「創造的なじかん」を創出するために! 業務フロー見直しによる作業時間の圧縮について解説
- #コミュニケーションの向上
- #情報共有・文書管理
- #業務改善・生産性向上
時代や働き方の変化に合わせて、日々の業務フローもアップデートしていく必要があります。しかし、様々な問題点に気付きながらも思うように効率化が進まず、作業精度が向上していないという企業も少なくありません。企業と従業員それぞれがメリットを得られる業務体制を整備するためには、作業時間を圧縮した先に何があるのかを明確に捉えることが重要です。
今回は業務フローの最適化によってもたらされる効果と、見直しを実施する際のポイントについて解説します。
INDEX
業務遂行において企業が抱える課題
はじめに、企業が業務を行う上で一般的に抱えやすい課題を整理します。
業務フローは働く現場で行われている業務のプロセスですが、多くの企業では、個々人の慣れや長年の慣行により、生産性に問題が生じていても業務フローを変更しない傾向が見られます。日々の業務フローを変更せずにいると、定着することにより習熟度が増す一方で、ルーティン化、硬直化しやすい状態になっていくと考えられます。そのため、ムダや非合理的な作業があってもそれに気付かない、または気付いてはいてもほかの方法に変更するといった軌道修正が難しくなるのです。
業務が固定されていると属人的、部署任せになりやすく、課題があっても外部からは見えにくい状況になるのもしばしばです。こうした状況は業務効率の低下を引き起こし、経営課題の要因となるリスクがあります。
■課題例
- 意味のない確認作業や、複数人による重複作業など、実質的に機能していないプロセスがある。
- 差し戻しのポイントが適切でないため、修正箇所が見つかると、工程の最初まで戻らざるをえなくなり、迅速な修正ができていない。また重複作業により、修正箇所の発見が遅れたり混乱したりする。
- 指示待ち・承認待ちのタイミング、順番に不備があるなどで作業が停滞する。
業務フローの見直しで得られる効果
業務フローを見直しして時間の最適化を行えば、生産性の向上と業務の効率化だけでなく、従業員の作業環境が向上することも期待できます。ムダな作業をなくし、効率的な業務運用が可能となることで、時間に余裕が生まれます。短時間での良質な作業が可能となり、新たな時間の創出ができれば、より高次のスキルを必要とし、企業利益に貢献できる創造的業務に時間を振り分けられるでしょう。
従来の業務フローを更新することで、各人がよりクリエイティブな働き方ができるようになるのです。
では、何のためにクリエイティブに活動をする時間を増やすのか、それによりどのような効果が生まれるのでしょうか。
クリエイティブとは創造することです。企業におけるクリエイティブな働き方とは、決められた工程をこなすのではなく、新たな発想やアイデアで事業を動かしていく原動力になります。
クリエイティブな活動をする時間の創出は、人やチームに秘められた本来の能力を引き出し、収益力向上につなげる企業活動を支援することになります。
どうやってクリエイティブな時間を増やすのか
ここではクリエイティブな時間を増やすための工夫として3つの視点で「じかん」をつくる方法を紹介します。
働く人の生活には、コツコツと仕事をこなす「作業じかん」、休み、楽しみ、学ぶための「自分じかん」、アイデアを生み出す「創造じかん」の領域があります。
働き方改革を実現する取り組みの一つでもある効率化では、「作業じかん」の削減や圧縮に目が向けられてきました。しかし大切なのは、そこで生まれた時間を、「創造じかん」や「自分じかん」として活かすことです。「作業じかん」は、与えられた責任を果たすために必要不可欠な時間です。「創造じかん」「自分じかん」を増やしていくためには、業務効率化を進めることが求められます。快適、円滑な作業環境が提供されることで、仕事への意欲を保ちながらの業務効率化が実現できます。
例えば、社内外どこにいても業務が可能で、データアクセスやプリントアウトが安全にできる。リアルタイムで最新の情報を共有し、いつでも稟議・決裁ができる。また、内容によって会議や打ち合わせの形式を選ぶことができ、時間の制約が軽減される。こうした環境が整備されていれば、「作業じかん」を削減しながらも、業務の質が低下することはありません。
「創造じかん」を増やすためには、良いコミュニケーション環境や創造的な働き方ができる空間も重要です。多様で率直な意見の交換からは、思いがけない発想が生み出される可能性が広がります。さらに創造の質を高める支えとなるのが、仕事の経験からでは得られない、幅広い視野を持つための充実した「自分じかん」です。
これら3つの「じかん」が最適なバランスで機能することにより、仕事における「いいじかん」が実現します。
業務を効率化して工数削減できるポイント
ここでは実際的な作業・業務に目を向け、時間を生み出すためのポイントを紹介します。
■単純作業の機械化・自動化
業務効率化への有効手段となるのが、RPA(Robotic Process Automation)の活用です。RPAは、単純な動作の自動化だけでなく、人間がパソコンを使って行うより高度な作業を実施することが可能です。ルールエンジンと呼ばれるソフトウェアやAI、機械学習などの最先端技術の活用により、一般企業の業務、金融機関や保険業界などへ幅広く導入されています。
自動化ソリューションとしてRPAを活用するに際しては、今までの業務のどの部分が人の目・手を必要とし、どの部分が自動化できるのか、一つずつ業務工程を見直すことが求められます。この段階を経ることにより、RPAの適切な自社活用ナレッジが生まれます。
RPAは一度に全社的に導入するのではなく、もっとも効果の期待できる部門からスタートして、成功体験を踏まえて他部門にも広げていくという流れで進めます。
■生産的な会議に向けた効率化
会議の効率化には、社内コミュニケーションの円滑化が大きく関係しています。
日ごろの面談や相談、打ち合わせで問題提起がなされていれば、前段階で問題解決が可能な場合も少なくありません。会議で話し合う議案を事前に吟味することで、ムダな時間を取らずに実のある会議を開催できるようになります。
会議をシステム化し、関連部署や担当者を系統立てて整理しておくことも、効率化を進めるうえで大切です。目的と議題によって必要な人員が自動的に決定すれば、速やかな招集が可能です。
また、会議についてのルールを策定し、徹底することで際限なく時間を費やすこともなくなるでしょう。例えば、会議の開催時間を最長45分とし、その場で決定できなかった場合の対処方法を段階的に策定しておけば、長時間費やした上に結論がうやむやになることを避けられます。
■コミュニケーションの効率化
これまでビジネス上のコミュニケーションの多くは、メールでのやりとりが主流とされてきました。もちろんメールにはメリットも数多くありますが、業務フローの見直しを図り、スピード化を進める上では以下のような不都合な点もあります。
- 挨拶や決まり文句などの定型の書き方があり、端的な表現に向かない
- 既読確認ができない
- 大量の件名に埋もれてしまいがちで、情報共有に不安がある
コミュニケーションを効率化するためには、チャットや会議システム、社内メッセージ、ワークフローシステムなど、よりスピード化が可能なツールの導入が有効です。
上記で示したメールのデメリットを補い、自社で必要となる機能を搭載したツールを選定すれば、コミュニケーションの課題を解決しながら業務効率化にも役立てられます。
「働く」の見直しから「いいじかん」をはじめよう
働くということは時間のなかで決められた業務をこなす、ということだけではありません。やるべき業務を効率化させることで生み出された時間を、クリエイティブな活動をすることに利用し、そこから新たなビジネスモデルを生み出す可能性を高めることでもあります。「働く」ということ、このクリエイティブな時間は、場所にしばられる必要はありません。
記事内で紹介した「いいじかん」を設計することは、従来の企業活動だけではなく、企業や従業員の可能性を高めることにつながります。これからの企業には、「働くことをデザインする」という視点の重要性に目を向けていく必要がありそうです。
下記の記事では、活気とスピード感のあるワークスタイルの実現に向けたヒントを紹介しています。ぜひご活用ください。
下記の記事では、躍動感のある企業風土を実現する社内コミュニケーション活性化のヒントを紹介しています。ぜひご活用ください。
いいじかん設計 編集部