2021年5月に本社オフィスをリニューアルしたコニカミノルタが考えるニューノーマルな働き方を実際のオフィスの様子と共にご紹介しております。これからの働き方や働く場所のご参考に、ぜひご覧ください。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、多くの企業がオフィスのレイアウトの見直しを検討しています。これまでとは異なる視点からオフィスづくりをしていくうえで、意外と見逃されがちなのが来客スペースです。ニューノーマルが浸透し、リアル商談が減っている今、従来型の来客スペースではムダや感染対策の不安が生じます。ここではウィズコロナ・アフターコロナを見据えた来客スペースの在り方を中心に、新しいオフィスレイアウトについて解説していきます。
目次
オフィスを取り巻く現状
「ビジネス街の一等地に広々としたオフィスを構える」のが理想的とされたオフィスの在り方が、大きく変わろうとしています。最初に現在のオフィスを取り巻く状況を見ていきましょう。
コロナ禍により来客数が激減
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、社会全体で外出や訪問を控えることを余儀なくされました。1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4〜5月ごろには、社員の出社人数を減らすことが推奨されたと同時に訪問客数もおのずと減少。なかには来客数が8割以上減ったとする企業も見られました。今回のコロナ禍を通じて、これまでのオフィスに求められた要件と、その果たす役割に変化が生じました。
国によって進められてきた働き方改革と、コロナ禍のテレワーク実施によって得られた気づきにより、アフターコロナのときを迎えてもテレワーク推進の傾向は継続すると考えられます。実際に今後の働き方として、オフィス出社とテレワークのハイブリッド型を考える経営者が7割以上です。
オフィス自体をなくすということではなく、テレワークと出社の併用によって在席数を減らし、オフィス面積のダウンサイジングを図る傾向が強くなると見られます。サテライトオフィスを設置するといった施策を含めて、これまでとは異なるオフィスサイズやレイアウトへの考え方を検討する必要がありそうです。
営業・商談に求められる変化
ビジネス上の外部との応対についても、変化が求められています。新型コロナウイルス感染症拡大により、営業や商談も非対面で行うのが好ましいとされています。ニューノーマルの対外活動として、リアル商談に代えてオンライン商談を利用するケースも一般的になってきました。
今後は、オンラインとオフラインいずれの商談にも対応できる機能を備えたオフィスレイアウトや、来客スペースを考えていかなければなりません。
ニューノーマル時代のオフィスレイアウト
ビジネス環境が激変するなかで、オフィスレイアウトを考える際のポイントを確認しておきましょう。
席の稼働率と必要なスペース
オフィスの効率化を図るうえでは、テレワーク併用を想定した席数を配置していく必要があります。業務内容によってABW(アクティビティベースドワークプレイス)や完全フリーアドレス制が良いのか、一部固定制を残すべきなのか判断が分かれます。出社のスケジュールから過不足のない数を確認し、最も稼働率を上げられる座席数を算定していくことが大切です。
さらに各スペースの広さを検討する際にはソーシャルディスタンスに配慮したデスク配置、出席人数の変化に伴う会議室の規模など、現状に即した設計が求められます。
コニカミノルタでは、出社率や稼働率、環境に色が与える心理的効果など様々なデータを元にロジカルにレイアウトをデザインしています。
社員の福利厚生に配慮
オフィス全体の規模を縮小するときでも、社員の働きやすさや快適さが犠牲にならないことが大前提です。フリーアドレス制の導入に伴い、収納スペースや個人ロッカーなどの設備を再検討してみる必要があるかもしれません。
業務の合間にくつろげる社内カフェやリフレッシュルーム、清潔で落ち着けるパウダールームなど、社員にとって居心地の良いオフィスづくりを目指します。業務内容や社員の層によっては、シャワー室や仮眠室設置などの要望が出るかもしれません。社員の意見を随時聞き取り、柔軟に変更を検討する組織体制であることも大切です。
密を避ける動線計画
入口・出口の分離など動線計画上で密になる機会を減らし、感染防止対策を徹底していきます。来客スペースの配置に当たっては、案内する場合を想定した通り道となるラインから検討します。
担当以外の社内スタッフとなるべく接触しないよう、距離を置ける工夫が求められます。
フレキシブルなレイアウト
オフィス面積を最大限に活用するためには、状況に合わせて変更が加えられるような柔軟性を持たせておきます。固定した壁で区切るのではなく、可動式間仕切りで各スペースを分離するといった方法も検討してみましょう。さらに流用可能な多目的スペースを設けておけば、一時的に出社人数が増えた場合でも対応が容易です。
ミーティングスペース
ミーティングスペースについては、コミュニケーションの取りやすさと感染防止対策を両立していかなければなりません。アクリル板の活用、座席の向きや空席の配置など、十分な感染防止対策を施しながら、自由闊達(かったつ)なコミュニケーションが可能となる空間づくりを目指します。
クローズド型からオープン型の会議室に変更する、あえて場所を決めずに多目的スペースを活用する、業務スペースサイドに話し合いのコーナーをいくつか置くなど、自社オフィスなりのスタイルを探してみるとよいでしょう。
新しいオフィススタイルの来客スペース
社員在籍率、来客数が減少しオフィスが縮小傾向にあるなか、新しい来客スペースづくりにおいて留意する点を解説します。
来客スペースの最適化を考える
オフィス全体の見直しを図るに当たり、既存の来客スペースが適切であるかを検討し、そこから今後の在り方を探ります。オフィス規模・機能に対して来客スペースの広さや個数は適当かを確認して、現在来客スペースを設けている場所での問題点、収容人数などを分析し、新しいオフィススタイルにマッチしているか検討します。
また、どのような来客に対して使用するかといった運用方法もあわせて検討して、オープンもしくはクローズド、いずれの形式が良いのかを考えてみましょう。
検討に当たっては、来客スペースとして常時固定した場所の確保が必要なのかという点から見直すことも大切です。新しい形として、Web会議を活用したオンライン商談で、打ち合わせと並行して営業・商談活動が行われることを想定し、モニタやマイクなどのツール類の導入も考慮に入れる必要があります。
クローズドかオープンかの選択
来客スペースの形状をクローズドにするのかオープンにするのかによって、設置場所や必要となるスペースが変わります。いずれの形式を選ぶにしても、業務や商談に支障がないことが重要であり、外部への機密情報の漏えい防止、業務内容の拡散防止など、セキュリティーに配慮された来客スペースでなくてはなりません。
また、来訪者との会談における機密性の確保にも留意します。必要に応じてクローズされた空間を作る、社内ではなく社外の施設を利用するといった手段も視野に入れて検討していきます。
来客用スペース運用のポイント
新型コロナウイルス感染症拡大の収束の見通しが立たない状況下では、来客スペースの運用も感染防止に即したものにしなければなりません。オンライン活用を併用し、来客数を最少人数にとどめるための事前措置、例えば、対面の必要性を検討し、オンラインでの打ち合わせや商談でも十分な意思疎通が図れる環境を整えます。また、自社のこうした取り組みを、取引先や顧客に対して告知しておくことも必要です。このようにリアルな対面を減らせれば、来客用スペースを必要最低限に縮小して対応できます。
一方、来訪者に対してはオフィス内での感染防止対策の掲示を行い、感染症についての姿勢を周知します。
アルコール消毒液やマスクを常備し、来訪者にも協力を求めましょう。来客スペース使用後は、必ず応対した社員が責任を持って消毒剤で清拭するようにルールを定めます。
レイアウトにより社内動線を決定するほか、パーティションやビニールカーテンで誘導経路を設置。ドアの開閉は社内の人間が行い、都度手指のアルコール消毒に努めます。
社外の人間との接触者を極力少なくするために、受付システムを導入するという方法も考えられます。
まとめ:オフィスデザインの決め手は自社の事情にマッチすること
コロナ禍を経て、オフィスへの考え方は急激に変化しています。オフィススペースの何割かを接客用に充てるといった固定概念は、すでに時代に合いません。打ち合わせや営業の多くがオンラインで行われる今、オフィス面積を有効利用するためには、来客スペースの見直しが求められます。一方、来客スペースは、企業の発信の場でもあります。エントランスや来客が通る動線、接客用の部屋などは企業文化、ビジョン、思いなどを対外的に発信する意味合いがあることにも留意したいものです。来客スペースは使用する頻度や話し合われる内容などによっても必要とする機能が異なります。自社の事情に最もマッチするオフィスづくりをしていくためにも、来客スペースに必要な機能、役割を分析し、その在り方を再検討してみてはいかがでしょうか。
コニカミノルタジャパンでは、来客スペースの見直しや最適化も含め、お客様の理想に合ったオフィスデザインをご提案しております。自社のオフィス計画で悩んだときには、ぜひお気軽にご相談ください。
2021年5月に本社オフィスをリニューアルしたコニカミノルタが考えるニューノーマルな働き方を実際のオフィスの様子と共にご紹介しております。これからの働き方や働く場所のご参考に、ぜひご覧ください。