スーホの白い馬
モンゴルの大草原に馬頭琴の音が流れるとき、思い出される物語があります。
- 上映時間 28分
- 対象 一般
- 季節 四季
- ジャンル 原作つき/物語/伝承・民話
- 管理番号 E-90
紹介する星座
北極星=モンゴルにおける北極星の見方
あらすじ
草原で真っ白な子馬を拾ったスーホ。その子馬をスーホは心を込めて育てました。
しかし、立派に育った白馬は殿様の目にとまり、取り上げられてしまいます。追手の矢を受け瀕死の状態でスーホのもとに帰ってきた白馬。悲しむスーホの夢の中に現れた白馬は自分の身体で楽器をつくってほしいと願います。その願いを受けたスーホは一つの楽器・・・馬頭琴をつくったのです。
サンプル音声
ストーリー
1.
モンゴルの首都・ウランバトールから一歩出ると、どこまでも続く大草原が広がっています。そこで暮らす遊牧民は羊や馬などと共に草を求めて、その広い草原を移動していきます。
2.
モンゴルを代表する楽器に、馬頭琴という民族楽器があります。馬頭琴は草原のチェロと呼ばれ、馬の尻尾からつくられた弓で音色を奏でます。一体どうして「馬頭琴」という楽器がつくられたのか、それにはこんな物語があるのです。
3.
昔、モンゴルの草原にスーホという貧しい羊飼いの少年が、おばあさんとふたりきりで暮らしていました。
ある日スーホは雪のように真っ白な子馬を抱えて家に帰ってきます。子馬は心を込めて育てられ、誰もが見とれる程すばらしい白馬に成長しました。
4.
夜、馬の鳴き声と羊の騒ぎにスーホは外に飛び出しました。見ると羊に飛びかかろうとしている狼を白馬が必死に防いでいます。狼を追い払って白馬の側に駆け寄ると、長い間戦っていたのか、体中汗びっしょりでした。その体を感謝を込めて撫でながらスーホは話しかけます。「よくやってくれたね、白馬。本当にありがとう。」
5.
ある年の春、草原一体に知らせが伝わりました。辺りを治めている殿様が、町で競馬を開き、一等になった者は娘と結婚させるというのです。スーホは仲間の羊飼いに勧められて、白馬と大会に出場することにしました。
6.
競馬が始まり、国中から集まった若者たちはいっせいに皮のムチをふります。その中で白馬は他の若者たちを抜いて、素晴らしい走りで一等になりました。喜んだ殿様は、一等の乗り手を連れてこいと家来に命じます。
7.
しかし、貧しい身なりのスーホを見た殿様は約束を忘れたふりをして、銀貨三枚で白馬を取り上げてしまったのです。手に入れた白馬を見せびらかしたくなった殿様は、たくさんのお客を呼び、得意になって白馬にまたがった瞬間!白馬は恐ろしい勢いで跳ね上がりました!!
8.
殿様を振り落として、白馬は風のように駆け出しました。家来たちがいっせいに追いかけ、白馬に向かって矢を放ちます!次々と背中に矢が刺さっても、それでも白馬は走り続けました。
9.
その晩、ひどい傷を負いながらも白馬は大好きなスーホのもとに帰ってきました。死なないでおくれと泣くスーホの腕の中で、白馬の息はだんだん細くなり、目の光も消えていき・・・次の日の朝、白馬は死んでしまいました。
10.
悲しみと悔しさで、幾晩も眠れなかったスーホがやっと眠った時、白馬が夢の中に現れました。悲しまないでほしいと優しく語りかける白馬。そしてスーホに、自分の体を使って楽器をつくってほしいと願います。目覚めたスーホはその願い通り楽器をつくり始めるのです。出来上がった楽器が、馬頭琴なのです。
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