例もありますが、スモールスタートのケースもかなり多く存在します。今回支援したお客様は支店ごとの対応でしたが、総務部などの事務業務の部門から取り組むことも多いです。これらの部門は書類の利用は多いのですが、比較的社内でのやり取りのなかで書類を利用することが多く、社外への影響も少ないことから、取り組みやすい部門です。」
――なるほど、全社一斉にスタートするよりは一部の部門から少しずつ実施して、その成功体験をもって他の部門の取り組みへと進めていくことがポイントとなりそうですね。取り組みには結構手間と時間がかかるのではないでしょうか。
勝山さん「お客様と当社でプロジェクトを組んで推進していくのですが、規模の大きいお客様の場合、短くても半年、一年以上かかることもあります。ソリューションの導入が目的ではなく、働き方を変えていくことが狙いなので、私たちはそこをしっかりとサポートしていくように努めています。」
鈴木さん「コニカミノルタジャパンは、人、ルール、システムの3つの視点で、お客様の改革プランを設定し、抜け漏れなく推進していきます。どれか一つが欠けたら成立しません。企業によって “人” の文化や環境が違うので、当然 “ルール” も異なります。我々がもし単なる “システム”(ソリューション)の販売業者だったら、こんな支援は手離れが悪すぎてまずビジネスになり得ないと思います。ですが、自社の業務改革とその検証を丁寧にやってきたからこそ体得できた、ほかの会社には簡単に真似できないことだと思い、お客様にご提案、そしてサポートしています。」
――そこまで手厚くお客様をサポートするサービスはなかなか無いですよね。お客様からの反応はいかがですか?
勝山さん「ペーパーレス実施前と実施後の従業員向けアンケートで効果測定をすると、以前はできていなかったのに今はできるようになってきたという事柄が可視化され、自社の変革が進んでいることが実感できて良いというお声をいただいています。また、紙文書の運用のルールがあると、困ったときの拠り所にもなって良いとの感想もあり、現場の方々からも高い評価をいただいています。」
――成功に導いてもらうことももちろんですが、実例に基づいた困ったときに救いの手があるとさらにコニカミノルタジャパンに支援依頼をして良かった!と思っていただけそうですね。
まとめ
――最後に読者の皆様へ一言お願いいたします。
勝山さん「ペーパーレスの取り組みに必要な紙文書の仕分け・廃棄やスキャン電子化だけでなく、お客様の紙文書をお預かりして、適切に管理し、必要な時はいつでも参照やお取り寄せができるサービスなど、お客様のご要望に合わせて豊富な解決策を取り揃えています。ペーパーレス化、ペーパーストックレスへの取り組み支援は日本国内全域で対応可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。」
鈴木さん「一口にペーパーレスと言っても、中身は壮大で奥の深いテーマだと感じられた方もいるのではないでしょうか。コニカミノルタジャパンではそんな壮大なペーパーレスが実現できたとしても、それはお客様にとってのゴールではなく、むしろ “DXのはじめの一歩” と捉えています。多くのお客様にその一歩を踏み出して頂けるよう、我々も特設サイトを作り、ここでは語りきれていない自社やお客様の事例解説のダウンロードコンテンツもご用意しています。ご興味を持っていただけましたらぜひ「IDEA SHOWROOM」をご覧ください。皆様のご来場をいつでもお待ちしております。」
いかがでしたでしょうか?
ペーパーレス化、ペーパーストックレスについて気になることがございましたら、「お問い合わせ」よりお気軽にご相談ください。
いいじかん設計 編集部