コニカミノルタ

濃度計のツボ

蛍光分光濃度計

02印刷の数値管理

色の違いをより正確に管理できる「L*a*b*値」

物体の色を表す際、現在あらゆる分野でポピュラーに使用されている表色系「L*a*b*値」。
L*a*b*値を使うことで、色の違い(濃さ・色相など)を正確に表現できます。

濃度とL*a*b*値の関係

右のパッチは若干色を変えて作成したものの濃度とL*a*b*の実測値ですが、同じ濃度値でも見た目の色は異なります。
L*a*b*値は見た目の濃さをL値に、色相の違いをa、b値に反映しています。つまりL*a*b*値がないと色相も含めた色の管理はできません。
各インキ濃度を上下した時、L*a*b*値は表の矢印ように変化します。

インキ 濃度を上げる 濃度を下げる コメント
全色 L* L* L*は濃度と反対に動く
シアン L*
b*
L*
b*
a*は多くは動かない
マゼンタ L*
a*
b*
L*
a*
b*
イエロー L*
b*
L*
b*
b*はL*よりも早く動く
ブラック L* L* a*、b*はほとんど動かない

「FD-7/5」に搭載されたターゲットマッチ機能

ターゲットマッチ機能は、CMYKインキの組み合わせに対して基準色との差異や基準色に近似させるためにどれだけ濃度を調整すればよいかを教えてくれる機能です。
電子写真方式のプリンターに合わせて印刷する場合やインクジェットプルーフに合わせて印刷する場合などに有効です。
右図のFD-7での測定例は、サンプルの濃度を0.86 から1.16 に調整すれば基準色に対する色差が0.48になるという予測値を表示しています。

地球に例えられるL*a*b*の定義

L*a*b*の色空間を地球に例えると、地軸に当たるのがL値で0から100まで、北極点が100で白、南極点が0で黒を表します。(図1)
赤道面の断面はa軸とb軸の数値で表現。中心に近いほど彩度が低く無彩色になり、中心は完全にグレイです。(図2)円周方向は色相を表します。L*a*b*の3つの数値が決まると、ひとつの色が決まり、世界中どこでも同じ色を表します。しかし、この色は概念上の色で、実際に見ることはできません。目に見えるようにするには何らかのデバイスが必要となり、その時点でデバイスが表現できる色に変換されるからです。
一般的には、CMYRGBの基本6色に関し、地球儀を上から見た図の六角形を用いて再現できる色の範囲が表されています。(図3)

色差を表す計算式の規定

色の違いを表す色差ΔE*abは、1976年にCIE(国際照明委員会)によって「L*a*b* 色空間上の2点間の距離で表す」と規定され、この色差式が現在一般的に使われています。
しかし、下の色弁別域の図にあるように、人間の目の感度は全ての色について同じではありません。この図の小さい楕円の中の色は、人間が差を区別できない領域です。
特に注意したいのは、中心近くのグレイの部分と明度が高くなると肌色になるオレンジの部分で、ここは色差に対する感度が高いことを表しています。同じΔE*ab値でも色によって人間の目にはかなり違いが感じられるため、CIEは2000 年に人間の目の特性を式に組み込んで修正したΔE2000 を発表。この計算式に基づく数値を「ΔE00」 と表記します。

色差の実際

色差がどのように見え方に関連しているか、サンプルを作成。人肌・グレイ・金赤を想定し、少しずつ色を変えて実測しました。(下図)
ほぼ同じΔE*ab値でも、人肌、グレイは差が分かりやすく、金赤は差が分かりにくくなっています 。一方、ΔE00は見た目の差に近い数値になっています。
一般的にΔE00の方がかなり数字が小さくなるため、色差の数字を見る時はどちらで表示しているかに気をつける必要があります。
現在はまだΔE*abが主流ですが、今後徐々にΔE00に移っていくでしょう。

肌色・グレイの色は差が目立ちますが、高彩度の色は差が目立ちません。

※FD-7/5の色差モードは基準値とサンプルの色差(ΔE*ab、ΔE00など)を評価できます。

G7に準じたグレイバランス評価の浸透

現在の印刷は、濃度管理に加えてグレイバランス管理が採用されるようになってきました。特にアメリカでは、Idealliance ( International Digital Enterprise Alliance)が主体となってつくった規格「G7(※)」が広く普及しています。
これは、最初にベタの濃度と色相を基準に合わせ、その後、中間の階調再現曲線を基準に合わせるようにグレイのL*a*b* を測定して調整します。
G7は手順書通りに行えば、誰でもグレイバランスが管理できます。どんな印刷方式(オフセット、グラビア、スクリーンなど)あるいはプリンター出力でも、同じ色再現が可能になるとしています。
FD-7/FD-5のグレイバランスモードは、G7に準じたグレイバランス評価が可能です。

G7の特徴

・グレイのL*a*b*を測るので再現が正確、校正や印刷法が変っても同じ色再現が可能。
・手順書に従えば誰でも容易にできる。
・色を測定するので分光光度計が必要。

※G7:GrayとCMYKRGBの7色を意味します。

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