Matelierの特徴

1. 厳選した廃材を活用している

バージン材は原材料に経年劣化や汚れがなく、物性のばらつきを抑えられるという魅力があります。一方で廃材を原材料とする再生プラスチックは、バージン材と比べて物性のばらつきが大きいことが懸念されます。

再生プラスチックのこうした懸念を解消するため、Matelierでは、使用期間が短く劣化の比較的少ない廃材を活用しています。 たとえば、飲み終えたらすぐに廃棄されるミルクボトルや水ボトル、PETボトルなどのボトル類を原材料として活用。加えて、室内や車内で使用されるCDやDVD、空調の効いた室内で使用されて3〜5年でモデルチェンジされる遊技機なども活用しています。コニカミノルタでは、このような厳選した廃材を活用することで、物性のばらつきを抑制し、バージン材とほぼ同等の物性を確保しています。

原料の調達は、再生プラスチックの品質に大きな影響を与えます。コニカミノルタでは、交換サイクルが早く、汚れや経年劣化の比較的少ない廃材を使用しています。

2. 廃材由来のプラスチック利用比率が高い(PCR比率が高い)

マテリアルリサイクルで作った再生プラスチックの1つがPCR材であり、PCR材とは「一般消費者のもとで使用されて廃棄されたプラスチックを原料に、再資源化されたプラスチック」を指します。PCR比率とは「再生プラスチックに含まれる廃材由来のプラスチックの割合」です。PCR比率100%と示されている場合、再生プラスチックが廃材由来のプラスチックのみから作られていることを意味します。

PCR比率が100%ではない場合、廃材由来のプラスチックのほかに、以下のものが含まれているケースがあります。

  • 各種添加剤(例:難燃剤、増靭剤)
  • 着色剤(例:顔料)
  • 石油由来のバージン材

これらを添加する目的は、強度など所望の物性や色の担保と、新たな機能性の付与です。コニカミノルタの再生プラスチックを例に挙げると、複合機の外装材に使われている再生プラスチックは、廃材由来のプラスチックのほかに「難燃剤」を添加しています。これにより、廃材由来のプラスチックにはなかった「難燃性」という機能を新たに付与しています。また、外装材はコニカミノルタ指定のカラーがあるため、顔料も添加しています。

コニカミノルタの再生プラスチックは、所望の色の担保、新たな機能性の付与を実現しながら、廃材由来のプラスチック利用比率(PCR比率)も高いのが特徴です。 コニカミノルタの再生プラスチックには複数のラインナップがあり、そのなかでも「R-ABS(標準)」「R-PC(高強度)」「R-PC(高流動)」「R-HDPE(標準)」についてはPCR比率が100%となっています。

PCR比率の高いPCR材を使うと、製品のPCR比率(製品に使われている再生プラスチックの割合)も高くなります。コニカミノルタの複合機におけるPCR比率を例に挙げると、外装材には、PCR比率が高いもので70%の「R-PC/PET」を使用。内装材にはPCR比率が高いもので100%の「R-ABS」を、トナーボトルにはPCR比率100%の「R-HDPE」を使用しています。 このようにPCR比率の高いPCR材を使うことで、複合機全体の35%を占める部品で再生プラスチックを採用できました。

また、プラスチックの包装材についてEUが先行して規制の導入を検討しており、2030年の目標値は、プラスチック包装材にPCR材を10%-35%使うこと(PCR比率10%-35%)となっています。2040年には50%-65%が目標として掲げられており、今後も要求されるPCR比率は高まっていくと考えらます。こうした法規制の観点から見ると、PCR比率の高いPCR材の採用を検討することは効果的です。

石油由来のプラスチック(バージン材)は、採掘した石油から作られます。一方で再生プラスチックは、原材料に廃棄プラスチックを使用していることが条件であり、原材料の一部にバージン材を含んでいても再生プラスチックの位置づけになります。
PCR比率が100%であれば、再生プラスチックが廃材のみからできていることを意味します。PCR比率が100%未満のものは、廃材のほかに添加剤や着色剤、バージン材が含まれている場合があります。
法規制において規定されている再生プラスチックの使用率は、年々上昇する傾向にあります。PCR比率の高いプラスチックの採用は、法規制の観点から見るとメリットが大きいといえます。

3. トレーサビリティがある

コニカミノルタは原料の回収から行っており、廃プラスチックを確実に使った再生プラスチックをご提供できます。

また、どのような廃プラスチックを調達しているのかを細かく把握しているため、より高度な使いこなしが可能となり、再生プラスチックの物性のばらつきを抑制することにもつながります。具体的には、調達した廃材に使用されているプラスチック種や特性を把握しているほか、その廃材が回収されるまでの使われ方、交換頻度なども把握しています。

万が一不具合があった際は、原因の特定と対策を容易に行うことができ、迅速な対応につなげられます。不具合の原因となる要素や過程は、「回収した廃材自体」「ペレット作製時」「ペレット保管時」「ペレット成形時」などさまざまです。コニカミノルタではこれらの過程に遡ってデータを見直すことが容易となっています。

Matelierは、 「使用する廃材」「PCR比率」「トレーサビリティ」の3つの特徴に加え、再生プラスチックの採用に関するご支援ができるという特徴もあります。コニカミノルタは再生プラスチックの開発から成形まで手掛け、開発した再生プラスチックを自社製品に10年以上にわたり採用し続けているほか、他の企業様にも採用して頂いている事例もあります。こうした実績のなかで、以下のような技術を蓄積してきました。

  • 前処理(選別・洗浄)技術
  • 混練技術
  • 材料改質技術
  • 部品設計技術
  • 成形技術

これらの技術を活かし、再生プラスチックのご提供はもちろん、金型設計や成形など生産立ち上げのご支援、グリーン購入法に適合する商品に採用する際のエコリーフ環境ラベルの取得なども対応可能です。コニカミノルタで成形加工を行い、再生プラスチック部品としてお客様のもとへ納入することも検討可能です。

また、自社製品への採用で培った技術や経験をもとに、お客様が抱える課題の解決をサポートいたします。「環境施策として何から取り組むべきかわからない」「再生プラスチックを採用することの自社メリットが不明確である」「取引先メーカーに再生プラスチックに関する知見がない」のような、環境や施策効果、技術に関するお困りごとを一緒に解決いたします。

製品ラインナップ

Matelierの製品ラインナップは4種類に大別され、カラーリングの可否や供給可能量がそれぞれ異なります。
各ラインナップの特徴は次のとおりです。

  • R-ABS:遊技機から作られており、多いもので200t/月の供給が可能
  • R-PC:遊技機やCD/DVDといったディスクを原料とし、製品に合わせた調色が可能
  • R-HDPE:ミルクボトルが原料で、透明色を除いて調色が可能。供給可能量は200t/月
  • R-PC/PET:PETボトルや水ボトルから作られ、透明色を除いて調色が可能

4種類に大別される再生プラスチックは、難燃性や強度、再生材比率などによってさらに細分化されます。

2022年5月時点
樹脂種 グレード 再生原料 調色 供給可能量/月 想定加工方法 生産国
ソース
R-ABS 標準 遊技機 限定的(黒~グレー) 200t 射出成形 マレーシア
難燃(V2) 50t
R-PC 高強度 遊技機 可能 100t 射出成形 マレーシア
高流動 ディスク (CD/DVD) 100t
R-HDPE 標準 ミルクボトル 乳白色 可能(透明を除く) 200t 射出成形 マレーシア
R-PC/PET 中再生材比率 PETボトル 無色透明 可能(透明を除く)   射出成形 中国
高再生材比率 水ボトル 水色透明

※ 供給可能量については、新規工場立ち上げにより段階的に増強し、6倍程度になる計画

細分化された種類ごとに、次のような特徴を有しています。

  • R-ABS(標準):PCR比率が100%で、バージン材比較で63〜81%のCO2削減効率
  • R-ABS(難燃):難燃グレードはV2で、プラスチックとしては高い難燃性を保有
  • R-PC(高強度):シャルピー衝撃強さ (ノッチ付、23℃)は50kJ/m2で強度が高い。PCR比率100%で、CO2削減効率は81〜90%
  • R-PC(高流動):流動性が70g/10分(300°C、1.2kg)と高く、PCR比率は100%
  • R-HDPE(標準):PCR比率100%で、バージン材比較で50%のCO2削減効率
  • R-PC/PET(中再生材比率):高い曲げ弾性率(2,450MPa)を保持
  • R-PC/PET(高再生材比率):R-PC/PET(中再生材比率)より高いPCR比率(70%)

また、リグラインド(成形部品を作る際の端材)を繰り返し利用した場合を想定し、再生プラスチックの特性変化を評価しました。

特性 ノッチ付シャルビー衝撃強度(1/8") 曲げ強度 曲げ弾性率 荷重たわみ温度 1.82MPa MFR 密度 燃焼性 PCR比率 CO2削減効率 成形収縮率
測定条件 23℃     アニールなし           t=2.4mm
単位 KJ/m2 MPa MPa g/10min g/cm3       %
試験方法 ISO179 ISO178 ISO178 ISO75 ISO1133 ISO1183 UL-94   自社算定 自社試験
R-ABS
(標準)
10 60 2250 75 20(220℃10kg) 1.05 HB(1.6mm) 100% 63~81%*1 0.58
R-ABS
(難燃)
7 60 2300 70 65(220℃10kg) 1.11 V2(1.6mm) 88% 62~77%*1 0.48
R-PC
(高強度)
50 85 2150 120 25(300℃1.2kg) 1.2 V-2相当(1.6mm) 100% 81~90%*2 0.68
R-PC
(高流動)
8 85 2150 120 70(300℃1.2kg) 1.2 V-2相当(1.6mm) 100% - 0.64
R-PC/PET
(中再生材比率)
55 85 2450 80 30(265℃2.16kg) 1.2 V-0 5VB(1.6mm) 43% 25%*3 -
R-PC/PET
(高再生材比率)
55 80 2250 75 35(265℃2.16kg) 1.2 V-0 5VB(1.6mm) 70% 69%*3 0.46

・データシートに記載した数値は、標準試験方式による代表的な数値であり、特定の用途での性能を保証するものではありません。
・調色を行った場合は、データシートに記載した数値と異なることがあります。
・データシートの内容は予告なく変更することがあります。
・成形収縮率=(金型寸法-成形品寸法)/金型寸法 ×100
*1 V-ABSと比較
*2 V-PCと比較
*3 V-PC/ABSと比較

R-PC/PET(高再生材比率)においてリグラインドを30%添加し、5回繰り返した場合、「衝撃強度」「曲げ弾性」「荷重たわみ温度」といった特性にほとんど変化が見られないことが確認されました。

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