「日経ニューオフィス賞」を受賞したコニカミノルタがデザインしたオフィス事例をまとめた一冊です。最新のトレンドが知りたい!新しいオフィスのアイデアが欲しい場合などにご活用ください。
こんにちは!プロモーション担当Esakiです。
いつ起こるかわからない震災の準備は常に考えておきたいもの。自宅の備えや家族の安否などはもちろん、働く時間として多くの時間を過ごすオフィスでの対策も気になるところです。今回は、2016年4月に発生した熊本地震を体験したコニカミノルタジャパンの熊本事業所の体験で、震災後に業務を続ける上で困ったことをお聞きしました。またそれをサポートする九州支店の対応など、サポートする側、受ける側の両面からお伝えします。
目次
必要な物資をすぐ支援してもらえる環境に助けられました
Q : 自己紹介をお願いいたします。
業務統括センター九州業務部 岩渕さん:九州エリアの各部門業務関係全般を対応しており、定期的な会議や都度相談や管理依頼等で本社と九州エリアのコミニケーションを図っています。
熊本事業所 上野さん:九州支店 第3営業部に所属しておりまして、南九州エリアを担当(熊本県、宮崎県、鹿児島県)しています。
Q:震災時の様子をおしえてください。
上野さん:本震の時、AM1:25頃でしたので私は自宅にいましたが、停電しスプリンクラーが発動して家の中が水浸しになりました。警報機も鳴っていました。直後は家の外の公園に避難しました。避難後に会社や会社のメンバーと連絡を取り合いました。やはり様々な連絡があるため、携帯電話を掛けることや受けることも多々あり、充電する場所が見つからず大変でした。翌日は休日だったので出社などはなかったのですが、基本的には各自の安否が最優先で移動手段や実家などの場所があれば熊本県外に避難するよう上司から勧められました。
Q:震災直後に苦労したことを教えてください
上野さん:まずは、メンバーの安否確認に苦労しました。事務所が損害を受けたので、しばらくは事務所を立ち入り禁止にしたため、拠点となる場所やインフラの確保が大変でした。取り急ぎは屋外や車の中を事務所代わりとなっていましたが、その後販売店さんの会議室をお借りできることとなり、机・椅子、ホワイトボードやFAX回線などを借りることができました。当時、交通機関としては高速道路は一部通行止め、新幹線やJRは一部ストップ、ガソリンスタンドには渋滞ができているような状況でした。社員はマイカー通勤の方もいましたので、各社員が自宅から販売店さんのオフィスまで往復できるように近くに駐車場を借りる必要があり、そこにも苦労しました。また、お客様対応としては複合機の保守対応のために必要な部品をどうやって確保しておくのかということが課題だったので、支店長のアイデアでデモカーに格納して、販売店さんの駐車場に止めさせて頂くことで対応していました。水や飲み物、食べ物、ペンやノート、下着などを購入するための現金がすぐに必要だったのですが、買える場所がなかったので、九州支店からの物資供給がとても助かりました。あとは、トイレには非常に苦労しました。水が流れないですし、コンビニもなかったので利用できるトイレを探すところに苦労していました。
Q:震災から少し日が経って状況は変わってきたのでしょうか
上野さん:日が経つにつれて、必要なものが変わってきました。震災直後は、水や食料、充電器や充電する場所など。その後はペンやメモ、その後はパソコンやインフラ、ホワイトボードなど複数人で共有する場所やツールが必要になってきます。ここでも継続的に九州支店や本社からの支援があって、スピーディーに必要なものを準備いただいていました。
現場最優先でスピーディに支援を行うことを心掛けていた
Q:支援するにあたって気を付けていたことを教えてください。
岩渕さん:現場の皆さんのストレスを助長させないためにも「スピード感」と、「現場最優先」を心掛けていました。東京の本社とは毎週テレビ会議を行っていました。熊本事業所が被災したため、日常使用する文房具類や業務上必要な備品等、いつでも購入できるよう10万円を支給し現場責任者判断(上野さん)で必要な物をいつでも購入出来るよう手配しました。ですので、必要なものは熊本の上野さんの方でどんどん購入していただきました。また、取り急ぎ必要となる支援物資(水、食料、下着、タオル、ガスコンロ、ガスボンベなど ※カップめんやレトルト食品を入手できても温める方法がありませんでした。)やお客様の保守対応に必要となる資材関連などを九州支店からお送りするようなこともしました。通常、稟議書等必要な案件も事後対応等とスピード感を持って社員の要望に応えられるよう対応を心掛けました。
震災後のオフィスリニューアルで防災備品を改めて見直し
Q: 熊本事業所は震災後にオフィスリニューアルをしましたが、震災を踏まえてオフィス環境で工夫した点を教えてください
上野さん:以前の事務所では、地震の際に書庫が転倒したので、新しい事務所は壁にビスを入れて倒れてこないようにしています。また、熊本事業所は土足禁止のため1階で靴を履き替える形になっていますが、靴を履きかえる時のベンチをレスキューボートを設置しています。
また、緊急時に情報が把握できないことがとても困ったので、事務所内はTVも見れるモニタを設置しました。その他、警備会社に直接つながる非常ボタンの設置やソファーの下に防災備蓄用のパックを、2階のキャビネットにヘルメットを保管するなどの対応をしています。
岩渕さん:しかしながら、事務所が被災することも視野に入れると備蓄品を車中に保管することも1つのアイデアと思います。また、保管場所は取り出しやすい場所、出入口に近い場所等置く場所も再検討する必要があるものと考えます。
「いざ」という時に本当に使えるかどうかを考えておくことが大事
Q みなさんの経験を踏まえて、震災対策のアドバイスがあれば教えてください
上野さん:
- 会社から安否確認アプリやサイト等が決められている場合には、いざって時に本当に使えるように携帯のお気に入り等に入れておくこと。
- 家族親族との連絡方法もあらためて決めておくこと。
- 携帯電話の充電器の確保は本当に苦労したので、電池式の充電器等を準備するなどの工夫を。
- 懐中電灯なども手元に置いておくこと。
- 自宅や事務所の非常口をあらかじめ確認しておくこと。
- 事務所や自宅の避難所を確認しておくこと。
- 緊急時にテレビ等などで情報を見れる環境を整えておくこと。
- 他の地域とも災害の対策を共有しておくこと。
どれもよく言われていることですし、みなさん頭の片隅にあることだと思いますが、実際は実行できていないことも多いと思います。そういったことを改めて見直していただけるとよいのではと思います。
「いつでもどこでも働ける環境」にしていたことが生かされた
Q:会社として強化したほうが良いと感じたことがあれば教えてください
上野さん:今回、人的応援や物資の応援が非常にスムーズで、細かい決裁を得ずに安全面を考慮して現場で判断させてもらえていたことは本当に助かりました。今後は、こういった事例をもっと拡散して多くの人に意識してもらえるような取組みが重要だと思っています。
岩渕さん:九州支店では、備蓄品リストを作って毎年棚卸を実施しておりますが下記について必要性を痛感しました。
- 保管場所へは案内表示をし、どこに何があるのか目視できますが、各事業所への展開を今後していきたい
- 総務部の協力のもと、保存水を多くして頂き、震災の際、事業所や同ビル内又は近隣への提供もできるよう今後も増大していきたい
- ポリタンクやガスボンベの売れ切りの状態が多く、会社に常備しておくことが必要
- 冬期の時期を考えると毛布や寝袋が必要
- ライトや乾電池、携帯充電器も必需品として必要
- 事務所の電子施錠対応や車両キー管理も気になる点です。(万が一対応策の検討)
今回の震災で事務所が被災したため入室の制限等を考えると紙に縛られない働き方の推進が防災対策に大きく寄与することを痛感しました。今後のBCP対策として紙文書削減、テレワークが重要な対策であることを更に訴えていきたいです。
いつ起こるかわからないからこそ、環境と働きかた両軸での準備を
普段安全に暮らしている時にはなかなか意識することが難しい震災の対策。だからこそ、こういった体験談はオフィス環境の見直しのいいきっかけとなります。また、今回の熊本地震では、支店との連携や紙に縛られないテレワークの取り組みなど、普段から行っていた「働きかた」や「コミュニケーション」がいざという時に生かされていました。働きかたとオフィス環境は常に表裏一体で影響し合っているものです。ぜひ両軸でどのようなことができるのか考えてみてはいかがでしょうか。
「日経ニューオフィス賞」を受賞したコニカミノルタがデザインしたオフィス事例をまとめた一冊です。最新のトレンドが知りたい!新しいオフィスのアイデアが欲しい場合などにご活用ください。