PMの基本的な流れ

ここからは、PMが担う業務を流れに沿って順に見ていきましょう。オフィス移転全体の流れを把握し、俯瞰的な視点に立ってプロジェクトを管理していくことが大切です。
1. 移転目的を明確に定める
はじめに、オフィス移転の目的を明確化します。目的によって求められるレイアウトやオフィスの機能性が大きく異なるケースも少なくないため、目的を曖昧にしないことは非常に重要なポイントです。
たとえば、企業ブランディングの強化がオフィス移転の主目的の場合、とくに重視すべき点は新オフィスの立地や周辺環境でしょう。反対にコスト削減が主目的であれば、少しでも賃料を抑えられるよう現状よりもコンパクトなオフィスにしなくてはなりません。ブランディング強化とコスト削減のように相反する目的が混在することのないよう、移転目的をしっかりと定めておくことが大切です。
2. 課題の調査・分析を行う
次に、現オフィスが抱えている課題の調査・分析を行います。移転目的と関わりの深い要素を中心に、新オフィスで解消するべき課題を絞り込んでいきましょう。
客観的な視点で課題を抽出していくのも1つの方法ですが、日々オフィスを利用している社員の意見を取り入れることも重要です。社内アンケート調査などを実施し、社員が新オフィスに何を望んでいるのかを調査しておくことをおすすめします。また、センサーによる計測でオフィス内の人流を把握し、動線の問題などを抽出するのも効果的な分析方法の1つです。
3. オフィス移転計画を策定する
解決したい課題を整理した上で、オフィスの移転計画を策定します。下記は、移転計画に盛り込むべき主な事項です。
【オフィス移転計画の主な記載事項】
- オフィスレイアウト
- 内装工事や設備工事の手配・実施
- 引っ越し業者の手配
- 現オフィスの解約手続きと原状回復工事の手配・実施
- 荷物を梱包・搬出/搬入する際の段取り
- 移転後の各種届出・手続き関係
このように多種多様な手配や作業が同時並行で進行することになるため、無理のないスケジュールを作成しておく必要があります。想定外の事態が発生した場合のことも考慮して、できるだけ余裕をもたせた移転計画を策定することが大切です。
4. 各種手続きを進める
オフィス移転の前後には、行政機関などへの届出が必要になります。届出先と必要書類、提出期限をリストアップした上で、遅滞なく手続きを進めていくことが重要です。各機関に届出が必要な書類として、下表のものが挙げられます。
【各機関への届出一覧】
機関名 | 提出書類 | 期日 |
---|---|---|
1. 郵便局 | ・転居届 | 移転1週間前 |
2. 消防署 | ・防火・防災管理者選任(解任)届出書 ・消防計画作成(変更)届出書 (いずれも50人以上の従業員が在籍する場合) ・防火対象物工事等計画届出書(造作工事を実施する場合) | 移転または 工事開始の7日前 |
3. 法務局 | ・本店移転登記申請書 ・支店移転登記申請書 | 本店:2週間以内 支店:3週間以内 |
4. 税務署 | ・異動事項に関する届出 | 変更すみやかに |
5. 年金事務所 | ・健康保険・厚生年金保険適用事業所所在地・名称変更(訂正)届 | 移転後5日以内 |
6. 労働基準監督署 | ・労働保険名称、所在地変更届 | 移転後10日以内 |
7. ハローワーク | ・雇用保険事業主事業所各種変更届 | 移転後10日以内 |
5. 原状回復工事を手配する
退去日が決定し次第、現オフィスの原状回復工事を手配します。委託先の事業者を選定し、見積もりを依頼した上で、工事費用や工事期間の交渉を進めましょう。
物件によっては、オーナーや管理会社側が内装工事業者を指定している場合があります。オフィスの解約通知をする際には、原状回復工事の指定業者の有無も確認しておくのが得策です。着工までに荷物を搬出しておく必要があるため、引っ越し業者との日程調整や荷物の梱包・搬出についても計画的に進めていく必要があります。
6. オフィス移転後の評価を行う
オフィス移転が完了したら、移転後の評価を行います。移転によって当初の目的が達成できたか、目指していた効果が得られたか、といった点を調査し、将来的に再度オフィス移転をする際の資料として保管しておくのが得策です。
また、移転の工程に関する反省点もまとめておくことをおすすめします。事前に立てた計画と実績との差異を確認し、遅延やトラブルが発生した工程については原因分析を行っておくことが重要です。
オフィス移転のPMを専門業者に委託するメリット

オフィス移転のPMには、多岐にわたる専門的な知見が求められます。オフィス移転は通常あまり頻繁に実施するものではないため、こうした知見が十分に蓄積されていないケースも少なくありません。そのような場合、オフィス移転のPMを専門業者に委託するのも1つの方法です。オフィス移転を専門業者に委託する主なメリットについて見ていきましょう。
窓口を一本化し、業務負担を軽減できる
オフィス移転のPMを外部委託することにより、窓口を一本化できます。さまざまな事業者とのやり取りや、社内の問い合わせを社内担当者が一手に引き受けた場合、大きな負担となりかねません。通常業務と移転プロジェクトを兼任するケースが多いと考えられるため、通常業務に必要なリソースが圧迫されることのないよう対策を講じる必要があるでしょう。
専門業者に委託できる業務の例として、下記のものが挙げられます。
- ヒアリングによるオフィス移転の目的の明確化
- オフィス移転計画の策定
- オフィスデザインの作成・提案
- 原状回復工事の手配
- 新オフィスの内装工事の手配
- 電気工事や回線工事の手配
- 引っ越し業者の手配
- オフィス家具の手配
適切なコストとスケジュールで移転を進められる
移転の目的やオフィスの規模に応じて、最適なプランを提案してもらえることも大きなメリットです。オフィス移転には相応のコストがかかりますが、自社が想定している移転の目的やオフィスの規模に対して、コストが適正かどうかを見極めるのは容易ではありません。また、各タスクに要する期間を適切に判断した上で、移転計画に反映させるには専門的な知見が不可欠です。専門業者の知見を活用することにより、自社にとって適切なコストとスケジュールを判断し、移転のプランを提案してもらいたい場合には、オフィス移転のPMを外部委託することをおすすめします。
移転に伴う不安を解消できる
オフィス移転にはさまざまな不安がつきものです。環境が大きく変わることによって不都合が生じないか、各種手配や届出は漏れや遅滞なく進められるか、施工業者や引っ越し業者の選定や手配はスムーズに進むかといった不安は、担当者にとって少なからずストレスとなりかねません。
オフィス移転をサポートしてきた実績や経験の豊富な事業者に依頼することで、プロの知見を活用できます。移転プロジェクト全体の統括に適任と思われる人材が社内にいない場合や、移転プロジェクトを総合的に管理することに不安を感じる場合には、オフィス移転のPMを専門業者に委託してみてはいかがでしょうか。
オフィス移転のPMはコニカミノルタジャパンにお任せください

オフィス移転のPMは、移転プロジェクトを円滑に進め、新オフィスでの業務を予定どおり開始する上で非常に重要な役割といえます。適切な移転計画を策定し、多岐にわたるタスクを管理するには幅広い知見が求められるのが実情です。オフィス移転のPMを専門業者に委託することで、こうした課題を解決するのも1つの考え方といえます。
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