フリーアドレス導入を成功させるために!
課題の解決策と参考にしたい事例を紹介


見失いがちな“目的”から考える!フリーアドレス導入マニュアル

フリーアドレスの目的から導入手順のほか、“全員でのフリーアドレスは難しい” という場合の選択肢、導入後の課題と解決策までまるっとご紹介!オフィス改善のヒントに、ぜひご覧ください。

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国が提唱する働き方改革にあわせ、職場環境の見直しが図られています。より働きやすく、業務効率のよい職場をめざし、それぞれに工夫を凝らしたオフィスづくりを実施する企業が多く見られるようになりました。社員のデスクを固定しないフリーアドレスも、そのひとつ。画一的にデスクの並んだ無機質な空間を、自由度の高いレイアウト可能なオフィスへと変えることで、コミュニケーションの円滑化や省スペースといった効果が期待できます。ここでは、フリーアドレスの目的と課題を解説しながら、導入企業の事例を紹介していきます。

フリーアドレスを導入する目的

手を合わせるイメージ図

フリーアドレスを導入している企業は、柔軟性や進取の気性があるといったイメージがもたれます。実際に、企業がフリーアドレス導入に踏みきる目的にはどのようなものがあるのでしょうか。

省スペース化

固定席を置いていても活用頻度が少ない会社では、省スペース化を目的としたフリーアドレス導入の実施が見られます。リモートワークのような多様な働き方を推進している企業では、出社する社員の人数が減るため、固定席が不合理となります。また、営業職や出向社員が多い業態であれば座席数は最小限でまかなえるため、固定席は必要になりません。座席数を減らすことによって空いたスペースを有効活用でき、場合によってはオフィスの縮小化でコストダウンにつながる可能性もあります。

柔軟なチーム編成を実現

固定席が決められていなければ、プロジェクトごとの人員の入れ替えが容易になります。必要な人員が、そのときどきの状況にあわせて集散できるようになるでしょう。部署やチームの垣根を越えた、コラボレーションの促進にも役立ちます。

コミュニケーションの活性化

固定席と違い、隣り同士になる人が毎日変わることで、顔見知りが増えていきます。人とのつながりが固定されなくなり、多様な関わり方の拡大が期待できます。これまで接点のなかった社員同士が会話をする機会が増え、社内コミュニケーションの活性化にもつながります。

ペーパーレス化の促進

フリーアドレスのデスクは一般的なサイドキャビネット付きのデスクとは異なり、書類の収納場所がありません。そのため、紙媒体の印刷物の保有を最小限にする必要があります。必要な情報は印刷して保管するのではなく、データで保存する習慣へと変わっていくでしょう。紙媒体での配布から、データ化による情報共有が促進されることとなります。

参考記事

フリーアドレスのよくある課題や解決策

悩む人のイメージ図

新しい働く形として注目されるフリーアドレスですが、十分な検討なしに導入して失敗するというケースも少なくありません。フリーアドレスによくある課題と解決策を見ていきましょう。

所在が不明になることによる混乱

席が固定されていれば誰がどこにいるのかひと目でわかりますが、フリーアドレスの場合にはその日の座席がわからず、在籍が確認しにくいというデメリットがあります。社員の居場所が不明では、招集や取次がスムーズにできません。解決方法としては、着席した後にIDを入れると画面に社員の位置が表示される座席管理ツールの導入や、社内携帯電話の利用があげられます。また、スカイプといったオンラインコミュニケーションを常にオンにしておく、予定は必ず予定表に記載しておくなどの運用ルールの取り決めも重要です。
また、総務担当者にとっては郵便物の配布も悩ましい問題となります。部署毎に郵便受けを用意したり、個人のロッカーを郵便物を入れることができるものにするなどの工夫をするとよいでしょう。社内にいる社員の位置情報が確認できるアプリ等も開発されており、社員が「行方不明」になるのを回避する方策はすでに提供されています。このような技術を活用することで、所在が不明で業務が進まないといった混乱を避けられます。

収納場所がなく乱雑になる

書類の置き場所や個人の荷物の置き場がないために、オフィス全体が乱雑になってしまう可能性もあります。これを防ぐためには、導入前の収納計画や書類管理法の見直しが求められます。収納に関しては、そもそもの個人の物量を減らしていく対応と併せて個人ロッカーやロッカーに入りきらないものを収納するスペースの整備、クロークの設置など物理面での準備が必要です。また、クラウド上でデータ管理システムや情報共有インフラの整備を行い、書類を最小限に抑え、ペーパーレス化を推進します。印刷した紙文書を使い終えた後は、データ化して廃棄するという習慣づけも大切になるでしょう。

座席が固定化する

フリーアドレスを導入しても、社員に「お気に入り」の席ができてしまう傾向は避けられないものです。なんとなく居心地のよい席というのは誰にでもあります。座席選択の自由が、逆に好きな固定席を決めてしまうということにもなりかねません。席の固定化を防ぐには、タイプ別の座席を設けるという方法があります。業務に集中しやすい席、複数人で共同作業できる席、気軽に移動しやすい席など複数タイプの座席をつくり、必要に応じて選択できるようにするとよいでしょう。
また、席を固定しないというルールを徹底したり、くじ引きで席を決める曜日をつくったり、乱数的に座席を決めるシステムを整備したりと、強制的に座席の移動を促す方法も考えられます。固定化を避けるためには、帰るときに私物を置かないなどのルールの徹底も大切です。

帰属意識の喪失

同じ場所で仕事をしていれば会社への帰属意識が養われるわけではありませんが、自分の場所がいつも同じところにあることは、社員であるという意識の拠(よ)り所になります。フリーアドレスで毎日自由な席で仕事をするうちに、社員としてのアイデンティティが薄れると感じる人もいるかもしれません。そのようなデメリットに対しては、個人ロッカーにネームプレートや写真を入れることよって所属感を高めるという対策が考えられます。また、座席が固定されていたときよりもマネジメントを強化し、TOPメッセージの発信や部門ごとのこまめな声かけ、やミーティングの活用などによって、社員の方向性を統一できるような工夫をしていく必要があるでしょう。

業務に集中できない

集中ブースのイメージ

自席が決められていないと、どうも落ち着いて業務に集中できないといった声も聞かれます。そのような場合には、すべての座席をオープンに配置するのではなく、パーティションスペース、ブース型デスクの設置などを検討してみるとよいでしょう。周囲の話し声が気になる場合、簡易ミーティングスペースをいくつか設け、自席での会話は最小限にとどめるよう促していきます。

フリーアドレスの事例紹介

フリーアドレスオフィスのイメージ図

実際にフリーアドレスを導入し、業務効率向上に成功している事例を紹介しましょう。また、企業の中にはオフィス見学ツアーを行っているところもあります。見た目だけではなく、運用方法なども知ることができるためおススメです。

コニカミノルタ東京 浜松町オフィス

コニカミノルタ浜松町オフィスの写真

2014年の移転を契機に、250名を収容するオープンオフィスとしました。あえて斜めのジグザグに配置したフリーアドレス制の座席は上座下座がありません。また、コミュニケーションを活性化させるねらいであえて遠回りになる動線となっています。窓際に用意された「ファミレス席」は予約なしで使うことができ、打ち合わせスペースに困ることがありません。リフレッシュの場として利用できるカフェスペースも設けています。

オフィス見学ツアーのバナー

コニカミノルタ大阪オフィス

コニカミノルタ大阪オフィス

大阪オフィスは2018年にリニューアル。集中ゾーンとフリーアドレスのコラボスペースをエリア分けするなど、業務をスムーズにこなせるよう配慮されています。座席のある空間は落ち着いた色調で統一されており、オープンなミーティングスペースは明るく和やかなイメージとなっています。

参考記事

ネットイヤーグループ株式会社

ネットイヤーグループ様オフィス

約130坪の広大なフロアには、カラフルなチェアがアクセントになったフリーアドレスのスペースが設けられています。床面のカラーで仕事エリアと休憩エリアをゆるく区分けし、視界が分断されるのを最小限にとどめています。業務エリアの周囲には卓球台やリクライニングシートを配し、仕事の効率向上と同時にコミュニケーション、リラックスタイムの提供を実現しています。

参考ページ

コミュニケーションを活性化し、メリハリのある仕事環境へ 【ネットイヤーグループ株式会社 様 オフィスリニューアル事例】

まとめ

フリーアドレスは現代のビジネスシーンに合う、柔軟性の高いオフィス形態です。導入を成功させるためには、社員の十分な理解と明確なルール設定をすることが重要です。満足度の高いオフィスを実現させるためには、成功している事例や一般的に見られる課題を参考にして自社の状況と照らし合わせ、独自のフリーアドレススタイルを検討していく必要があるといえるでしょう。

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