「日経ニューオフィス賞」を受賞したコニカミノルタがデザインしたオフィス事例をまとめた一冊です。最新のトレンドが知りたい!新しいオフィスのアイデアが欲しい場合などにご活用ください。
2010年代後半より盛んになった働き方改革の議論に加え、2020年からのコロナ禍の影響も重なり、オフィスの役割やあり方が大きく変わりつつあります。スタッフの就業スタイルの変化や働きやすさに合わせるために、オフィス移転をする企業も増えてきました。そこで、2021年に本社を移転した株式会社D2Cグループの担当者と、新オフィスで働くスタッフに、オフィス移転の目的や苦労話、実際に移転しての感想など、経験者にしか語れないリアルな体験談を語っていただきます。
#オフィス移転 #オフィスレイアウト #コミュニケーション活性化 #ゾーニング
座談会参加者
鈴木 達也 さん
株式会社D2C グループコーポレート本部 ITプラットフォーム部 部長
金 松愛 さん
株式会社D2C 経営企画本部 経営企画部 広報担当 チーフ
波多 美奈子 さん
株式会社D2C ID CXマネジメント本部 プロジェクトマネジメント1部 ディレクター
大植 光起 さん
株式会社D2C R 第二営業本部
目次
オフィス移転のタイミングでやってきたコロナ禍
全員出社を前提で新オフィスと契約した直後に……
ーー自己紹介と新オフィスとの関わりについてお話し下さい。
鈴木:D2Cは、2000年に株式会社NTTドコモ、株式会社電通、株式会社NTTアドの3社合弁で設立された、デジタル広告/マーケティング会社です。D2Cでは、NTTドコモのメディアを中心とした広告事業を展開しております。また広告代理店事業やクリエーティブ、マーケティング、インバウンドなど各領域ごとにグループ会社があり、D2Cグループを横断しデジタルを活用した総合的なマーケティングコミュニケーションを提供しています。
私はD2Cで情報システムを担当するITプラットフォーム部の部長職をしています。オフィス移転プロジェクトのリーダーとして、新オフィス構築から引越しまで担当しました。
金:D2C経営企画部で広報を担当しています。社外への広報活動はもちろん、グループのインナー広報にも力を入れています。新オフィス構築当時は、社員間のコミュニケーション活性化をはかる場としてのオフィスという部分でプロジェクトに関わりました。
大植:新卒3年目で、D2C Rで営業をしています。広告代理店業務をしているので、クライアントにオフィスに来ていただいたりもします。
波多:D2C ID プロジェクトマネジメント1部でディレクターをしています。中途入社で5年目になります。移転前の旧オフィスでも1年ほど働きました。今は、クライアントや協力会社に「新しいオフィスだから」ということでご来社いただき、会議室で打ち合わせをしたりしています。
ーー早速ですが、オフィス移転の目的や背景を、プロジェクトに関わっていたお二人からお聞かせ下さい。
鈴木:旧オフィスの退去期限が決まっており、2019年7月から本格的に不動産を探していました。11月にはこのビルに決まり、契約したのが2020年3月です。コロナ禍に入りかけた時だったので、まだビルの空室率がとても低くて空きがなく、賃料も高いという、おそらく一番困難な時期に契約をしました。
一方で、コロナ禍にはオフィスに出社しなくなることが見えていましたし、コロナ後を考えると社員が在宅ワークかオフィス出社かを選択するようになると想定できました。そこで、「オフィスになぜ来るんだろう」とオフィスに来る目的を紐解いていった結果、社員が行きたくなるオフィス、コミュニケーション活性化によって何かが生まれるオフィスを目指した構築プロジェクトが走り出しました。
ーー「全員出社」という前提が変わると、必要な広さも変わってきたのではないでしょうか。
鈴木:旧オフィスが1000坪だったので、数年先の需要を見越して1.5倍程度、1700坪の広さで借りました。前提が変わっても、すでに契約を結んでしまった後だったので、ここをどう使うか、という方向で考えました。
金:当時はコロナが半年で収束するのか、3年かかるかも全くわからない状態でした。出社制限もかかり人との接触も怖い時期ではありましたが、距離を取りながらもリアルにプロジェクトを進行しました。
ーーなかなか厳しいタイミングだったとは思いますが、全員出社を前提としたオフィスの間取りが決まる前で良かったかもしれませんね。
金:すべてが決まった後じゃなくて良かったと思います。
先が見えない中でどう決めるか 混乱の中で進んだオフィス移転
ーープロジェクトを進める上で苦労したことなどがあったらお聞かせ下さい。
鈴木:やはり、全員が出社するようになるのかならないのか、先が見えない中で何かを決めなくてはいけないことが難しかったですね。
金:東京オリンピックの延期にも影響を受けました。1年遅れの開催になったことで、オフィスの移転と被ってしまって。新オフィスは選手村と国立競技場の中間地点にあったので流通もストップするし、交通規制もあって、色々な混乱が一緒にやってきた感じでした。
鈴木:どうしようもないですが、困りごとと共に進んだプロジェクトでしたね。
金:引っ越しの作業も密を避けるために分散出社をお願いし、みんなの協力があって、なんとかうまく進めることができました。