オプト事業
ディスプレイ材料分野では、2010年の夏にはじまった液晶パネルメーカーでの生産調整が10月を底にして回復基調に転じました。当年度の後半には、視野角拡大用VA-TACフィルム(VA-TACフィルム)の新製品展開やIPSパネル用のTACフィルムの出荷も新たにはじまるなど、当社が強みとする製品が堅調に推移し、当年度のTACフィルム全体の販売数量としては前年度を上回りました。
メモリー分野では、光ディスク用ピックアップレンズはブルーレイディスク用が、HDD用ガラス基板は320GBなど高記録密度対応の製品が牽引して、ともに当年度の販売数量は前年度を上回りました。しかしながら、2010年夏以降のパソコンやデジタル家電全般における生産調整の影響が長引き、当初期待していた伸びには至りませんでした。
画像入出力コンポーネント分野では、デジタルカメラやビデオカメラ向けレンズユニットの販売数量が前年度を上回りましたが、カメラ付携帯電話向けは当社製品搭載機種の販売低迷もあり、前年度を大きく割り込みました。
このように、当事業では主力製品のうち、TACフィルムやVA-TACフィルムの顧客による生産調整が比較的早期に収束する中で拡販にも努め、HDD用ガラス基板とともに当年度の販売数量は堅調に推移しました。一方、光ディスク用ピックアップレンズは顧客による生産調整の影響が長引き、総じて販売数量は伸び悩みました。またレンズユニット関連も総じて低調に推移しました。これらの結果、当事業の売上高は前年度比5.1%減少の1,298億円、営業利益は前年度比11.0%減少の128億円となりました。
当事業においては、次の3年間においても引き続き、TACフィルム事業が収益の基盤と位置づけます。他の事業ユニットについては、成長機会をしっかりと捉えて第2、第3の収益の柱を確立していきます。定量目標としては、2013年度までに売上高2,000億円の達成を目指します。
成長ドライバーについては、「薄膜TAC」「光学ユニットの成長領域」「新規分野」となります。
TACフィルム分野については、当社の強みである薄膜・超広幅を活かして、LEDバックライトや3Dといった大型液晶テレビの進化に合わせたVA-TACの新製品を投入していきます。また、IPSパネル用の製品投入による新たな顧客開拓や中国市場で価格対応も行い、顧客拡大につなげていきたいと考えています。
光学ユニット分野については、次の3年間においては、スマートフォン向けやデジタルシネマ用レンズユニット、一眼レフ用の交換レンズといった成長領域での規模拡大を図る計画です。
新規分野については、これまで事業化の準備をしてきたLED照明用のコンポーネントを、収益貢献するよう事業化を加速させます。3年後には、売上高比率を10%程度まで伸ばしていきたいと考えています。