IoTとは?DX実現にも役立つIoTの基本情報と事例を紹介
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IoTという言葉が、社会のあちらこちらで聞かれるようになりました。身近にある全てのモノがインターネットにつながるという夢のような技術ですが、すでに産業分野では技術活用が進み、成果を上げています。
今回はIoTの基本的な情報を確認しながら、その仕組みと活用状況、具体的な事例を紹介していきます。
INDEX
IoTとは
はじめにIoTの概要とその活用、仕組みについて見ていきましょう。
IoTの概要とDXとの違い
IoTとは “Internet of Things” の略で「モノのインターネット」という意味です。モノがインターネット経由で通信することにより、社会の利便性を向上させる役割を果たします。
すでに社会の中には数多くのIoT製品が浸透しており、テレビ、デジタルカメラ、デジタルレコーダー、スマートスピーカー、さらに冷蔵庫や電子レンジなどの家電まで通信機能を搭載。ネット上の情報を収集し、多彩な機能を提供するために活用されるようになってきました。
また、各分野ではセンサー付きのIoT製品の開発が進み、離れた場所からリアルタイムで状況を知るために、あるいは操作をするために利用されています。
以前から機械同士の通信であるM2M(Machine to Machine)といった、機械間だけで使われる技術は知られていましたが、IoTは「モノとモノ」の通信からさらに「人へ」データを受け渡すまでの、より広い概念となっています。
一方、このところよく耳にするDXとは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することを指します。
DXとIoTは異なるものではあるものの、無関係ではなく、IoTはDXを実現する手段の一つだとも言えるのです。
IoTでできること
IoTを活用してできることは今後ますます増えていくと考えられますが、現時点では主に以下のような機能があります。
■離れた場所からモノを操作する
エアコン、照明、浴室の制御を、スマートフォンやモバイル機器を通じて行うことができます。帰宅途中で電源を入れておけば、明るく快適な室内が迎えてくれます。
■センサーにより状態を知る
位置、開閉状況、衝撃、振動、傾斜、転倒、落下、移動、その他の状況を知ることができます。輸送中や稼働している工場内の物品の状態を監視する、出かける際に家中の窓・ドアの施錠を確認するといった利用が可能です。
■モノ同士でデータ送受信を行う
モノ同士が通信することで、自動的に制御が可能です。例えば自動運転車と信号が通信し合えば、速度調整が行われて、自動運転車が最適な速度を維持できるようになります。実用化されているものでは、工場内の自動ピックアップシステムや配送仕分けなどがあります。
IoTの仕組み
IoTを実現している要素は主に以下の3つです。
・通信:デバイスとコンピューター、コンピューター同士をネットワーク上につなげる役割を果たす
・状態を取得する機能:カメラ・センサーがバーコードを読み取り情報を取得する
・ネットワーク上のデータ保存:クラウドストレージに情報を収集・格納する
このような仕組みを持つIoTの活用によって、センサーやカメラなどで取得される情報以外にインターネット上の情報も活用し、情報処理のための材料として蓄積させます。それらの集められたデータを分析して、有効な情報としてモノに共有することで、モノを利用する人に対して新しくて有用なサービスを提供することができます。
IoTの現状
総務省の調べによると、「IoT・AIなどのシステム・サービス」の導入企業と導入予定企業の割合は、2019年の時点で合わせて約2割となっています。そして、導入企業のうち約8割の企業では、技術を活用する効果を実感していると回答。
また、デジタルデータの収集・解析の目的としては、「効率化・業務改善」という回答が約8割にのぼります。一方、IoTやAIなどのシステムやサービスを導入しない理由としては、「導入すべきシステムやサービスが分からないから」がもっとも多くなっており、IoT技術への理解不足が導入の障害となっている様子が伺われます。
日本における企業への導入率はいまだ高いとは言えませんが、IoTデバイス数の推移および予測を見ると、「医療」、「コンシューマー」、「産業用途」および「自動車・宇宙航空」で高成長が見込まれており、今後、日本においてもIoTが一層身近なものとなっていくことが期待されます。
社会の状況を一変させたコロナ禍を通じて、企業のDXの取り組みが一層注目されるようになってきました。
テレワークを始めとする働き方の多様化とともに、オフィス内では感染防止策の一環として湿度・温度・二酸化炭素濃度・人感などの各種センサーによる状況把握が必要とされています。あらゆる場所からのデータの収集と分析のためには、IoT技術が必須です。新しい生活様式の浸透とともに、IoTの必要性の一層の高まりが予測されます。
IoTの活用事例
ここからはIoTの具体的な活用事例を紹介します。
■建築系:ビルメンテナンス・エレベーター保全の例
正常動作を確認し、異常を検知した場合には管理室へアラームを送ることでトラブルの早期発見に貢献します。
■福祉系:単身高齢者・介護・子育てにおける見守り
離床・ドアの開閉・室内温度・落下や転倒・泣き声・おむつの状態の監視を行います。ナースステーションや離れた場所で家事をしている保護者などが、いち早く異常に気付けるようにサポートをします。
■農業系:ビニールハウス内をモニター
温度・湿度・土壌成分・水分・照度を計測・監視。常に良好な状態になるよう管理するための情報を送信します。
■工業系:工場内管理
エネルギー使用量管理・生産設備の異常/故障監視・生産設備の稼働監視を行います。
コニカミノルタの実例
■MOBOTIX
コニカミノルタのネットワークカメラ「MOBOTIX」は、人の代わりにオフィスの管理ができるカメラ機能付きコンピューターです。映像の中の様々な情報をきっかけに、メール通知や画像転送、音声通知のほか、回転灯を鳴動させるなどの検出アクションを行います。
MOBOTIXをオフィスで利用することにより、帰宅時の消灯管理が改善され、誰もいない部屋に照明がつきっぱなしになっているということが無くなりました。そのほか、ヒートマップ機能の活用によりオフィスのピーク時やエリア毎の通行量、出社率を月別、曜日別、時間帯別に計測し、オフィス環境の改善に役立てています。また粉塵やガスなどの影響を受けずに稼働できる利点を活かし、工場でも活用されています。
MOBOTIXはオフィスでの利用だけでなく、製造現場や商業施設など様々な産業で活用いただけます。様々な産業におけるIoT事例を以下のページでご紹介していますので、ご興味をお持ちの際にはぜひご相談ください。
■複合機によるIoT化 (bizhub essentials)
企業のペーパーレス化に貢献し、どこでも働ける環境づくりが実現できる複合機の活用事例もあります。「bizhub essentials」を活用すれば文書を手軽に電子化し、社外からでもデータの確認や印刷が可能になります。FAX送受信のために出社するといった非効率な状況から解放されるので、テレワーク推進にもつながります。
紙文書をスキャンし電子化したデータをクラウドストレージに格納する運用で、外出先やテレワーク中でも必要なデータの閲覧、共有を実現しています。もちろんファイルやフォルダーごとに閲覧権限の設定が可能なので、セキュリティー面でも安心です。
また、モバイルでも内容が確認でき、必要なデータを印刷・FAX送信・社内にいる社員と共有することも可能です。複合機をIoT化することにより、業務の自由度を広げ、快適な作業環境が実現しました。
■Workplace Hub
ITツールの導入で一つの課題となるサーバーの設置。コニカミノルタが提供するWorkplace Hubは、複合機とサーバーが一体となっており、サーバーラックのような専用の場所や機材を必要としないため設置エリアの最小化を図ることができます。このWorkplace Hubのサーバーを介して勤怠管理システムの「AKASHI」やExcel業務の自動化を実現する「ASTERIA Warp Core」など、必要な業務やニーズに合わせた様々なアプリケーションを利用することができます。コニカミノルタジャパンでは東京・浜松町にある「つなぐオフィス」の座席予約アプリとしても利用しています。
また、Workplace Hubのサーバー管理はコニカミノルタジャパンが遠隔で保守・監視を行うため、IT管理者の負荷を軽減できます。IT運用・管理者の人材不足にお悩みの中小企業のお客様におすすめのサービスです。
■Dispatcher Phoenix
「Dispatcher Phoenix」は、紙書類の電子化、文書管理の効率化を実現するタスクオートメーションツールです。保管文書ゼロ化、問い合わせへの回答のスピード化を図るのに役立ちます。
コニカミノルタジャパンの経理部では大量に発生する請求関連の書類を、Dispatcher Phoenixによって処理することで管理負担を大幅に軽減しています。請求書をPDF化し、請求書番号に合わせて月別に仕分け後、クラウドストレージ Box にファイリングという流れにより、紙書類が不要となり検索性が向上。書類の保管スペースの問題と、伝票提出の手間の問題の、一挙解決を実現しています。
IoTの未来
今、IoTと関連性の深い「5G」と「LPWA」と呼ばれるネットワーク技術が注目されています。
5G(5th Generation)は「高速・大容量」「低遅延」「多接続」が特徴の通信システムで、自動運転のような精密さが求められるシステムに必要です。
一方のLPWA(Low Power Wide Area)は、「低消費電力」「広範囲」「低速」「低コスト」で、広域・コスト抑制の利用に向いています。
これらの通信を使い分けることにより、IoTの効率的な利用が実現すると考えられます。
IoTで今後さらなる高成長が予測されている分野の一つに、医療があります。デジタルヘルスケアの市場が拡大しており、後期高齢者の割合が増え続ける今、医療や介護に関わる人材が不足していることへの対策の一助となることが期待されます。
また工場、インフラ、物流など産業用途の分野では、IoTを活用したスマート工場、スマートストレージが拡大すると予測されます。コンシューマー分野においても、スマート家電やIoT化された電子機器が増加し、一般家庭の生活を便利に進化させていく要因となりそうです。
自動車・宇宙航空の分野でも、IoTは欠かせません。常時通信を行うコネクテッドカーの普及により、最新の道路状態を取得して最適なルートがセットされる、故障個所や車両トラブルの発生を持ち主・サービス業者に通知するといった機能が一般的になっていくと考えられます。
先にご紹介したコニカミノルタの事例で見たように、一般的な企業のオフィスにおいてもIoTで改善できる課題は数多くあります。業界や業種の制限なく、全ての分野において、モノがネットワークとつながるIoT化の進展が見込まれます。
全てのモノがネットでつながる未来
インターネットは今や生活基盤の一つとなっています。今後は、生活・産業・社会のなかで全てのモノが通信を行い、より利便性や安全性を高めていくと考えられます。新たな技術活用も続々と開発されるなかでは企業が自社の事業に活かし、生産性の向上につながるサービスも見つかるのではないでしょうか。調査結果からも分かるように、IoTへの理解不足が導入のネックとなっています。競争力強化に向けて、競合他社に後れを取らないよう、IoTの活用を検討していきたいものです。
いいじかん設計 編集部