オフィスが暗い!?照明の適切な明るさと、オフィスデザインで工夫できること


2024.11.05
【最新のオフィスがぎっしり】オフィスデザイン事例集

「日経ニューオフィス賞」を受賞したコニカミノルタがデザインしたオフィス事例をまとめた一冊です。最新のトレンドが知りたい!新しいオフィスのアイデアが欲しい場合などにご活用ください。

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オフィスデザイン事例集のイメージ

働きやすいオフィス環境を作るためにはさまざまな要因がありますが、「オフィスの照明」もその重要なポイントの1つです。「なんとなくオフィスや休憩室が暗い」と感じたことはありませんか。今回は、「できあがったオフィスだけどなんとなく暗い」「手元だけは明るいけど全体的にオフィスが暗い」といった意見が従業員から出た際に、何が起きていてどのように解決するのかについて説明します。

オフィスの適切な照度(明るさ)とは?

オフィスにとって、照明は欠かせない設備ですが、単に明るければ良いというわけではありません。暗すぎれば、作業効率の低下や眼精疲労の進行、さらには職場の活力にも影響します。ここでは明るさを示す指標について解説します。

適切なオフィスの明るさは基準で定められている

オフィスを作る際に照明の増移設をすることはよくありますが、その際に用いられる指標が「照度」です。照度とは、光に照らされた面の明るさを示す指標で、単位はlx(ルクス)です。照度は光源からの距離によって変わります。たとえば「デスクで書類の文字が読みにくい」と感じた時は、照明器具自体の性能は高くても、デスク面における照度が低いのかもしれません。日本では労働安全衛生規則の「最低照度」と、JIS照明基準における「推奨照度」が定められています。
「最低照度」とは、労働者の安全と健康を確保するために事業者が守らなければならない基準です。「推奨照度」は、JIS規格によって目的別に定められたものです。

オフィスが暗い原因は「輝度」の不足

オフィスが暗い、と感じる原因は輝度の不足にあるかもしれません。輝度とは、人が感じる光の強さを示す指標で、単位はカンデラ(cd/m2)です。照明を増やせば輝度は上がりますが、それだけでなく、事務所内の大きな面、壁や柱、天井などを明るく見えるような工夫をすれば輝度は上がります。

これは、同じ照明を使っていても、壁が白い部屋と黒い部屋で感じる明るさが違うことと同じ理由です。そもそもオフィスが暗く感じる時、人は照明そのものを見て「暗い」と感じるのではありません。光が反射した床・壁・天井・家具などを見て、そう感じるのです。輝度不足を解消する具体的な方法は、後ほど解説します。

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オフィスの明るさが重要とされる理由

オフィスの設計をする際、照明器具の選定や配置には細心の注意を払います。ここでは、なぜオフィスの明るさが重視されているのかを詳しく説明します。

業務効率に影響を与える

多くの人が想像している以上に、人間の能力や身体のコンディションは、明るさに影響を受けます。極端な例を挙げますが、夜にロウソクだけでレポートを書く自分を想像してみてください。暗くて効率が悪いと感じるはずです。一方で、快晴の屋外で長時間、本を読めるでしょうか。おそらく、明るすぎて疲れてしまうはずです。このように明るさには適切なレベルがあり、暗すぎたり明るすぎたりすると、業務効率が低下するのです。

オフィスのイメージに影響する

事務所の目的によって、求められる明るさは変わります。来客用のエントランスを例にしましょう。活発で生き生きした印象を来訪者に与えたい場合、明るい照明をふんだんに取り入れることになります。一方で、リラクゼーションサロンのような落ち着きが求められるエントランスの場合は、あえて暗めの照明を選ぶでしょう。このように、明るさは表現したいイメージによって変える必要があるのです。

経費節減につながる

事務所の明るさに関して適切な知識をもっていれば、余計な照明を設置せずに済みます。そうすれば、照明器具の費用や電気料金の節減につながるでしょう。また近年は照明器具の省エネ性能が大きく向上しており、同じ性能でも省エネ性能の高いものを選ぶことで、さらなる経費の節減が行えます。

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オフィスの場所ごとに適した明るさとは?

先に説明したとおり、目的に応じて事務所の明るさは変えていく必要があります。そうすることで、事務所のパフォーマンスが最大化するからです。ここでは事務所の場所別に、適切な明るさについて解説します。

執務スペース:750〜1500lx

執務スペースにおける主な目的は、書類の作成です。文章作成やチェック、図面の作成などある程度細かい作業が求められます。JIS規格では、設計・製図・タイピング・計算・PC操作といった作業に求められる照度を750 lx以上としています。具体的な場所は、事務所、営業室、設計室、製図室などが挙げられます。なお、設計や製図のなかでも細かい文字や記号の判別が求められる場合は1,500 lx以上が必要になります。

会議室:500lx程度

執務スペースよりは暗めの方が、落ち着いて集中した会話がしやすくなります。しかし会議の目的によって、理想とする明るさは違ってくるかもしれません。たとえば、社内会議で活発な意見交換を促したい時は明るい方が良いかもしれません。一方で、応接室のように来訪者にくつろいでもらい、落ち着いた会話をしたい場所では、少し暗い方が良い場合もあります。目的に応じて柔軟に変えられる、調光式の照明器具を取り入れるのが良いかもしれません。

受付:500〜750lx

受付・エントランススペースの明るさは、企業が表現したいイメージによって多少変わりますが、500~750 lx が採用されることが多いです。来訪者が受付を訪れるまでに歩く経路に応じて、変えていく必要もあります。人にとって、明るさは相対的なものだからです。たとえば、屋外から入ってくる玄関ホールの場合、上記の照度では外と比べて暗い印象をもたれるかもしれません。一方で、暗めのロビーを経由してくる場合は、一般的な照度であってもまぶしく感じる可能性もあります。

休憩室:150lx程度

休憩室の目的は、利用者がリラックスすることです。執務スペースほどの明るさは必要ありません。一般的には150 lx程度が適切だとされています。蛍光灯やLED電球の白色系の光源よりも、オレンジや赤味がかった暖色系の光源が好まれます。また利用者の目に直接光が届かないように、間接照明をうまく活用してもいいでしょう。

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