テレワークの導入が進み、「オフィスを縮小したい」「オフィスコストを削減したい」というニーズが高まっています。しかしながら、オフィスコストの削減をやみくもに行ってしまうと、大きな削減効果が得られなかったり、ビジネスが非効率になってしまったりするなど、かえって問題につながる可能性があります。では、ビジネスの効率や生産性を落とさず、オフィスコストを削減するために企業が行うべきこととはどのようなことでしょうか?今回はオフィスコスト削減における注意点と削減案を解説します。
目次
オフィスコストのなかで削減対象となり得る費用とは
まず、オフィスコストの削減を検討する際に対象となり得る項目をご紹介しましょう。
家賃(テナント料)・・・家賃=賃料+共益費
テナント料は、ビルオーナーや管理会社との契約によりますが、一般的には、専有面積×坪単価(賃料+共益費)で決定されます。専有部分とは、エントランスや共用の廊下、エレベーターなどの共用部分を除いたテナントが専有可能なエリアを指します。
なお、テナント料は以下の2つで大きく変動します。
- 立地(最寄り駅の規模や利便性、駅からの距離)
- 建物(ビルのグレード、設備・機能、耐震性、喫煙スペースや休憩スペースの有無など)
光熱費・・・電気代、水道代など
光熱費の算出方法は、ビルオーナーとの契約によって異なりますが、基本料金についてはビルの総面積における占有面積の按分、使用量についてはビルオーナーや管理会社がメーターを管理して月ごとに使用量を計算、といった形で算出しているケースが多いでしょう。
ただし、共用部の電気料金をどのように負担するべきかというような、ケースバイケースな部分も少なくありません。
ITコスト・通信費
IT機器や通信機器を使用する環境を整えるために、以下の項目で費用がかかります。
- インターネット環境のコスト
- 電話回線の使用料
- ネットワークカメラ
通信費は、基本的には直接通信会社と契約をして月々の基本料金や使用料を支払う形式をとります。プロバイダーや通信業者によって基本料金や利用単価が異なり、通信会社を変更することでコスト削減できることもあります。ただし、通信会社変更には工事が必要な場合があり、一般的にはビルオーナーにビル工事の許可を得なくてはなりません。
レイアウトコスト
オフィスのレイアウトコストとは、オフィス移転時や社内のレイアウト変更をする際に発生するコストのことです。具体的な項目は以下のとおりです。
- 内装費用
- 電話工事費
- インターネット回線工事費
- 電気設備工事費
- 諸経費(デスクやパーテーション、書棚などの購入費用など)
コスト削減のためのスモールオフィス化といったことを目指す場合には、支出要因としてレイアウトコストが発生する可能性が高いです。したがって、オフィス移転や縮小の費用対効果を考える際には必ず押さえておきたいポイントです。
経費効率を高めるためのオフィスコストの削減案
経費効率を高めるためにオフィスコストを削減する方法はいくつかあります。具体的なオフィスコスト削減案のポイントを見ていきましょう。
出社人数の低減
出社する人数を低減することで、オフィスに必要なスペースを抑えることができ、賃料や光熱費、社員の交通費を削減する効果が期待できます。出社人数の低減と業務効率の維持・向上を両立させるためには、テレワークや在宅勤務、アウトソーシングの活用などの手法があります。
ペーパーレス化
紙媒体資料・書類のデジタル化を推進することにより、紙資源や保管スペース、印刷・コピー代のコスト削減を実現できます。さらに、紙媒体でこれまで行ってきた稟議(りんぎ)・決裁などの手続きをオンライン化すると、決裁者・責任者に直接書類を手渡ししなくてもすむようになるため、業務効率化を図ることができます。
PC・電話の無線化
PCや電話回線を無線化することにより、場所にとらわれずにデジタル機器を使用できるようになります。その結果、配線工事の手間・負担が大きく軽減されるため、社内のフリーアドレス化や将来的なレイアウトコストの削減が見込めます。
クラウドサービスの活用
クラウドサービスを導入することにより、サーバーやソフトウエアを自社で購入・維持・管理するコストを低減できます。さらに、テレワークの推進にもクラウドサービスは効果的です。なぜなら、クラウド技術を土台としたコミュニケーションアプリやストレージサービスなどを導入することで、テレワーカーが社外からでも企業の情報にアクセスし、情報を閲覧したり更新したりすることができるようになるためです。
ただし、クラウドサービスを活用する際には、セキュリティーリスクについて注意することが重要です。対策を取らなかった場合、IDとパスワードさえ分かれば誰でも社内の重要な情報にアクセスできるようになります。アクセス権限の設定・厳重なパスワード管理・社員の教育など、セキュリティー面の十分な配慮が必要です。
オフィスの縮小移転
オフィスの縮小移転にはテナントの敷金・礼金や引っ越しに伴う費用を始めとした初期コストがかかります。しかし、中・長期的に見てテナント賃料が削減できるといった効果が見込めるときにはオフィスの縮小移転も選択肢のひとつになります。テレワークの導入により出社人数を低減できれば、必要な規模に見合った事務所で業務を遂行できるようになるためです。郊外や駅からの距離が少し離れた個所などオフィスの立地によっては、さらに大きなコスト削減が見込める場合もあります。
オフィスコスト削減における注意点
オフィスコストの削減に重きを置きすぎて業務効率が悪化してしまうことがあります。オフィスコストの削減は、あくまでも費用対効果を重視して考えるべきであることを認識しておかねばなりません。
ここでは、オフィスコスト削減における注意点について解説します。
ビジネス戦略を明確にする
コスト削減だけではなく、企業成長のための再投資を踏まえてビジネス戦略を明確にする必要があります。そうすることで戦略の優先度、組織の再構築、新たな業務運営手法などを具体的にイメージすることができます。
現状の洗い出しを行う
成長のためには将来をイメージした長期的な視点が必要ですが、同時に現在の状況や課題についても明らかにする必要があります。そして、不足しているポイントについては、ツールの導入を早急に対策が必要になることもあります。そのために、現場の社員に幅広く意見を求めることも重要です。
変革すべきポイントを明確にする
現状の課題から、変革が必要なポイントを明確にします。関連部門に課題や変革ニーズについてインタビューしたり、理想の働き方についてワークショップを行ったりすることで、変革すべきポイントを具体化することができます。
方向性が明確になったら、シミュレーションを行ったうえで、オフィスの改善のために必要なサービスの選定やルールの設定などに取り組みます。ポイントは、単純にコストのみで判断せず上記のような検討を踏まえて今後の自社に合った働き方やコミュニケーションの在り方、それに伴い必要となるICTツールなどの投資も含めて「最適な」コストを見つけていくことです。
オフィスコストを見直しして最適化しよう
賃料・光熱費・通信費・オフィスレイアウト費などのオフィスコストに関しては、見直しをして最適化をすることができます。ただし、単にコスト削減だけを目指してしまうと、ビジネスに悪影響を及ぼしてしまう可能性がありますので、ビジネス戦略や自社が抱える課題、変革すべきポイントをクリアにしたうえで、適切な目標を設定しましょう。
コニカミノルタでは、オフィスコストの最適化に関するシミュレーションを行っています。テレワークやフリーアドレスの導入を前提としたフロアの縮小を行うことで、ケースによっては現状の1/2のオフィスコストのシミュレーションも可能です。働き方のお悩みやテレワーク導入支援なども含めてご相談可能ですので、withコロナ、afterコロナを意識した業務の最適化を検討中であれば、ぜひ気軽にお問い合わせください。
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