濃度計のツボ
蛍光分光濃度計
01測定条件
フィルタタイプ濃度計と分光タイプ濃度計の違いは?
フィルタタイプ濃度計
フィルタタイプ濃度計は、反射してくる光をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)のフィルタを通して測定します。フィルタにはいろいろな種類がありますが、ISOによって分光波長の形が規定されており、その種類を「ステータス」といいます。印刷業界ではステータスTとEを使って測定します。分光波長は下の図が示す通りブルーフィルタの形に違いがあり、これによってイエローの濃度値に差がでます。フィルタタイプ濃度計による測定を行う際は、光源としてタングステンハロゲンランプを使用することがISOで規定されています。 ※ ISO 準拠の濃度計は、CIE( 国際照明委員会) が規定するA光源(タングステンハロゲンランプ)を使用。
分光タイプ濃度計
分光タイプ濃度計は、波長を1〜10nm位毎に小刻みに分け、各波長ごとの反射光の強度を測定します。これを「スペクトル」といい、スペクトルから理論的な計算に基づいて濃度やL*a*b*値を算出します。
分光タイプ濃度計に物理的なフィルタはありませんが、スペクトルから濃度を演算する際に、R,G,Bフィルタに相当するスペクトルデータが組み込まれます。したがって、1回の測定でフィルタタイプ濃度計と同様、ステータス毎の濃度値を算出できます。
フィルタタイプ濃度計はL*a*b*を測定できませんが、分光タイプ濃度計はL*a*b*を測れるため、色相、彩度などを測るには分光タイプ濃度計が必要です。
濃度の測定時に注意すべき4つの条件
濃度測定時には、「濃度フィルタ(ステータスT、E、DIN etc.)」、「濃度白色基準(絶対、紙白)」、「偏光フィルタ(有、無)」、「バッキング」の4つに注意する必要があります。これらの要素がひとつでも異なると数値が変わってしまうため、比較は同じ条件で行うことが前提です。
条件 1濃度フィルタ
濃度測定の分光感度(ISO-5/3)
各種濃度フィルタの分光感度特性の名称
条件 2濃度白色基準
濃度白色基準とは、測定値の基準を紙白か白基準板にするかを決めることです。紙白を無視した数値にするためには紙白白色基準にします。絶対白色基準は、測定器の白が基準となるため絶対的な値になります。測定器によって基となる白基準板が異なると測定値が変わってきます。実際の目視では、紙白を含んだ色を見るので目視と合わせるため、一般的には絶対白色基準を使います。
絶対白色基準(abs.)・・・・測定器の白基準板を基準にする。白地を含んだ濃度となる。
紙白白色基準(paper)・・・紙の白地を基準にする。
条件 3偏光フィルタ
偏光フィルタは、特定の位相の光の波だけを通過させるフィルタです。偏光の向きを直交させてドーナツ状に組み合わせて、45/0°で入ってくる偏光成分を持つ表面反射光をカットし、その影響を軽減した濃度を測ることができます。偏光フィルタは、ドライダウンの影響やPS版測定時に砂目の乱反射の影響を軽減するために用いられます。
条件 4バッキング
印刷用紙によっては、光がインキ層だけでなく用紙を透過することがあり、この時、用紙の下の色が測定値に影響を与えます。これを「バッキング」といい、下図の3種類のバッキングが規定されています。
濃度計のツボ コンテンツ
03印刷の基礎
04印刷標準化
05認証制度
06目視観察条件
07カラーマネジメント
08モニター
09ペーパーインデックス