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コニカミノルタホールディングス株式会社 2008年入社式 社長訓示

2008年4月1日
コニカミノルタホールディングス株式会社
代表執行役社長 太田 義勝

新入社員の皆さん、本日は入社おめでとうございます。
コニカミノルタグループを代表して、皆さんの入社を心から歓迎いたします。

コニカミノルタが2003年に経営統合により誕生したことはご存知だと思いますが、それから早や4年半が経過しました。従って、皆さんは統合後の第5期入社となります。会社の名前にはかつての二つの会社の名前が残っていますが、この4年余りの間に私たちが行っている事業の内容や広がりは随分変わってきています。つまり、アナログからデジタル・ネットワークへと世の中が変化するのを先取りした、先進的な商品やサービスへと大きく舵取りをしてきています。

統合に際して私たちは経営理念として「新しい価値の創造」を掲げました。「新しい価値」と聞けば、多くの人は「これまでに無かった斬新な機能を持つ新製品」をイメージされるでしょう。そのような「新しい価値の創造」はメーカーとしては不可欠な要素であり、コニカミノルタの私たちは常に研究を重ね技術を磨き、世界中の人々に便宜や安全をもたらす製品を生み出すことに努力を続けることは当たり前のことです。しかし、この理念は単にそれだけを意味するものではなく、もっと広い範囲の価値創出を含んでいます。皆さんはこれから各分野で様々な任務に就かれますが、与えられた任務に対してあなた方自身が創意工夫と発想を凝らして、今まで以上に効率の高い業務とかサービスの向上、あるいは社会への貢献を生み出していただければ、そして、それが人々に感動を与えることができれば、それらもまた「新しい価値の創造」だと言えます。

少し古い名前なのでご存知無い方もあるかと思いますが、先日、野球評論家の豊田泰光さんが、新聞にこんなことを書いていました。

「西鉄ライオンズ時代、三原脩監督が出すサインは、帽子のつばを2度さわるなどダブルアクションなら盗塁、指や腕でを作ればバントだった。しかし、何より忘れられないのは、手のひらを体につけるサインだった。これは、“任せた、自由にやれ”というサインだった。」

西鉄ライオンズ、現在の西武ライオンズの前身ですが、その黄金時代を築き知将といわれた三原監督は、状況に応じて選手に任せ、考えさせたのです。選手にとっては基本は理解できているものの、「自由にやれ」というのは恐ろしいもので、バントならバント、盗塁なら盗塁と決めてくれたほうが、ずっと楽だったそうです。大勢のそうそうたるプレーヤーの中に混じって新人の豊田選手は、「今、この局面で何をすればチームのためになるか」を必死で考えたと言います。そして18歳、19歳という人生の比較的早い段階で「自分で考える」癖をつけてもらったことに感謝していると書いていました。

当社では皆さんの新鮮な考えや、のびのびと自由な発想に大いに期待しているものですが、それでは私も三原監督にならって新入社員の皆さんに「任せた、自由にやれ」「自分で考えろ」というサインを送る前に、これだけは心得ておいてもらいたいというポイントを3つほどお話したいと思います。

まず第一は「環境」です。CO2の問題を例にひくまでもなく、地球環境に関する課題は時間的にも「待ったなし」の状況にあります。「地球環境保全」への対応要請は世界的な広がりを見せ、もはや「環境」を抜きにして企業経営は成り立ちません。私たちは商品開発においては省エネ・省資源設計を基本とし、生産現場においては省エネ生産を徹底してきました。また部品調達にしても、部品メーカーと一緒になって環境に留意した「グリーン調達」を推進してきています。しかし私たちはもっと高いレベルを目指してやっていかなければなりません。また一般オフィス業務においてもまだまだやることがあるはずです。どんなにお客様の役に立つ商品やサービスであっでも、今やそれが「環境」に貢献できるものでなければ評価されないことを頭に入れて行動してください。

第二は、地球規模で物事を眺め考える、視野の広さを持っていただきたいことです。コニカミノルタは、世界40カ国以上に開発・生産・販売の拠点を擁し、その海外売上比率も70%を超え、製品は世界の殆どの国々のお客様に提供しています。今後、皆さんには世界をフィールドとして活躍してもらうわけですが、そのときに求められるのは「グローバル視野」です。

これまでに海外に出かけられた方も多いと思いますが、世界はひとつではありません。異なる政治・経済・文化のもとで世界は動いています。言語だけでなく、日本や欧米の論理だけでは通用しない多くの異なった環境の人々とも、私たちは日ごろ多くの接触を持ち、ビジネスを行っています。どの国にあっても当社の製品が歓迎され喜ばれるためには、まず私たちがお客様をよく理解し、双方が納得しあうベースを築く事から始まっています。世界規模で事業を展開している当社にとっては、当社で働くすべての人たちが常に広くグローバル視野で物事を認識し、判断し、行動していくことが不可欠です。今日、皆さんにお渡しする社員章は「グローブマーク」でもあります。

第三は、皆さん自身が「新しいコニカミノルタブランドの創造者である」という自覚です。旧来の写真産業におけるカメラ・フィルムはもはや当社の主たる事業ではありません。しかし、創業以来長年にわたるカメラやフィルムの事業を通じて獲得した世界的な知名度や、技術力・高品質というポジティブなイメージは人々の心に残っています。今、私たちはこれらを積極的に継承しながら、現行の事業や将来の事業など、より先進的な領域で「コニカミノルタは、常に何かを期待させる“わくわく感のある企業”」というイメージを創り出し、それを広く世界の人々のマインドの中に育て上げようとしています。それを実現しにいくにあたっては、広告や宣伝だけでなるものではなく、製品作り、日ごろの業務への向かい方、お客様との接触の仕方など、実はあなた方一人一人の肩にかかっているのだということです。

これに向かっては社内の意識統一を図ることが重要であり、本年4月から「simply BOLD」というスローガンを掲げます。BOLDというのは直訳すると、勇気がある、大胆な、冒険的、際立った、などの意味がありますが、新しいことに大胆に取り組む企業風土、成長をめざした躍動感のある気風を促進しようとするものです。

以上、3つのポイントをお話しましたが、これらは独立したものではなく、3つが相互につながりを持ったものです。ぜひ、これから業務に就いていただくに際して、頭入れしておいて頂きたいと思います。

それでは、私は三原監督流の「手のひらを体につける」サイン、「自分で考えなさい」というサインを、今ここで皆さんに送りたいと思います。

今日から皆さんは、「自分の頭で、自由に考える」コニカミノルタの一員です。

私たちと一緒に、新しいコニカミノルタを築いていきましょう。

あなた方の「新鮮な発想」、「創意工夫」、「行動力」に、大いに期待いたします。

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