テレワークに必要な社内規程の改訂ポイントは?助成金を利用してお得に働き方改革を!
- #働きやすい環境づくり
中小企業でも働き方改革関連法が適用となり、働き方改革の推進が重要視されています。日々のニュースを見ていると新型コロナウイルスの流行でテレワーク・在宅勤務利用者が増えてきたようにも思いますが、いまだテレワークを実施している企業はわずかという結果も出ています。これは様々な理由が考えられますが、働き方改革やテレワークの導入をするにあたって社内規程を改訂する必要があることや、IT環境の整備に高額な投資を必要とするイメージを持っている方が多いということも、理由の一部と考えられます。
そこで今回は、人事・労務制度の改訂ポイントや助成金の利用についてのアドバイスをご紹介します。
INDEX
中小企業でも働き方改革関連法が適用開始
2020年4月より中小企業でも働き方改革関連法が適用となり、働き方改革の推進が重要視されています。この時点では「時間外労働の上限規制」や「年次有給休暇の年5日取得義務化」に対応できる策を各社で取り組むことを求められていました。そこに新型コロナウイルスの流行の影響も受け、生産性を高める働き方や事業継続計画(BCP)の対策として「テレワーク」の必要性が高まり、働き方改革の推進に加速度が増しました。
テレワークは政府や各地方自治体から外出自粛要請が発出されたことから、今までテレワークを行っていなかった企業でも導入開始するなど、浸透し始めているように感じます。ですが、東京商工会議所が実施した調査※ではテレワークを実施している中小企業は26.0%、さらに従業員50人未満の企業においては14.4%と、思うように進んでいないのが現状です。
東京23区の中小企業およそ1万3000社を対象に2020年3月13日~31日に調査、1300社余りが回答。
全国的にテレワークの必要性が高まってきていますが、短期間でテレワーク環境を準備するのはとても大変なことです。そして、テレワークをするためには環境の整備だけでなく社内規程や人事・労務制度の見直しも行わなければいけません。
テレワークをするために、人事・労務の制度の見直しも必要
社内規程や人事、労務の制度の一部は会社の中で働くことを前提に定められた内容です。テレワークの導入と並行して、場合によっては社内規程や人事、労務の制度を改訂する必要があります。ですが、どの規程をどのように改訂する必要があるのか、調査するのは大変です。
そこで今回は人事労務関連業務をチャットでワンストップ支援しているTRIPORT株式会社・TRIPORT社会保険労務士法人 岡本秀興 社長にどのような点に気を付けて改訂するといいのか、ポイントをお聞きしました。
―― 見直しが必要な社内規程や人事、労務制度とはどのようなものを指しているのでしょうか?
「例えば『在宅勤務規程(テレワーク勤務規程)』というものがあります。」
―― その名のとおり、といった規程ですね。これからテレワークや在宅勤務を行うという企業様にとっては新設の規程ですよね。
「まず前提として、テレワークという働き方を導入する際に「なぜ規程整備が必要なのか」という点を理解することが肝要かと思います。」
―― 確かに、なんとなく規程が必要なのかな、くらいでしか考えていませんでした…。なぜ必要なのか、教えてください。
「例えば、社員が在宅勤務など社外で仕事をする場合、どのような経営上のリスクがあるのか、また社員が在宅勤務時に抱えやすい不安・懸念点がどのようなものなのか、これらの諸問題を解決するために「規程整備(在宅勤務時における運用ルールを定めたもの)」が必要となります。」
―― 確かに、何も決まっていないまま在宅勤務をするように言われても、不安がつきまといます…。リスクや不安に関して規程で決まっていると、安心して仕事に臨めますね。それでは、具体的に「在宅勤務規程(テレワーク規程)」の内容について教えてください。
「まず『在宅勤務規程(テレワーク勤務規程)』がどのような役割を担うかお話しますと、例えば、在宅勤務を許可する社員が誰なのか(「新入社員」や「会社に届く郵送物などの管理をする社員」なども含め、全社員、「誰でも」、そして「いつでも」テレワークを利用して良いのか)、またテレワーカーの「勤怠管理方法(出勤・退出管理、残業時間はどのように管理するのか)」や、仕事をするために利用した自宅のプリンター、電話、その他諸々の「経費をどのように扱うのか」など、社内での運用ルールと異なる部分の運用ルールを、別途定めていく必要があります。そうすることで、社員は在宅勤務がしやすい環境が整い、また会社としてもテレワークを導入した場合に想定される経営リスクを回避でき、かつ生産性を上げていく大きな要因となります。」
―― どれも普段会社に来て働くなかでは管理方法が決まっていて当たり前のことですが、在宅で働く場合で改めて管理方法を考える必要がありますね。テレワークで資料の印刷をしたい!となった時に印刷代はどうするのかとか…コンビニなどで印刷すれば具体的に料金も分かりますが、自宅のプリンターだと1枚何円って分からない(笑)。
このあたりの細かな仕事環境をルールとして決めてくれないと、どうしたらいいか分からないし、悩んでいるうちに在宅勤務が不便だとも感じてしまいそうです…。
「その通りです。例えば、テレワーク勤務時における「残業時間」の管理の仕方や、「経費」に関するルールを明確にしていない場合、社員側にとって不利益な状況になりかねないため、会社に対する不満が生じる可能性があり、その結果、退職リスクや生産性を低下させる要因になりかねません。」
―― そのためにも「在宅勤務規程(テレワーク勤務規程)」を定めておくべきですね。ですが、これからテレワークをやってみるぞ!という時にどこで不安に感じるか把握するのは難しそうですね。どういうルールを定めれば在宅でも快適に仕事に取り組むことができるのやら…。
「まさに、「そもそも自分の会社が、どのような運用ルールにすべきか分からない」という根本的な部分での相談は多いですね。このような場合の対処方法としては、まずは、社員一人ひとり(一人暮らしの社員、配偶者がいる社員、育児しながら働くパパさん・ママさん社員、等々)のプライベートまで考慮した働き方をシミュレートし、それぞれが在宅勤務をする際に不安や疑問が生じそうな部分を洗い出したうえで、具体的な解決策を導き出すという流れで対応することとなります。またその際の注意点としては、社員に「〇〇のケースはどうなるの?」というような疑問を抱かせないよう、運用ルールの曖昧性をいかに排除できるかというところになります。また、せっかく導入した制度が形骸化しないよう、机上の空論での対策は避けるよう意識する必要がありますね。」
―― これからテレワークを導入する企業様にとっては、不安や課題を洗い出すのはとても大変なことだと思いますが、まずは規程を定めて、実施していくなかで運用しやすいように随時改訂していくことも必要ですね。
テレワークに必要な環境整備は助成金の利用が可能!?
―― テレワークやその他働き方改革のための環境整備には助成金が利用できるそうですね。新型コロナ流行への対策としても助成金があるというCMもよく目にします。
「はい、昨今大きな問題となっている新型コロナウイルス感染症対策の一つとして、「働き方改革推進支援助成金」という、病気休暇制度や、子供の休校・休園に関する特別休暇制度を整備し、従業員が安心して休める環境を整備する事業主を支援する助成金があります。」
―― どのような企業が対象なのでしょうか。また申請に必要なことなどがあれば教えてください。
「前述した目的で、例えばテレワークに必要な「社内規程」や「テレワーク用通信機器の導入・運用」などの整備を行う企業が対象です。」
―― なるほど。まさに先ほどお聞きした内容について悩んでおられる方は助成金の対象企業、ということですね。利用するにはテレワークができる環境を整えた、ということが証明できれば良いのでしょうか。
「そうですね。導入する機器やシステムについては、新規導入であるか、その導入によってテレワークが可能となったのか、などの確認が求められます。」
―― 助成金を上手く活用して、少しでも費用負担を軽くしてテレワーク環境の整備や働き方改革を推進していきたいですが、省庁の資料を読んでもなかなか複雑で、利用のハードルが高いと思われる方も多いですよね。
「はい、そうですね。「テレワーク」という働き方の導入だけでも本当に大変な手間が発生しますが、そこに「助成金」というもう一つの複雑な制度を複合的に組み合わせて対応していくことは、非常に大変なことかと思います。なので、弊社としては、そのような複雑な仕組みを、少しでもシンプルに対応していただけるよう、チャットで気軽にご相談でき、必要に応じて「社内規程整備」や「助成金活用」等のサポートさせていただくサービスをご用意しています。」
テレワークを長く活用するためにも設備環境と制度はワンストップで整えて
このように、就業規則や社内制度の見直しや、助成金の申請には専門家のアドバイスが無ければなかなか手が出ない、ということが多いと思います。この度コニカミノルタジャパンではTRIPORT様と協業し、テレワークの導入を目指す企業へITサービスの提供だけでは解決しない人事や労務、助成金の申請などの労務相談ができる環境を整え、トータルで企業のテレワーク導入に向けた課題解決の支援を行うサービスの提供を始めました。これまでITツールの導入、人事・労務制度に関する相談、助成金申請のアドバイスは個別に手配する必要がありました。一括で行えることで、環境整備のスピードを加速させることができます。
詳しくはこちらをご覧ください。
まとめ
テレワークに有用なITツールだけ導入すればテレワーク環境が万全だと思っていると、実は効果が出ていない、活用されていない、というケースがあります。制度の見直しもやってこそ、快適なテレワーク環境、働き方改革の成功になります。
ですが、自社だけで全てを解決に導くことはとても大変だと思います。適切なテレワーク導入の環境支援が提供できて、なおかつ人事・労務まわりの制度見直しにも対応できる社労士の紹介など、ワンストップで全方位の支援を得ながら進めることが良いでしょう。
コニカミノルタジャパンではテレワークを実行する上での様々な課題を解決するソリューションに加えて、人事・労務まわりの制度見直しまで、ご支援することが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
いいじかん設計 編集部