目次
世界におけるオフィスの歴史

建物の中でも「オフィス」に着目した場合、その源流はイギリスにあります。産業革命期に多くの人が集まって働く場所が必要になったことが、オフィスの始まりでした。世界におけるオフィスの歴史を、オフィスに求められる機能の変遷とともに見ていきましょう。
工業型/スクール式レイアウト
オフィスの黎明期、一般的とされていたオフィスは全員が同じ方向を向いて座る学校の教室のようなレイアウトでした。このレイアウトが採用されていた背景には、当時のオフィスが徹底した管理主義だったという事情があります。労働者が無駄話をすることなく労働にいそしんでいるか、資本家が監視するのに好都合だったのです。
現代のように、コミュニケーションや創意工夫によって生産性を向上させるという発想はなく、機械のように単純作業を繰り返すことが労働者の役割でした。
ブース型レイアウトへ移行
1960年代になると、ヨーロッパでは外国人労働者を受け入れる国々が現れ始めます。人道主義の風潮が徐々に広まっていく中、労働環境や働き方の見直しも進んでいきました。
こうした時代に後押しされて登場したのがブース型レイアウトです。ローパーテーションで個人のワークスペースを区切り、プライバシーが確保されたレイアウトへと大きく舵を切っていきます。世の中が安定し、人間性やプライバシー、効率性などが重んじられるようになったことが、オフィスの概念を大きく変えたのです。
オフィスレイアウトには時代が反映されている
スクール式レイアウトとブース型レイアウトは、一見すると対照的なオフィスレイアウトのように思えます。しかし、その背景には時代を象徴するような考え方や価値観があり、働く環境やオフィスに求められる機能も時代を反映したものへと変化していったといえるでしょう。オフィスレイアウトは時代を映す「鏡」ともいえます。
日本におけるオフィスの歴史

では、日本におけるオフィスの歴史はどのように移り変わってきたのでしょうか。日本において会社組織が登場したのは明治時代以降です。明治時代から令和時代までのオフィスの変遷を見ていきましょう。
明治~大正時代
日本で初めて建造されたオフィス専用ビルは、明治27年に竣工された三菱一号館でした。この三菱一号館を皮切りに、東京・丸の内は国内随一のオフィス街へと発展していきます。
実は、この時代のオフィスレイアウトは現代でも多く見られる「島型」の配置でした。オフィスで働く人々がデスクを向かい合わせに配置する光景は、すでにこの時代から存在していたのです。
昭和時代
戦争を経て高度経済成長期、そしてバブル期になると、日本全体が好景気に沸いていきます。オフィスにもインテリア性が求められるようになり、エントランスに骨董品を飾るなど趣向を凝らしたオフィスも見られるようになりました。
さらに、OA機器の登場によりオフィスに求められる機能も変化していきます。電卓や複写機、ワープロなどが普及するにつれて、オフィスワーカーの業務は手作業から機械を使用した業務へと移り変わっていきました。
平成時代
1990年代の終わり頃から2000年代初頭にかけて、インターネットが広く利用され始めました。デスクレイアウトもパソコンを活用した業務を想定したものとなり、配線の合理性を考慮したオフィスの設計が重視されるようになっていきます。また、携帯端末が登場したことに伴い、オフィス以外の場所で仕事を進めるという概念も徐々に広がっていきました。
令和時代
令和時代には新型コロナウイルスの感染拡大を境に、テレワークという概念が広く浸透しました。オフィスの機能を在宅勤務でも再現するべく、さまざまなコミュニケーションツールや、情報共有のためのツールの活用が普及したことに大きな特徴があります。
オフィス以外の場所でも就業できる環境が実現したことにより、かつてオフィスで当たり前のように交わされてきた、対面コミュニケーションの重要性が再評価される動きも見られます。オフィスは単に人が集まって仕事をする場所ではなく、人と人との関わりを改めて大切にし、よりよい関係性を築いていくための場所として機能や役割を見直されつつあるのです。
まとめ:昔ながらの建物の再評価がオフィスデザインの重要なヒントに

昔ながらの建物は、一見すると現代の建造物とは大きく異なるつくりになっているように思えます。しかし、私たち一人ひとりの根底にある「自然」を求める心には訴えかけるものがあるからこそ、現代を生きる私たちにも安らぎや落ち着きという感覚をもたらすのではないでしょうか。建物のあり方や暮らしのあり方を振り返るとき、昔ながらの建物を再評価していくことが重要なヒントになるのかもしれません。
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