先生のふとした言葉から
── SONIMAGE HS1シリーズは他社の超音波診断装置と比べてボタン数が格段に少ないですが、最初からこの形を想定して開発されたのですか?
いえ、どうあるべきかを模索している中で、この形になったのはひとえに先生方のお力添えのおかげです。
実際に使っている現場でのふとした言葉
SONIMAGE HS1の開発を考えていた当時はちょうどiPhoneが市場を賑わしていた頃でした。
そこで今後は医療機器にもiPhoneのように、取扱い説明書をみなくても、タッチパネルで直観的に操作できる機器のニーズが高まるという予感を感じていました。
そこで、弊社のモダリティ機器開発の際にはいつもご意見を伺っている先生方に、タッチパネルの超音波診断装置を作りたいという旨を相談させていただきました。
その流れで実際の操作手順などを拝見した際に、ふと先生がこんな事をおっしゃりました。
「超音波診断装置には操作ボタンがいっぱいあるけど、通常利用するのは、ほんの数個。」
「どのボタンを押せば良いかは体が覚えている」
「ブラインドタッチ出来るのが理想的」
また全く別の機会に別の先生にお話しを伺った際にも次のようなご意見をいただきました。
「フリーズボタンしか使わないよ」
「なんでメーカーは超音波診断装置にこんなに沢山のボタンを付けるんだろうね?」
そこで「あれ?そもそも、実際にご利用する先生のニーズと超音波診断装置のボタン数が合致していないのでは?」という疑問が浮かんできました。
そもそもボタンが多いのはなぜ?
そこで「何故ボタン数がこんなに多いのか?」というそもそも論に立ち戻り、超音波診断の利用シーンにはどのようなケースがあるのかという視点で観察を続けたところ、次のようなケースがあることが見えてきました。
まず1つ目は、診断をされる医師自身が、患者さんと向き合いながら操作し、診療中にリアルタイムに原因推定や治療方針を決めるのに利用するケース。
もう1つ目は、のちに改めて診断をするために、検査技師などが複数の画像を記録しておくケース。
前者では、実際に使っていただいているシーンにおいて、実際に使われるキー(ボタン)は限られていました。
後者は、より多くの判断材料としての超音波画像を、短時間に効率良く取得、手数も少なく計測するために、多くの操作ボタンが用意されているのではないかと思ったわけです。
「真の使いやすい」を考え抜いた超音波診断装置
それならば、操作に迷わない、直観的な、というキーワードを盛り込んだ「真の使いやすい」を考え抜いた超音波診断装置を一から開発しようと、プロジェクトメンバーで奮起し、超音波診断装置をよく使われている先生方にヒアリングやユーザーテストといったご協力をお願いしました。
必ず使う・よく使う機能と、選んで使う・考えて使う機能とを分け、可能性のある使われ方、カスタマイズ可能な範囲を予め想定し、頂いたご意見はなるべく細かく反映するため、修正に修正を重ねて、その結果として現在のボタン8個にたどり着いたのです。
つまり、最初からボタン数を少なくするというコンセプトありきではなく、先生方のご意見を取り入れていったらボタンが8個になったというのが正解ですね。
── なるほど、このボタン8個は先生方達のニーズが凝縮された形なのですね
はい、そのとおりです。
また、このボタン8個は見てみてすぐわかる形なのでよく話題に上るのですが、実はボタンの側面の滑り止めのギザギザ1つとっても操作するユーザーの行動導線や姿勢や体勢といった「実際にご利用頂く時」に重点を置いて調査し、人間工学のもとに実験に実験を重ねて作りあげております。
例えば、手の大きさからボタンの位置とか、手と画面の距離とか。
オプション装置もこだわり満載
より効率良く操作できるよう、足での操作を可能にするフットペダルや、超音波診断装置を乗せるカートのどこにでもつけることができるジェル置き場、複数プローブをまとめて収納できるプローブ収納などのオプションもユーザーの使い勝手ストレスを徹底的に排除した形でこだわりを持って作り上げております。
── SONIMAGE HS1シリーズはグッドデザイン賞を初めとする様々な産業賞を受賞していますが、今あげたような細部にまで研鑽されたこだわりや理念が世の中に認められたからなのでしょうね。
様々な賞をいただけて本当にありがたく思っております。
しかし、我々は先生方に「HS1シリーズっていいね」と言っていただける事が何よりものプライズだと考えており、あくまでも受賞は副次的なものだと思っております。
これからも超音波診断装置を通して先生方の診療に貢献出来るように、「HS1シリーズっていいね」と言っていただけるように、日々の診断に当たり前のようにご利用いただけるように、襟を正して研鑽していきます。
セミナーなどでHS1シリーズを見かける事がごさいましたら、是非お手に取って触ってみて、『いいね』を体験していただければと思います。