マテリアルリサイクルとは?

廃プラスチックを洗浄・粉砕・混練することで再生プラスチックを製造

廃プラスチックのリサイクルの種類には、次の3つが存在します。

  • ケミカルリサイクル
  • マテリアルリサイクル
  • サーマルリサイクル

これら3つのうちマテリアルリサイクルとは、廃プラスチックを洗浄・粉砕し、成形することでペレット(再生プラスチック)を製造する方法です。石油から作られるプラスチックは、石油の採掘からプラスチックを合成する過程でもCO2が排出されます。一方で、マテリアルリサイクルにより得られる再生プラスチックは、その部分のCO2排出が無く、CO2排出量の削減効果が大きいのが特徴です。

石油からできたプラスチックは、石油の採掘からポリマー化の過程でCO2が排出されますが、廃材からできた再生プラスチックはその部分のCO2排出がありません。

マテリアルリサイクルには、以下3つの方式があります。

1. アップグレードリサイクル(アップサイクル)
リサイクル後に新たな価値を付与して、より高機能な用途に再利用する方法です。再生プラスチックの適用可能範囲を拡大できます。

2. 水平リサイクル
マテリアルリサイクルの方式のなかではもっとも主流で、元の用途と同等の用途に再利用する手法です。PETボトルからPETボトルへのリサイクルが広く知られています。

3. カスケードリサイクル
物性要求の低い用途に再利用する方法です。PETボトルから洋服の繊維へと採用されることが多いです。

マテリアルリサイクルには「アップグレードリサイクル」「水平リサイクル」「カスケードリサイクル」の3つの方式が存在します。

コニカミノルタでは、これら3つの方式のうちアップグレードリサイクルと水平リサイクルを手がけています。アップグレードリサイクルでは、PETボトルと水のガロンボトルから複合機の外装材を製造。水平リサイクルでは、ミルクボトルから複合機のトナーボトルを、遊技機の内装部品から複合機の給紙トレーを作っています。

アップグレードリサイクルでは、水ボトルとPETボトルから複合機の外装部品を製造。水平リサイクルでは、ミルクボトルからトナーボトルを、遊技機から給紙トレーを作っています。

コニカミノルタが10年以上にわたり蓄積してきた再生プラスチック技術

コニカミノルタは、マテリアルリサイクルによって得られる再生プラスチックを、自社の複合機に10年以上採用し続けています。そのなかで、次のような技術を培ってきました。

  • 高純度化技術
  • アップグレードリサイクル技術
  • 成形技術

高純度化技術

高純度化技術とは、廃プラスチックに付着した異物や不純物を徹底的に除去する技術です。コニカミノルタではこの技術を自社開発することで、廃プラスチック由来成分100%の再生プラスチックを実用化しました。

たとえばコニカミノルタのトナーボトルには、使用済みミルクボトルを原料として製造されたPCR材(※)が使われており、PCR材を製造する際に採用されているのが高純度化技術です。ミルクボトルに付着した汚れや異物を残ったままPCR材を製造すると、石油由来プラスチックと比べて物性低下や品質のばらつきが大きくなってしまいます。しかし、コニカミノルタが開発した高純度化技術を使用することで、石油由来プラスチックと同等程度の物性を維持することが可能になります。

※PCR材:一般消費者のもとで使用されて廃棄されたプラスチックを原料として、再資源化されたプラスチック

高純度化技術を使ってPCR材を作る流れは、次のとおりです。

1. 選別
回収してきた廃プラスチックにはミルクボトル以外のボトルやキャップが混在しているため、選別します。

2. 破砕
選別されたミルクボトルは破砕され、ミルクボトルの表面に貼られているラベルもある程度剥がされて、フレーク状になります。

3. 洗浄
フレーク状になったミルクボトルは、洗浄によって泥やミルクの汚れが取り除かれます。

4. カラーソート
洗浄で綺麗にしたフレークにも、キャップ由来の色のついたフレークが多少混ざっているため、カラーソートによって品質の安定を確保します。

5. 混練
フレークを高温で溶融させ、混練することで、PCR材のペレットが完成します。

回収されたミルクボトルの廃材は、選別・破砕してフレーク状にした後、洗浄・カラーソートによって高純度なフレークとなります。その後、混練することでペレットが完成します。
原料となる遊技機が回収された後、分解・選別や破砕・洗浄によってフレーク状になります。混練してできたペレットは成形され、給紙トレーが完成します。

アップグレードリサイクル技術

より多くの製品に再生プラスチックを採用するためには、強度や難燃性などにおいて高い性能を実現することが必要です。たとえば、複合機においてもっとも多くのプラスチックを使用している外装部品には、大きな衝撃に耐えられる強度や、製品を使うお客様の安全を確保するための難燃性が求められます。コニカミノルタは、トナー開発で培ったポリマーアロイ技術をベースに、アップグレードリサイクル技術を自社開発。その結果、廃プラスチックよりも強度・難燃性ともに飛躍的に向上させた再生プラスチックを製造することが可能となりました。これにより、複合機表面積の88%を占める部品で再生プラスチックを採用することを実現しました。

複合機における再生プラスチックの使用率は35%で、表面積の88%を占める部品で採用されています。アップグレードリサイクル技術により、難燃性が付与されたほか、衝撃強度は10倍になりました。 また、自社製品製造時のCO2排出量を抑制するため、複合機のプラスチック部品に自社開発再生プラスチックを採用。2022年度の実績として年間約5,000トンの廃プラスチックを再資源化し、約7,000トンのCO2排出量を削減しています。

マテリアルリサイクルは、CO2削減や天然資源の消費量抑制など、環境負荷の低減と循環型社会の実現につながるリサイクル方法です。しかし、品質低下などの懸念があり、性能を要求される部品には採用され難い側面がありました。アップグレードリサイクル技術は、マテリアルリサイクルのこうした欠点を解消する技術であり、環境貢献を大きく後押しすることを期待できます。

成形技術

コニカミノルタでは、「ブロー成形」と「射出成形」と呼ばれる方法で再生プラスチックを成形しています。

・ブロー成形
消耗商品であるトナーボトルを製造する際は、再生プラスチックを入り口から投入し、高温で溶融させます。次にパソリンと呼ばれる、パイプ状の溶融させたプラスチックを形成したあと、トナーボトルの金型で挟み込みます。挟み込んだ状態で、エアを内部に吹き込んで樹脂を膨らませ、金型に転写させるとトナーボトルが完成します。

・射出成形
ホッパーに投入した再生プラスチックのペレットを、スクリューで搬送しながら、外部をヒータで温めて溶かします。溶融した再生プラスチックをノズルから押し出して金型に流し込み、所望の部品の形を作ります。このとき、金型が冷たいので、流し込まれた再生プラスチックはすぐに固まります。固まった再生プラスチックをエジェクタピンで押し出し、金型から取り出します。

リブ(突起のようなもの)が多く、大きい部品は成形が難しいですが、コニカミノルタでは小さい部品から大きい部品まで幅広く成形することができます。

トナーボトルはブロー成形、給紙トレーは射出成形で製造。再生プラスチックの種類ごとに適した部品設計・成形加工は異なり、お客様へご提供する再生プラスチックに適した設計・加工をご支援することも可能です。
射出成形では、リブが多く大きい部品は成形の難易度が高いですが、コニカミノルタでは小さい部品から大きい部品まで幅広く製品に搭載しています。

再生プラスチックの製造の流れ

1. 原料回収
2. 分解・選別
3. 破砕
4. 洗浄
5. 比重選別
6. 混錬
7. Matelier(マテリエ)が完成

原料となる各種廃材を世界各国から回収し、分解・選別します。次に破砕によってフレーク状にしたあと、洗浄します。洗浄されて綺麗になったフレークは、原料の種類に応じて、比重選別で重金属を除去したりカラーソートしたりします。

ここまでの流れは「前工程」とも呼ばれます。回収原料における異なる種類のプラスチックの混入や汚れは、再生プラスチックの品質のばらつき・低下に大きく起因するため、前工程は極めて重要な工程です。

比重選別やカラーソートをしたあとは、混練をします。その際、物性の担保や所望の着色、新たな機能の付加を目的として、難燃剤や顔料などの添加剤が加えられることもあります。

プラスチックは高温環境下では、熱分解や加水分解(水分による分解)により品質が劣化します。そのため品質を担保するには、熱履歴の影響を抑える混練技術が求められます。

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